地球を守れ-Save The Earth-

夏目碧央

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   新曲のレコーディングが始まった。それぞれ1人で歌うところを録音するの
  で、1人ずつスタジオに入る。瑠偉がスタジオに入ったタイミングを見計らっ
  て、STEのメンバーらは、碧央に話をすることにした。
流星:「あー、あのさ、碧央。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
碧央:「何?」
流星:「お前さ、その、瑠偉の事、本当のところどう思ってるんだ?」
碧央:「え!?」
  碧央は青くなった、いや、赤くなったか。心臓が飛び出しそうな程驚いた。
碧央:「ど、どうって?」
  それでも、まだしらを切ろうと試みる。
流星:「正直に言えよ。俺たちは、それでお前のことを軽蔑したり、嫌いになったり
  なんて、絶対にしないから。」
  流星がそう言うと、他のメンバーもコクコクと頷いた。
碧央:「みんな・・・。そうか、分かっちゃってたか。実は、みんなが思っている通
  りなんだ。」
流星:「やっぱりそうか。それで、瑠偉には伝えたのか?その、お前の気持ちを。」
碧央:「あ、うん。伝えた。」
流星:「瑠偉は、なんて?」
碧央:「瑠偉も、同じだって。」
流星:「そうか。お互いにな・・・。いや、それは仕方がない事なんで、俺たちがと
  やかく言う事じゃないんだけどさ、何となく、このままだとグループの雰囲気も
  悪くなるしさ。だから、瑠偉ともっと話し合って、また以前のお前たちみたいに
  戻って欲しいなあと思うんだよ。」
碧央:「みんな、ごめん。そうだよね、気を遣わせちゃったよね。分かった。瑠偉に
  話しておくよ。」
  そうして、この話は終わった。
   その後、碧央は瑠偉と2人になった時に、早速話をした。
碧央:「瑠偉、実はさ、流星くんに言われちゃったんだ。俺たちの事、みんなにバレ
  てるって。」
瑠偉:「え?!そうなの?」
碧央:「うん。それでさ、グループの雰囲気が悪くなるから、前みたいに戻って欲し
  いって言われた。」
瑠偉:「バレてたのか。あんまりみんなの前ではくっつかないようにしてたんだけど
  なあ。態度に出ちゃってたのかなぁ。」
碧央:「みんなの前では、もっと気を付けて、仲良くしないようにしような。表情で
  バレてたのかなぁ。俺、つい嬉しそうな顔してお前の事見てたのかも。」
  碧央がそう言うと、瑠偉は破顔した。思いっきり照れている。
碧央:「何照れてんだよー。」
  碧央が軽く瑠偉の腕を叩く。
瑠偉:「だってー。」
  瑠偉が顔を両手で覆った。

   テレビ番組の出演や、別会場でのコンサートがあり、忙しく移動するSTEだっ
  たが、数日後に、碧央と瑠偉以外のメンバーは異変を感じ、5人で目配せをし
  て、夜にリビングに集まった。
光輝:「ねえ、おかしいよね。あの2人、前にも増して仲が悪くなってるよ。」
大樹:「話し合った結果、決定的に決裂してしまったのかね。」
涼:「最近じゃあ、目も合わせない感じだもんな。」
篤:「余計な事しちゃったんじゃないのか?」
流星:「うーん、やっぱり2人で話せって突き放したのがいけなかったのかな。俺た
  ちも同席して話し合った方がよかったのかも。」
光輝:「何とか、2人がまた仲良くなれるような方法ないかな。」
涼:「仲良くなれる方法ねえ。」
篤:「放っておいた方がいいんじゃないの?」
光輝:「もう篤くんってば、らしくないよ。冷たい事言ってー。」
  篤はそう言われて、口をつぐんだ。元々、瑠偉は碧央ととても仲が良かった。ま
  た、仲良くさせたいわけではないのだ、篤にとっては。2人がわだかまりを抱え
  たままなのは、良くないとは思っているけれど。
光輝:「くっつかないなら、くっつけちゃおうか。」
流星:「ん?何を言い出すんだ?」
光輝:「やっぱりさ、仲よくなるにはスキンシップじゃない?ここんとこ、あの2人
  はスキンシップが足りないと思うんだよね。」
涼:「まあ、確かにそうだよな。前みたいに肩を抱いたり、ハグしたりすれば、気持
  ちも近寄ってくるってわけか。」
光輝:「うんうん。」
大樹:「確かに、気持ちが離れてしまった時は、体の方から接触すればいい、という
  のも一理あるな。」
篤:「マジか・・・。」
流星:「それで、どんな方法でくっつけるんだ?」
篤:「流星まで・・・。」
  篤は観念した。仕方ない、俺の可愛い瑠偉を、碧央にちょっとばかりハグさせて
  やるか、とは言えないが、そういう想いを持って、
篤:「分かったよ・・・。作戦を立てようぜ。」
  と、渋い顔で言った。何とか全員一致で可決。5人はそれからしばらくひそひそ
  と相談した。
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