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第2章 聖ベラドンナ女学園
5話
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――流和がダイナモンを出て行ったのは俺のせいだ。
あの日、親友の朱雀の前で泣いたことを、空は今でもよく覚えている。
ダイナモン魔法学校で最上位の石を持つ者は、誰でもデュエルを申し込まれる。デュエルは断ることを許されない。
流和は、一族の不毛な争いに巻き込まれ、毎日のようにデュエルを申し込まれ、とても苦しんでいた。
空には、流和が争いを好まないことがよく分かっていた。
流和にとっては、デュエルで相手を傷つけることと、自分が傷つけられることは、同じ痛みだったのだ。
そのうち、流和は戦わなくなった。黙って相手にやられるようになった。
空にはすべて分かっていたのに、どうすることも出来なかった。
ごめん、と、謝ることも、行くな、と、引き止めることも・・・・・・。
思いのたけをぶちまけて、朱雀の前で恥も外聞も忘れて泣いたとき、朱雀は言った。
『ダッせーな、空。悔しくて泣いてる暇があったら、自分の女に、誰にも手出しされないくらい、もっと強くなれ。
そうすれば、次からは、お前が守ろうとするものは、俺も守ってやる』
あの日から、空は必死に強くなる努力をした。
風属性最上位の石を持つ魔法使いとしてではなく、一人の大切な人を守るために、強い男になりたかった。
――誰がお前の力なんか借りるかよ、馬鹿野郎。
午後からも授業をサボることにした優と流和は、まだ図書館裏の薔薇園に陣取っていた。
テーブルの上には、流和が学生寮から持って来たクッキーが並べられている。
優は、クッキーと紅茶を楽しみながら読書にふけり、流和は放課後の部活に備えてクロスをもて遊んでいた。
流和は、聖ベラドンナ女学園ラクロス部のエースだ。
クロスを素振りしながら、流和が優に訊ねた。
「さっきから、何をそんなに真剣に読んでるの?」
「炎の魔法使いシュコロボビッツと、ナジアスの伝説だよ」
優が分厚い本から顔を上げずに答えた。
「あ、その話知ってる! とってもロマンチックなのよねー」
「でも、ただの伝説でしょ?」
優がクッキーをかじりながら顔を上げると、流和は真面目な表情で首を振った。
「いいえ、実話よ。最初の炎の魔法使いシュコロボヴィッツと、まだ若い火の魔法使いナジアスが力を合わせて邪悪な魔女を封印した話は、魔法界でも有名なの。その魔女が封印されている墓は、今も沈黙の山にあるのよ」
「へー、実話なんだ。シュコロボヴィッツって、炎の魔法使いのことだよね」
「もともと、シュコロボヴィッツは人の名前なの。彼が最初の炎の魔法使いだったから、後に炎の魔法使いのことを、その名前をとってシュコロボヴィッツと呼ぶようになったそうよ」
「私、シュコロボヴィッツみたいな人が好きだな」
と、優が唐突に言った。
「炎の魔法使いが好き、ってこと?」
念のため、流和が聞き返した。というのは、流和はシュコロボヴィッツ、つまり優以外のもう一人の、炎の魔法使いを知っているからだ。
ダイナモン魔法学校にいた、高円寺朱雀のことが、流和の頭をよぎった。
「違うよ、魔法使いは嫌い。そうじゃなくて、シュコロボヴィッツみたいに、紳士的で洞察力があって、優しい男の人が好きってこと」
「あー、なるほどね」
流和は頭の中に浮かんだ朱雀の顔を掻き消した。
朱雀には洞察力はあるかもしれないが、女癖の悪い朱雀は紳士的ではないし、傲慢で優しさの欠片もないからだ。
優が朱雀を好きになるはずはない。
「ねえ、流和」
優が突然顔色を変えた。
「何?」
「昨日のカードのこと覚えてる? ビーナスが鳥と見つめ合ってたカードで、流和が愛する人と再会するって、永久は言ってた。確か、ダイナモンにいる流和の彼氏は、風の魔法使いだよね」
「うん」
流和が頷くと、優は読んでいた本を閉じて、顔を上げた。
「さっきから、強い風の力を感じるんだ・・・・・・」
「え?」
カーカー!
木の枝から飛び出したカラスがいきなり甲高く鳴いたので、優と流和は同時に楓の木を見上げた。
突如、強い風が吹き抜けた。
木々が一斉にざわめき立ち、庭に薔薇の花が舞い上がった。
「――流和」
風の音が流和の名前を呼んだように聞こえたので、流和の心臓が跳ね上がった。
それは、すっかり声変わりして、低くなった、優しい響き。いつも、風のように突然現れる彼なのだろうか……? そんな、まさか。
流和は声のした方に、ゆっくりと振り向いた。
するとそこに、さっきからずっとその場所にいたかのように流和たちのテーブルの前に座っている、一人の青年がいた。
青年は、眩しそうに流和を見つめていた。
「空……?」
流和の表情が固まった。
あまりに驚いて、上手く言葉が出てこない。ただ、青年の柔らかそうな猫っ毛が額にかかっているのを見て、少し髪が伸びたな、と流和は思った。
再び会える日を夢にまで見ていたのに、いざ再会してみると、最初に頭に浮かぶのはそんなことなのだ。
次の瞬間、流和は我に返って大きな声を出した。
「空!? ダイナモンから来た留学生って、あなただったの?」
空が優雅に足を組んで、微笑んだ。
空は代々、風属性を継ぐ由緒正しい家系である東雲(しののめ)家の御曹子だ。不良っぽく振る舞ってはいても、ふとした時に育ちの良さが出るのはそのせいだ。
空は熱に浮かされたように流和を見つめ返した。
だが、そんな空に対して流和は冷たく問い詰める。
「一体何しに来たの」
「酷いな、久しぶりに会ったのに、冷たいじゃん」
流和の言葉に気分を害したように、空は肩をすくめて、辺りを見回した。
ただし、同じテーブルに座っている優には見向きもしない。優の存在に気づかないはずはないのに。
「このクッキー上手そう、流和が作ったのか? 懐かしいな・・・・・・」
空がテーブルの上のクッキーに目をとめ、おもむろに手を伸ばした。その瞬間、テーブルの向かいに座っていた優がクッキーの籠を自分の方に引き寄せて、空に届かないようにした。
「これは私のなの」
優が言ったので、その時初めて、空が優の方を見た。
「・・・・・・。」
空は、存在感のない置物でも見るように、優を一瞥した。
そして優の黄色いスキーゴーグルを見て、ついさっき吏紀に見せられた写真のことを思い出す。――マジックストーンを持たないほどの低級魔法使い。
「お前! 写真の眼鏡だな、ははん、学年一劣等生っていうのはお前か、どうりで存在感が薄いわけだ」
優は、プイとそっぽを向いて、見せつけるようにクッキーを一口噛んだ。
空が嫌な顔をする。
「流和の作ったクッキーは、いつも俺が食べてたんだ。一つもらってもいいかな」
「ダメ」
まるで、子ども同士のお菓子の取りあいだ。
「優は私の親友なのよ、空」
流和が、空をなだめるように言った。
「親友だって?」
流和がそんな言葉を使うのを、空はこのとき初めて聞いた。そういえば、ダイナモン魔法学校には、流和が親友と呼べる女子生徒はいなかったっけ。
空はたちまち、優に対して嫉妬心を燃え上がらせた。
「いいだろ、一つくらい」
空が再びクッキーの籠に手を伸ばすと、優がピシャっとその手を叩く。
「なんだよ、お前! ……ああそうかい。ひどく性格のよじれ曲がったお友達だよ、まったく」
空は立ち上がると、流和に歩み寄った。
「流和、話がある。二人きりで」
「何なの?」
空が、優しく流和の腕を掴んだ。
「あなた、背が伸びたわ」
「背くらい伸びるよ」
空と流和が見つめ合った。
そんな二人を、優が黄色いスキーゴーグルの奥からじっと見つめた。
口に詰め込んだクッキーを紅茶で喉の奥に流しこみ、優は口元をニヤニヤさせて、テーブルに肘をついた。
テレビのラブシーンは、積極的に身を乗り出して見る方なのだ。
だがそんな優の存在を不愉快に感じた空が、苛立ちを隠さずに優を振り返った。
「お前、空気読めよ」
「なに?」
「流和と二人で話したいんだ、他人に見られてたら気が散る」
「あなた、流和のなんなわけ? 友だち?」
優には、一目で二人が恋人同士だということが分かっていた。だから鎌をかけた質問だ。
優の親友の流和は今でも空のことを思っているが、空は流和のことをどう思っているのか。
それをハッキリ答えられないなら、彼に流和と話す資格はない、と、優は思った。
「俺は流和の……、」
空が一瞬、言葉を詰まらせた。でもそれは、言葉にするのがためらわれたからじゃない。どんな言葉がしっくりくるか分からなかったからだ。
「恋人?」、「彼?」、そのどちらの言葉も、流和への思いを表現するにはふさわしくないように感じた。
「あなたは流和の、ただの友だち?」
「違う、それ以上だ。今も昔もこれからも、ずっと流和は『俺の』だ。はずしてくれ、虫めがねちゃん」
空が優を睨みつけた。
優は仕方なく椅子から立ち上がり、わざとらしく溜め息をついた。――ギリギリおまけで合格点。
「わかった、じゃ、私は図書室にいるから、何かあったら呼んで」
そう言って優が歩き始めると、空はやっと落ち着いて流和に向き直り、話を続けようとした。
「流和、……」
「そこのクッキー私のだから食べないでよ!」
去り際、優が振り返って叫んだ。
「わかった! 頼むから早く行ってくれ」
ペースを乱されて、空が神経質に手を振った。
あの日、親友の朱雀の前で泣いたことを、空は今でもよく覚えている。
ダイナモン魔法学校で最上位の石を持つ者は、誰でもデュエルを申し込まれる。デュエルは断ることを許されない。
流和は、一族の不毛な争いに巻き込まれ、毎日のようにデュエルを申し込まれ、とても苦しんでいた。
空には、流和が争いを好まないことがよく分かっていた。
流和にとっては、デュエルで相手を傷つけることと、自分が傷つけられることは、同じ痛みだったのだ。
そのうち、流和は戦わなくなった。黙って相手にやられるようになった。
空にはすべて分かっていたのに、どうすることも出来なかった。
ごめん、と、謝ることも、行くな、と、引き止めることも・・・・・・。
思いのたけをぶちまけて、朱雀の前で恥も外聞も忘れて泣いたとき、朱雀は言った。
『ダッせーな、空。悔しくて泣いてる暇があったら、自分の女に、誰にも手出しされないくらい、もっと強くなれ。
そうすれば、次からは、お前が守ろうとするものは、俺も守ってやる』
あの日から、空は必死に強くなる努力をした。
風属性最上位の石を持つ魔法使いとしてではなく、一人の大切な人を守るために、強い男になりたかった。
――誰がお前の力なんか借りるかよ、馬鹿野郎。
午後からも授業をサボることにした優と流和は、まだ図書館裏の薔薇園に陣取っていた。
テーブルの上には、流和が学生寮から持って来たクッキーが並べられている。
優は、クッキーと紅茶を楽しみながら読書にふけり、流和は放課後の部活に備えてクロスをもて遊んでいた。
流和は、聖ベラドンナ女学園ラクロス部のエースだ。
クロスを素振りしながら、流和が優に訊ねた。
「さっきから、何をそんなに真剣に読んでるの?」
「炎の魔法使いシュコロボビッツと、ナジアスの伝説だよ」
優が分厚い本から顔を上げずに答えた。
「あ、その話知ってる! とってもロマンチックなのよねー」
「でも、ただの伝説でしょ?」
優がクッキーをかじりながら顔を上げると、流和は真面目な表情で首を振った。
「いいえ、実話よ。最初の炎の魔法使いシュコロボヴィッツと、まだ若い火の魔法使いナジアスが力を合わせて邪悪な魔女を封印した話は、魔法界でも有名なの。その魔女が封印されている墓は、今も沈黙の山にあるのよ」
「へー、実話なんだ。シュコロボヴィッツって、炎の魔法使いのことだよね」
「もともと、シュコロボヴィッツは人の名前なの。彼が最初の炎の魔法使いだったから、後に炎の魔法使いのことを、その名前をとってシュコロボヴィッツと呼ぶようになったそうよ」
「私、シュコロボヴィッツみたいな人が好きだな」
と、優が唐突に言った。
「炎の魔法使いが好き、ってこと?」
念のため、流和が聞き返した。というのは、流和はシュコロボヴィッツ、つまり優以外のもう一人の、炎の魔法使いを知っているからだ。
ダイナモン魔法学校にいた、高円寺朱雀のことが、流和の頭をよぎった。
「違うよ、魔法使いは嫌い。そうじゃなくて、シュコロボヴィッツみたいに、紳士的で洞察力があって、優しい男の人が好きってこと」
「あー、なるほどね」
流和は頭の中に浮かんだ朱雀の顔を掻き消した。
朱雀には洞察力はあるかもしれないが、女癖の悪い朱雀は紳士的ではないし、傲慢で優しさの欠片もないからだ。
優が朱雀を好きになるはずはない。
「ねえ、流和」
優が突然顔色を変えた。
「何?」
「昨日のカードのこと覚えてる? ビーナスが鳥と見つめ合ってたカードで、流和が愛する人と再会するって、永久は言ってた。確か、ダイナモンにいる流和の彼氏は、風の魔法使いだよね」
「うん」
流和が頷くと、優は読んでいた本を閉じて、顔を上げた。
「さっきから、強い風の力を感じるんだ・・・・・・」
「え?」
カーカー!
木の枝から飛び出したカラスがいきなり甲高く鳴いたので、優と流和は同時に楓の木を見上げた。
突如、強い風が吹き抜けた。
木々が一斉にざわめき立ち、庭に薔薇の花が舞い上がった。
「――流和」
風の音が流和の名前を呼んだように聞こえたので、流和の心臓が跳ね上がった。
それは、すっかり声変わりして、低くなった、優しい響き。いつも、風のように突然現れる彼なのだろうか……? そんな、まさか。
流和は声のした方に、ゆっくりと振り向いた。
するとそこに、さっきからずっとその場所にいたかのように流和たちのテーブルの前に座っている、一人の青年がいた。
青年は、眩しそうに流和を見つめていた。
「空……?」
流和の表情が固まった。
あまりに驚いて、上手く言葉が出てこない。ただ、青年の柔らかそうな猫っ毛が額にかかっているのを見て、少し髪が伸びたな、と流和は思った。
再び会える日を夢にまで見ていたのに、いざ再会してみると、最初に頭に浮かぶのはそんなことなのだ。
次の瞬間、流和は我に返って大きな声を出した。
「空!? ダイナモンから来た留学生って、あなただったの?」
空が優雅に足を組んで、微笑んだ。
空は代々、風属性を継ぐ由緒正しい家系である東雲(しののめ)家の御曹子だ。不良っぽく振る舞ってはいても、ふとした時に育ちの良さが出るのはそのせいだ。
空は熱に浮かされたように流和を見つめ返した。
だが、そんな空に対して流和は冷たく問い詰める。
「一体何しに来たの」
「酷いな、久しぶりに会ったのに、冷たいじゃん」
流和の言葉に気分を害したように、空は肩をすくめて、辺りを見回した。
ただし、同じテーブルに座っている優には見向きもしない。優の存在に気づかないはずはないのに。
「このクッキー上手そう、流和が作ったのか? 懐かしいな・・・・・・」
空がテーブルの上のクッキーに目をとめ、おもむろに手を伸ばした。その瞬間、テーブルの向かいに座っていた優がクッキーの籠を自分の方に引き寄せて、空に届かないようにした。
「これは私のなの」
優が言ったので、その時初めて、空が優の方を見た。
「・・・・・・。」
空は、存在感のない置物でも見るように、優を一瞥した。
そして優の黄色いスキーゴーグルを見て、ついさっき吏紀に見せられた写真のことを思い出す。――マジックストーンを持たないほどの低級魔法使い。
「お前! 写真の眼鏡だな、ははん、学年一劣等生っていうのはお前か、どうりで存在感が薄いわけだ」
優は、プイとそっぽを向いて、見せつけるようにクッキーを一口噛んだ。
空が嫌な顔をする。
「流和の作ったクッキーは、いつも俺が食べてたんだ。一つもらってもいいかな」
「ダメ」
まるで、子ども同士のお菓子の取りあいだ。
「優は私の親友なのよ、空」
流和が、空をなだめるように言った。
「親友だって?」
流和がそんな言葉を使うのを、空はこのとき初めて聞いた。そういえば、ダイナモン魔法学校には、流和が親友と呼べる女子生徒はいなかったっけ。
空はたちまち、優に対して嫉妬心を燃え上がらせた。
「いいだろ、一つくらい」
空が再びクッキーの籠に手を伸ばすと、優がピシャっとその手を叩く。
「なんだよ、お前! ……ああそうかい。ひどく性格のよじれ曲がったお友達だよ、まったく」
空は立ち上がると、流和に歩み寄った。
「流和、話がある。二人きりで」
「何なの?」
空が、優しく流和の腕を掴んだ。
「あなた、背が伸びたわ」
「背くらい伸びるよ」
空と流和が見つめ合った。
そんな二人を、優が黄色いスキーゴーグルの奥からじっと見つめた。
口に詰め込んだクッキーを紅茶で喉の奥に流しこみ、優は口元をニヤニヤさせて、テーブルに肘をついた。
テレビのラブシーンは、積極的に身を乗り出して見る方なのだ。
だがそんな優の存在を不愉快に感じた空が、苛立ちを隠さずに優を振り返った。
「お前、空気読めよ」
「なに?」
「流和と二人で話したいんだ、他人に見られてたら気が散る」
「あなた、流和のなんなわけ? 友だち?」
優には、一目で二人が恋人同士だということが分かっていた。だから鎌をかけた質問だ。
優の親友の流和は今でも空のことを思っているが、空は流和のことをどう思っているのか。
それをハッキリ答えられないなら、彼に流和と話す資格はない、と、優は思った。
「俺は流和の……、」
空が一瞬、言葉を詰まらせた。でもそれは、言葉にするのがためらわれたからじゃない。どんな言葉がしっくりくるか分からなかったからだ。
「恋人?」、「彼?」、そのどちらの言葉も、流和への思いを表現するにはふさわしくないように感じた。
「あなたは流和の、ただの友だち?」
「違う、それ以上だ。今も昔もこれからも、ずっと流和は『俺の』だ。はずしてくれ、虫めがねちゃん」
空が優を睨みつけた。
優は仕方なく椅子から立ち上がり、わざとらしく溜め息をついた。――ギリギリおまけで合格点。
「わかった、じゃ、私は図書室にいるから、何かあったら呼んで」
そう言って優が歩き始めると、空はやっと落ち着いて流和に向き直り、話を続けようとした。
「流和、……」
「そこのクッキー私のだから食べないでよ!」
去り際、優が振り返って叫んだ。
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