ちょっと事故った人魚姫

ラズ

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結婚式編

愛しい君に祝福を(side・サイス)

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「ちょっとサイス!あなたはいつリシアちゃんと結婚式を挙げるのよ!?」

「それは…」

彼女と両想いだとわかって早1ヶ月。
休日には街で散策をしたり、観劇に行ったり、たまに屋敷でまったりとしている。
それが母は気に入らないようで、たまに言われることになってきた。

(俺だって結婚したいと思ってる)

だけど、自分の立場上自分から強引に進めるのは躊躇われるのだ。
これでも一応次期公爵。彼女は事実上平民だ。
両親は全面的にサポートしてくれるだろうが、他の貴族がどんな動きをするのかと考えると頭がいたい。
リシアもそれは身を以て知っているはずだ。
一度は階段から突き落とされ、街では公衆の面前で騒がれ…今度は毒殺されそうになるかもしれない。
礼儀作法には問題ないが、今はまだ温めておきたいと思う。

そう伝えると渋面を作りつつ、母は納得してくれた。
できる限り守りたいとは思うが全てから守りきるのは不可能だとわかっているからだ。

お気に入りであるリシアを傷つけたくないのは母も同じだ。
俺は納得してくれた母に安堵してこの話題は終わったものだと思っていた。


その3日後

その日は澄み渡る青空が広がり気持ちいい晴れの日だった。
《お茶会をしましょう!》
という、母のひとことで王妃様、ミリュエンヌ様、クロウギリア殿下、母、俺、リシアが集まった。
王とアルフィリード殿下は仕事だ。
ちなみに俺とリアは休みである。

最初は世間話で始まり穏やかな時間が過ぎて行く。
しかし、そんな時間が壊れるのは唐突のことだった。

「ねぇ。リシアはいつサイスと結婚式を挙げるの?」

そう聞いたのはミュリエンヌ様だ。
王族の結婚式は時間がかかりまだ挙げられていない。
しかし、貴族の結婚は王族より婚約期間は短い。
国に来た時にはすでに婚約をしていた(と、思っている)しもう結婚できるんじゃない?
そう思って聞いたらしい。

「……?」

しかし、なぜかリシアは首を傾げた。その表情は心底不思議そうだ。
思わずミリュエンヌ様まで首を傾げている。

「リシア?」

「?結婚式ってなんですか?」

予想外の言葉がリシアの口から放たれた。
一瞬だけその場の空気が固まり、そして緩やかに動き出す。

「リシアは結婚式を知らないの?」

「はい」

「じゃあ、夫婦になった時は誓約書に署名するだけ?」

「誓約書とはなんですか?」

思いっきり《?》を飛ばしながら質問を返してくる。

そして、よくよく話を進めてみると夫婦になるには広場で宣言するだけらしい。
それを聞いた女性陣の目がキラリと光った。
さながら獲物を見つけた狼のようだ。

俺はクロウギリア殿下にそっと肩を叩かれたのだった。








気まぐれ更新ですみません!!
粘り強く更新待ちの方々ありがとうございます。

図々しくも読者の方にちょっとした相談です。
海といえば!!というものがあれば教えてください。
※結婚式描写で使うので海の家などはナシの方向でお願いします(^_^;)

作者は内陸出身者でして………。
質問の答えは感想欄にお願いしますm(_ _)m
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