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やっちゃえ(カズキ目線)
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翌日、仕事場に行くとすぐにレイジの元へ行った。昨日は散々リョウ兄さんに愚痴を聞かされたので、大体の顛末は分かっている。その後レイジとテツヤはどうなっただろうか。少しは進展しただろうか。
「レイジ!昨日は・・・。」
レイジは予想に反してものすごく暗い顔をしていた。横目で俺を見て、はぁと溜息までつく。
「どうしたんだよ。上手く行かなかったのか?」
「俺は、大事な弟だって。」
「そう、か。まだダメか。」
作戦は上手く行ったと思ったのに。
「それにしてもお前、作戦自体は上手くやったじゃないか。まさかテツヤの前でキスする事になるなんて。よくそんな風に持って行けたなぁ。」
俺が感心して言っても、レイジは上がらないまま。
「別に、そう仕向けた訳じゃないよ。リョウ兄さんが酔っていきなりしてきたんだから。」
「作戦のせいで、お前が隙だらけだったんだろうな。リョウ兄さんをその気にさせちまったから、今後はむやみに誘うなよ。」
無責任な事言ってるよな、俺。自覚はあるが、致し方ない。レイジはちょっと恨めしそうな顔で俺を見ただけだった。
俺がレイジの肩をポンポンとやって立ち去ろうとした瞬間、鋭い視線を感じた。少し離れた所から、テツヤがこっちを見ていたのだ。見ているというより、睨んでいる。うわ、これも嫉妬じゃないか?早く離れようっと。
今日一日、改めて観察してみたが、テツヤの嫉妬はかなり激しかった。レイジが誰かと仲良くしていると、それをチラチラと鋭い目で見ているのだ。あんなに誰でも彼でもヤキモチ妬いておいて、兄弟愛のような事を言っても説得力がないんだよ。
俺は仕事の合間にテツヤを呼び出した。
「昨日は大変だったな。顔、大丈夫か?」
俺が長いすに座りながら聞くと、テツヤも隣に腰かけた。
「ああ。迷惑かけたな。」
「いや、それはいいけど。お前、レイジの事、大事な弟って言ったんだって?」
「え?ああ、そう言ったかな。」
「あのさ、俺には実の弟がいるから分かるんだけど、弟っていうのは、いじめられたら頭に来るし、守りたいと思うけど、弟が幸せなら、誰と仲良くしていようと、キスしようと、全く気にならないものなんだよ。」
「え?」
「よく考えてみ?お前、レイジの事を弟だって言うなら、レイジが好きで誰かとキスしても、怒ったりしないで、むしろ喜んであげるべきなんだ。出来るのか?」
俺がそう聞くと、テツヤは俺の目を見たまま停止した。考えているのだろうか。返事がないので、更に畳みかける。
「昨日、リョウ兄さんがレイジにキスしたから怒ったんだろ?それは、レイジが嫌がっているのに無理矢理兄さんがしたからか?もし、レイジが嫌がっていなかったら、怒らなかった?逆に、もっと怒ったんじゃないか?」
「う・・・。」
「う?」
「そう、だな。レイジはそれほど嫌がってなくて・・・。いや、その前からだ。俺がいるのに、あいつリョウ兄さんとばかり話して、顔近づけられてもよけないし、あいつ、昔リョウ兄さんのファンだったから、喜んでるのかな、とか思ったら、すごくイライラして・・・。」
「うんうん。」
相づちを打って続きを促す。
「とうとうリョウ兄さんがキスしちゃって、それだけでもカッとなったけど、レイジがすぐ離れないから、もう、殴るしかなくなって・・・まあ、反省してるけどな。殴るのは良くなかった。」
意外にまともな事を言うじゃねえか。
「明らかだな。お前はやっぱりレイジを弟として見てはいないよ。」
「そうなのか・・・。じゃあ、何だ?」
「親友でも弟でもなく、恋人なんだよ。お前にとってレイジは。」
「いや、でも、男同士だし、そんな、俺、無理だよ。」
何を、今更。
「それにしても、そんなに好きなら分からないかねえ。さては、お前ウケだな?」
「は?何?」
「とにかく、もっとこう、身を任せてみたらどうだ?気持ちに素直にさ。」
「・・・うん。」
まだ十分には納得していないようだが、これで少しは進展するかな。
そして、レイジにも話をしに行った。
「レイジ、テツヤと話したよ。」
「テツヤ兄さん、何て?」
「うーん、まあ、男同士だしって躊躇してたけどな。でも、お前は単なる弟でも親友でもないって事には気づいたみたいだよ。」
「それは・・・良い知らせなのかな?」
「いいから、やっちゃえよ、レイジ。」
「は?何を?」
「あいつを待っていたらダメだ。お前からぐいぐい攻めていけ。」
「攻めるって・・・」
レイジは赤くなった。
「お前、ちゃんと分かってるか?俺が教えてやろうか?」
「な、何を?なんか、カズキ兄さん、詳しいね。」
「まあね。」
「もしかして、今恋愛中?」
「んー?どうかな。」
「付き合ってる人がいるとか?」
「ん?」
ごまかそうとしたが、レイジは勘の鋭い奴だ。
「あ、分かった。シゲル兄さんでしょ。最近よく一緒に出かけてるもんね。」
「ぶっ。」
シゲル兄さんは、うちの事務所の先輩だ。4つ年上で、別のアイドルグループのメンバーだ。実は、付き合っている。まさか当てられるとは。
「レイジ!昨日は・・・。」
レイジは予想に反してものすごく暗い顔をしていた。横目で俺を見て、はぁと溜息までつく。
「どうしたんだよ。上手く行かなかったのか?」
「俺は、大事な弟だって。」
「そう、か。まだダメか。」
作戦は上手く行ったと思ったのに。
「それにしてもお前、作戦自体は上手くやったじゃないか。まさかテツヤの前でキスする事になるなんて。よくそんな風に持って行けたなぁ。」
俺が感心して言っても、レイジは上がらないまま。
「別に、そう仕向けた訳じゃないよ。リョウ兄さんが酔っていきなりしてきたんだから。」
「作戦のせいで、お前が隙だらけだったんだろうな。リョウ兄さんをその気にさせちまったから、今後はむやみに誘うなよ。」
無責任な事言ってるよな、俺。自覚はあるが、致し方ない。レイジはちょっと恨めしそうな顔で俺を見ただけだった。
俺がレイジの肩をポンポンとやって立ち去ろうとした瞬間、鋭い視線を感じた。少し離れた所から、テツヤがこっちを見ていたのだ。見ているというより、睨んでいる。うわ、これも嫉妬じゃないか?早く離れようっと。
今日一日、改めて観察してみたが、テツヤの嫉妬はかなり激しかった。レイジが誰かと仲良くしていると、それをチラチラと鋭い目で見ているのだ。あんなに誰でも彼でもヤキモチ妬いておいて、兄弟愛のような事を言っても説得力がないんだよ。
俺は仕事の合間にテツヤを呼び出した。
「昨日は大変だったな。顔、大丈夫か?」
俺が長いすに座りながら聞くと、テツヤも隣に腰かけた。
「ああ。迷惑かけたな。」
「いや、それはいいけど。お前、レイジの事、大事な弟って言ったんだって?」
「え?ああ、そう言ったかな。」
「あのさ、俺には実の弟がいるから分かるんだけど、弟っていうのは、いじめられたら頭に来るし、守りたいと思うけど、弟が幸せなら、誰と仲良くしていようと、キスしようと、全く気にならないものなんだよ。」
「え?」
「よく考えてみ?お前、レイジの事を弟だって言うなら、レイジが好きで誰かとキスしても、怒ったりしないで、むしろ喜んであげるべきなんだ。出来るのか?」
俺がそう聞くと、テツヤは俺の目を見たまま停止した。考えているのだろうか。返事がないので、更に畳みかける。
「昨日、リョウ兄さんがレイジにキスしたから怒ったんだろ?それは、レイジが嫌がっているのに無理矢理兄さんがしたからか?もし、レイジが嫌がっていなかったら、怒らなかった?逆に、もっと怒ったんじゃないか?」
「う・・・。」
「う?」
「そう、だな。レイジはそれほど嫌がってなくて・・・。いや、その前からだ。俺がいるのに、あいつリョウ兄さんとばかり話して、顔近づけられてもよけないし、あいつ、昔リョウ兄さんのファンだったから、喜んでるのかな、とか思ったら、すごくイライラして・・・。」
「うんうん。」
相づちを打って続きを促す。
「とうとうリョウ兄さんがキスしちゃって、それだけでもカッとなったけど、レイジがすぐ離れないから、もう、殴るしかなくなって・・・まあ、反省してるけどな。殴るのは良くなかった。」
意外にまともな事を言うじゃねえか。
「明らかだな。お前はやっぱりレイジを弟として見てはいないよ。」
「そうなのか・・・。じゃあ、何だ?」
「親友でも弟でもなく、恋人なんだよ。お前にとってレイジは。」
「いや、でも、男同士だし、そんな、俺、無理だよ。」
何を、今更。
「それにしても、そんなに好きなら分からないかねえ。さては、お前ウケだな?」
「は?何?」
「とにかく、もっとこう、身を任せてみたらどうだ?気持ちに素直にさ。」
「・・・うん。」
まだ十分には納得していないようだが、これで少しは進展するかな。
そして、レイジにも話をしに行った。
「レイジ、テツヤと話したよ。」
「テツヤ兄さん、何て?」
「うーん、まあ、男同士だしって躊躇してたけどな。でも、お前は単なる弟でも親友でもないって事には気づいたみたいだよ。」
「それは・・・良い知らせなのかな?」
「いいから、やっちゃえよ、レイジ。」
「は?何を?」
「あいつを待っていたらダメだ。お前からぐいぐい攻めていけ。」
「攻めるって・・・」
レイジは赤くなった。
「お前、ちゃんと分かってるか?俺が教えてやろうか?」
「な、何を?なんか、カズキ兄さん、詳しいね。」
「まあね。」
「もしかして、今恋愛中?」
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「付き合ってる人がいるとか?」
「ん?」
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