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子孫~芽生え1
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1年半後、未来は休暇を取り、尊人と健斗の元へ遊びにやってきた。出迎えは要らないといってあり、懐かしいかつての我が家へ直接訪れた。
「やあ!来たぞ。」
玄関を開けて入っていくと、尊人がキッチンで料理をしていた。
「未来!お帰り!元気か?」
尊人が嬉しそうに振り返った。未来は笑顔でうんうんと頷く。
「健斗は?」
未来が問うと、尊人は奥の部屋だと指さす。未来が奥の方へ入っていくと、健斗が振り返った。
「おう!未来、よく来たな。」
そう言って振り返った健斗の手には、なんと赤ん坊が抱かれていた。1歳くらいだろうか。もうすっかり髪の毛も生えていて、指をしゃぶっていたが、未来を見ると、指を口から出して未来を指さし、あーだのうーだの言っている。
「か、可愛い!」
未来は思わず言った。だって、これはまさしく、尊人にそっくりだ。尊人をそのまま小さくしたような、愛らしい円らな瞳。だが、次の瞬間、未来は凍り付いた。尊人が子供を産んだわけはない。まさか尊人が女子に産ませたわけでもあるまい。
「どう、したんだよ、この子。まさか・・・クローン?」
自分で言いながら、未来は心臓がバクバクした。健斗は悪びれもせず、
「そうなんだ。尊人のクローンベイビーだ。」
と言った。
「どうやって?そんな金、あるわけないだろう?」
未来が言うと、
「それがさ、研究段階だからって、お金はかからなかったんだ。」
健斗が言う。
「それ、その情報はどこから仕入れたんだよ?」
「うん、最近引っ越してきた本国から来た人で、うちの生徒さん。子供が欲しいなら、良い方法がありますよって教えてくれたんだ。二人目は俺のクローンを作ればいいって。親切な人だよな。」
未来は青くなった。深刻な顔をした未来を、健斗は不思議そうに見ていたが、やがて、
「俺・・・何かまずったか?おい、未来、何かまずいのか?」
何か得体のしれない怖さに、健斗もまた青くなって未来に詰め寄った。
「いや、分からない。お前たちに子供ができて、育てていくのは悪い事じゃない。だが・・・。」
未来は途中で言葉を切り、考え込んだ。国に尊人の居場所がバレたのだろうか。いや、今や我が国は国王制を廃止したのだ。今更尊人の子孫が生まれたところで、何の関係もないはずだ。だとしたら、誰が尊人の子孫を欲しがるだろうか。もしかしたら、国王制を存続させたい右翼政党かもしれない。
「健斗、これは可能性の話だが、もし我が国の国王制を復活させたい人物がいたとする。尊人は国王になりたくないと言うだろうから、尊人ではなく、尊人の子供を擁立させたいと考える。だが、尊人が女性と結婚しないと分かったら、子孫が途絶えてしまう。それを危惧して、こういう手段を取ったのではないか。」
「だとしたら、俺たちはどうなる?この子はどうなるんだ?」
健斗は分かったような、分からないような顔で言った。
「この子は、遅くとも12歳になるまでに奪われ、帝王教育を受けさせられるだろう。」
「奪われる?!」
「そして、奪われることを拒否するであろう、お前と尊人は・・・。」
未来は言葉を切った。消される、そんな事は言葉にしたくなかった。健斗はまじまじと子供を見た。尊人にそっくりだが、尊人そのものではない。育ち方で、全く違う人間になるだろう。だからこそ、どんな生まれ方をしようと、この子は一人の人間であり、尊い命だ。
「どんなことをしても、この子は守る。もちろん、尊人の事も。」
健斗は静かに、しかし力強く言った。
「健斗、なるべく早めにここを引き払った方がいいかもしれない。他の国へ出るのは難しいだろうが、ロンドンではすぐに見つかってしまう。どこか田舎に引っ越した方がいいだろう。客商売は辞めるしかないな。」
そこへ、尊人が現れた。台所仕事をしていたが、ドアを開け放した部屋で話していた事だから、二人の会話は聞こえていた。
「未来、ごめん。俺たち、浅はかで。」
そう言って、尊人は自分の子供を健斗から引き取って、抱っこした。
「でも、健斗に子供を作ってあげられると聞いて、つい、飛びついてしまったんだ。もう、諦めていたのに。」
子どもの頭を撫でながら、尊人は言った。
「そうだよな。お前はずっと子供は作れないと言っていたもんな。やっと国王制廃止が叶って、子供を作ってもいいと思えるようになったんだ。きっと、子供を作った事は間違ってはいないよ。」
未来は、慰めるように言った。
「俺も、微力ながらこの子を、そしてお前たち家族を守るよ。」
未来がそう言うと、健斗と尊人は目を見かわし、微笑んだ。
「未来がそう言ってくれると、ほんと心強いや。」
健斗が言って笑った。未来は3人を見て、やれやれと思った。他に想い人を作っている暇なんかないな、と心の中でぼやき、尊人のクローンベイビーを眺めた。この子が将来、尊人以上の苦しみを味わう事のないように、子供を奪われ、尊人と健斗がつらい思いをしないように、全力を尽くさねばならない。未来はそう心に誓った。
「やあ!来たぞ。」
玄関を開けて入っていくと、尊人がキッチンで料理をしていた。
「未来!お帰り!元気か?」
尊人が嬉しそうに振り返った。未来は笑顔でうんうんと頷く。
「健斗は?」
未来が問うと、尊人は奥の部屋だと指さす。未来が奥の方へ入っていくと、健斗が振り返った。
「おう!未来、よく来たな。」
そう言って振り返った健斗の手には、なんと赤ん坊が抱かれていた。1歳くらいだろうか。もうすっかり髪の毛も生えていて、指をしゃぶっていたが、未来を見ると、指を口から出して未来を指さし、あーだのうーだの言っている。
「か、可愛い!」
未来は思わず言った。だって、これはまさしく、尊人にそっくりだ。尊人をそのまま小さくしたような、愛らしい円らな瞳。だが、次の瞬間、未来は凍り付いた。尊人が子供を産んだわけはない。まさか尊人が女子に産ませたわけでもあるまい。
「どう、したんだよ、この子。まさか・・・クローン?」
自分で言いながら、未来は心臓がバクバクした。健斗は悪びれもせず、
「そうなんだ。尊人のクローンベイビーだ。」
と言った。
「どうやって?そんな金、あるわけないだろう?」
未来が言うと、
「それがさ、研究段階だからって、お金はかからなかったんだ。」
健斗が言う。
「それ、その情報はどこから仕入れたんだよ?」
「うん、最近引っ越してきた本国から来た人で、うちの生徒さん。子供が欲しいなら、良い方法がありますよって教えてくれたんだ。二人目は俺のクローンを作ればいいって。親切な人だよな。」
未来は青くなった。深刻な顔をした未来を、健斗は不思議そうに見ていたが、やがて、
「俺・・・何かまずったか?おい、未来、何かまずいのか?」
何か得体のしれない怖さに、健斗もまた青くなって未来に詰め寄った。
「いや、分からない。お前たちに子供ができて、育てていくのは悪い事じゃない。だが・・・。」
未来は途中で言葉を切り、考え込んだ。国に尊人の居場所がバレたのだろうか。いや、今や我が国は国王制を廃止したのだ。今更尊人の子孫が生まれたところで、何の関係もないはずだ。だとしたら、誰が尊人の子孫を欲しがるだろうか。もしかしたら、国王制を存続させたい右翼政党かもしれない。
「健斗、これは可能性の話だが、もし我が国の国王制を復活させたい人物がいたとする。尊人は国王になりたくないと言うだろうから、尊人ではなく、尊人の子供を擁立させたいと考える。だが、尊人が女性と結婚しないと分かったら、子孫が途絶えてしまう。それを危惧して、こういう手段を取ったのではないか。」
「だとしたら、俺たちはどうなる?この子はどうなるんだ?」
健斗は分かったような、分からないような顔で言った。
「この子は、遅くとも12歳になるまでに奪われ、帝王教育を受けさせられるだろう。」
「奪われる?!」
「そして、奪われることを拒否するであろう、お前と尊人は・・・。」
未来は言葉を切った。消される、そんな事は言葉にしたくなかった。健斗はまじまじと子供を見た。尊人にそっくりだが、尊人そのものではない。育ち方で、全く違う人間になるだろう。だからこそ、どんな生まれ方をしようと、この子は一人の人間であり、尊い命だ。
「どんなことをしても、この子は守る。もちろん、尊人の事も。」
健斗は静かに、しかし力強く言った。
「健斗、なるべく早めにここを引き払った方がいいかもしれない。他の国へ出るのは難しいだろうが、ロンドンではすぐに見つかってしまう。どこか田舎に引っ越した方がいいだろう。客商売は辞めるしかないな。」
そこへ、尊人が現れた。台所仕事をしていたが、ドアを開け放した部屋で話していた事だから、二人の会話は聞こえていた。
「未来、ごめん。俺たち、浅はかで。」
そう言って、尊人は自分の子供を健斗から引き取って、抱っこした。
「でも、健斗に子供を作ってあげられると聞いて、つい、飛びついてしまったんだ。もう、諦めていたのに。」
子どもの頭を撫でながら、尊人は言った。
「そうだよな。お前はずっと子供は作れないと言っていたもんな。やっと国王制廃止が叶って、子供を作ってもいいと思えるようになったんだ。きっと、子供を作った事は間違ってはいないよ。」
未来は、慰めるように言った。
「俺も、微力ながらこの子を、そしてお前たち家族を守るよ。」
未来がそう言うと、健斗と尊人は目を見かわし、微笑んだ。
「未来がそう言ってくれると、ほんと心強いや。」
健斗が言って笑った。未来は3人を見て、やれやれと思った。他に想い人を作っている暇なんかないな、と心の中でぼやき、尊人のクローンベイビーを眺めた。この子が将来、尊人以上の苦しみを味わう事のないように、子供を奪われ、尊人と健斗がつらい思いをしないように、全力を尽くさねばならない。未来はそう心に誓った。
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