上 下
11 / 33

地底帝国

しおりを挟む
 3人がまったりと時間を過ごしていると、何か物音が聞こえてきた。
「あ、そろそろ軍人さん達が来るんじゃない?」
シルクが言った。
「でもさ、ここって何だろうね。元々この星にあったものなのかな?未開の土地なんだから、既に地球人がこんな道を作っていたとは考えにくいよね。」
レインが道の先の方を見つめながら言った。
「そう言われてみれば・・・誰が作ったんだろう。」
ダイヤがそう言って青ざめた。
「止めてよ、なんか僕怖くなって来ちゃった。」
シルクが両腕で自分を抱きしめて言った。鳥肌が立ったのだ。
 トラックの音が遠くに聞こえて来た。ああ、これで助かる、と3人が思ったその時、ピカッと何かが光ったように思えて、そちらに目をやると、二つの光が近づいてきた。近づいて来たそれは、巨大なトカゲか、いや、後ろの方は見えないので、何だか分からないが、のっぺりとした顔の生物が、こちらへのそのそと近寄って来るのだ。
「う、うわー!何あれ!」
ダイヤが叫ぶと、その巨大な生物が一瞬動きを止め、そして急に動きを速めて迫ってきた。
「逃げろ!」
レインが言い、立って走り出した。だが、レインよりも若い二人の方が先に走り出していた。
「うわ、待ってー!」
レインは必死に二人を追いかけた。さっき、3人が地上から落ちたのは、この巨大な生物のしっぽにはたかれての事だったのだ。

 地下通路はしばらく続いた。最初は裂け目だったのに、走って行くうちに坂を下り、トンネルになった。つまり、すっかり地下に潜ってしまったのだ。だが、通路は続き、所々ランプの明りが灯っていた。
 しばらく走って行くと、急に目の前が開けた。いくつかのトンネルの終点になっているそこは、天井も高く、広々とした空間だった。そして、そこには人間がたくさん集合していたのだ。いや、だが地球人とは様子が違う。二本足で立ってはいるが、オオカミ族のような顔をしている。それでも、体毛は人間程度に少なく、口もさほど裂けていない。そんな妙な種族が何百、いや何千とそこに集合していたのだ。
「ひっ!」
「うわっ!」
「うそでしょ!」
3人は走ってここに飛び込んで来てしまったものの、この光景を見て急ブレーキを掛けた。だが、当然ここにいる全員に見つかってしまった。そして、捉えられて両手両足を縛られ、棒にくくりつけられてしまった。
 さっきのトカゲのような生き物は、トンネルの入り口から頭を覗かせたまま、じっとしている。
「ちょっと、なんで縛るんだよ。」
「助けてください、お願いします!」
「助けて~うわーん。」
3人は口々に騒いだ。だが、二本足の生き物には言葉が通じない。3人の姿がよほど珍しいと見え、みんなでじーっと見つめている。そして、3体が前へ進み出て、レイン、シルク、ダイヤの服に手を掛けて引き裂いた。体を良く見ようというつもりなのだろう。
 この獣人のような者達は、上半身は裸で、腰に金属のスカートのような物を巻いていた。その上半身には、地球人にはある突起が、なかった。つまり、彼らの方から見たら、地球人には上半身に奇妙な二つの突起があった。3体はそれを不思議に思い、手に持っていた金属の棒っ切れでその突起を突いた。レインも、シルクも、ダイヤも、それぞれの棒で突かれた。ザラザラした棒で。
「や、止めてー!」
「痛い!助けてー!」
「ああ!止めて、助けて、ロッキー!!」
「メタルさーん!」
「ハイドー!」
しおりを挟む

処理中です...