ちょっと事故った人魚姫

ラズ

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第4章 お城に着きました!

お兄さんの正体

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お兄さんに連れられて、サイスの元へ向かってます。
助けられてだんだん落ち着いてくると、冷や汗が流れてきた。

(…ていうか、シェハルさんのところのほうがいいんじゃ…)

女性に託したメモにはこう書いてあった。

『サボっていると間違えられて追い出されました。自力で頑張ってみますが、多分無理です。彷徨います』

…自分から迷子になる宣言をしているメモ…探されるのは必至だと思う。
大人しくついていくしかないが、どうしたものかと考えてしまう。

「見つけた!!」

聞きなれた声が耳を打つ。
声のした方向を見るとシェハルの姿が見えた。
前を歩いていたお兄さんもその声に反応したのかやってくるのを待っている。

「この城はかなり広い。探す方の身にもなってくれ」

ごめんなさいの意味を込めて頭を下げた。
それが伝わったのか「見つかってよかった」と言って、ホッとため息をつく。

「シェハル。この娘を知っているのか?」

「あ…クロウギリア殿下。この娘はアルフィリード殿下付きの侍女です。もしや、何か粗相でもいたしましたか?」

「いや、粗相はなかった。しかし、それはまことか?」

「はい。今日入った新人です。サイスが後見人をしております」

「お前がそう言うなら本当なのだろう。名は?」

「彼女は声が出せないので私が紹介させていただきます。彼女の名はリシアです」

「そうか。俺はクロウギリア。この国の第一王子だ」

慌てて頭を下げて返事をする。
アルフィリードとなんとなく似ていると思ったら、兄だった。

「とはいえ、俺は政務に向いていないから王位継承権を放棄しているがな」

どこかおどけたようにクロウギリア殿下は言った。

「一つお聞きしてもよろしいでしょうか」

「なんだ?」

「なぜリシアといたのですか?」

「相当歩き回ったのか、資料棟でシーツを抱えた侍女がいるから声をかけたからだな」

「ご迷惑をおかけいたしました」

「いや、かまわん。新人なら一人で行動させるな。ここは広い。入って1日目なら迷う」

「はい」

「さて、そろそろ行かねばリシアは腕が限界ではないか?」

実はその通りである。
そこまで重くないシーツとはいえ、長時間持ちっぱなしはかなりキツイ。
今だって手がプルプルし始めているのだ。

「お気遣いありがとうございます。では、御前失礼いたします」

シェハルが一礼したのに倣って私も頭を下げてから、私たちはその場を立ち去った。

道中、仕事の話を聞きながら部屋に戻った。
無事に戻れたのは良かったが、部屋に着くなりカゴを落としそうになった。

(明日筋肉痛にならなければいいなぁ)
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