75 / 134
第7章 戦え、生きるために。
9話
しおりを挟む
「じゃあ、朝は燃える石炭を与えるのね?」
「そう。石炭の中にミルトスの葉を入れてやるとドラゴンたちが喜ぶんだけど、最近はミルトスってすごく貴重なんだよね。今朝も森に出て探したんだけど、やっぱり見つからなかった」
「ふーん、そうなんだ」
三次と一緒にドラゴン小屋から帰って来た優は、食堂に向かいながら、ドラゴンたちにやる餌のことについて少しだけ教えてもらうことができた。
「君はドラゴンと話ができるんだよね?」
「うん。でも、話したがらない子もいたけどね。チビのやつとか、白い長いやつとか」
「シュピシャードラゴンは人見知りをするし、サンクタスは僕たちのことを馬鹿にしているからね。ねえ、もしドラゴンたちが食べたがっている物が分かったら、僕に教えてよ。なるべく要望に応えるように頑張るから」
「わかった、ありがとう。あ、そうだ三次」
「ん?」
「好きなお菓子ってある?」
「え、僕?」
「うん」
そうして肩を並べて優と三次が食堂に入って行くと、すぐに永久が呼ぶ声がした。
「優! 遅かったわね、こっちよ!」
「あ、永久だ」
優が立ち止り親友を振りかえると、三次がニコリと微笑んで言った。
「僕はスコーンが好き。じゃあ、ここで。また後でね」
「うん」
優は三次に手を振って別れ、永久と流和が待つテーブルに進んだ。
必要な情報が手に入った優はニンマリした。これで、優が作るお菓子はスコーンに決定だ。
優が席につくとテーブルには、吏紀、空、そして朱雀もいて、早速みんなが口々に質問をしてきた。
「ちょっとあの子、試しの門のときに一緒だった子じゃない?」
と、流和。
「なんでこんなに遅いんだ」
と、不満そうな朱雀。
「三次はドラゴン飼育員の一人なんだよ。餌をやる係でね。いろいろ教えてもらってるんだけど、慣れないことが多くて遅くなっちゃったの」
「で、ドラゴン飼育ってどんな感じなんだ?」
「噛みつかれたりしなかった?」
吏紀と永久が同時に質問をしてしまったので、二人は照れくさそうに見つめ合いながら微笑んだ。
そんな様子からも、吏紀と永久の二人がどんどん仲良くなっているのが分かる。
優は少し興奮した様子で話し始めた。
「檻の中から火花を吹いてきたり、髭を伸ばしてきたりするやつがいるの! ちょっと危険なやつもいるけど、なんとかやっていけそうだよ」
「俺との早朝訓練はどうするつもりだ」
「早朝訓練は無理だね」
「なんだって……」
バッサリと言ってのけた優の言葉に、食後のコーヒーを手に取ろうとしていた朱雀の手が止まった。
その表情がサッと強張ったことに、優以外の全員が気づいていたが、肝心の優はビュッフェの中から上機嫌で果物を取り分けている。
「無理ってどういうことだ」
テーブルの向こうから睨みつける朱雀を尻目に、優はパイナップルの切れ端を口に頬張った。
「グルエリオーサが無事に出産するまでは無理。だって私が毎朝ファイヤーストームを焚いてあげないといけないから。彼女、今とっても弱っているから、助けてあげたいの。ねえ朱雀、特訓は夜にしてもらえない?」
「……。夜?」
「うん。夜ならゆっくり時間をとれそうだよ」
てっきり朱雀との特訓を嫌がっていたと思ったのに、優の意外な提案に朱雀が少し驚いた顔をした。
「魔力が研ぎ澄まされるのは早朝か深夜だ。特訓をするならその時間帯が一番効率がいいんだぞ」
「でも朱雀、ドラゴンを相手にファイヤーストームを焚くのも特訓の一部になるんじゃないかしら……」
と、流和が助け舟を出す。
流和の言葉に、朱雀は少し考えてから頬づえをついた。
「で、あの雌ドラゴンが出産するのはいつだ」
「さあ、わかんない。それは聞かなかったよ」
優が肩をすくめると、朱雀がおもむろに立ちあがり、食堂の反対側にいる三次に向かって大声で怒鳴った。
「おい、お前!」
ちょうど友だちと話していたらしい三次が朱雀の声に顔を上げる。
「え、僕?」
「雌ドラゴンの出産はいつだ」
「さあ、熊骸先生はあと一週間くらいだろう、って言ってたけど、前例がないからハッキリしたことは分からないらしいよ」
「そうか」
朱雀はそれだけ聞くと、三次にお礼も言わずに席に座り直し、ゆっくりとコーヒーをすすってから言った。
「今日から一週間は、夜8時から10時までの夜間訓練にする。雌ドラゴンの出産後は早朝訓練に切り替える」
「朱雀、三次と知り合いだったの?」
「いや」
「知り合いでもないのにあんな横暴な聞き方して、失礼だよ」
優が抗議すると、朱雀はすました顔で微笑み、優雅な手つきでコーヒーカップを置いて立ちあがった。
「それじゃ、今夜8時に中央広間で。杖とブックを忘れるなよ。それから」
「なによ」
「一秒たりとも遅刻するな、飼育員」
それだけ言うと、朱雀は足早に去っていった。
「何なの、あの言い方。頭にきちゃうよ」
優が口を尖らせて小言を言った。
「いやあ、毎日が新鮮だぜ。朱雀がこれだけ他人に干渉するなんて、初めて見るからな」
空が流和にウィンクしてから朱雀の後を追いかけて行った。
「そろそろ行かないと授業に遅れる。君たちも急げ。じゃあ、あとで」
と、吏紀も空に続いて席をあとにした。
男子3人が去ってから、永久がぼそりと呟いた。
「でも、朱雀くんがああ言うのもちょっと分かる気がするな」
「え、どうして? 永久」
「時が迫っている、ということよ。今私たちは、魔女と闘うために必要な術を物凄い早さで教え込まれている。それだけ、私たちには時間がないんだってことが、強く感じられるの。私、とっても不安よ」
「そうね。実際、ここ何日かでダイナモンの授業形態は、大きく変わったもの。明らかに死ぬ危険を想定した『実戦』を意識してる。先生たちもピリピリしてるし……」
永久や流和は、優が怪我をして医務室で眠っている間や、杖とブックを取りに実家に帰っている間もダイナモンで授業を受けていたから、優よりも魔法界の状況に詳しいようだ。そのため、優よりもリアルに自分たちが置かれている深刻な状況に気が付いているみたいだった。
「今日も私たち、特別授業よ」
「え、特別授業?」
「そう。時の賢者ゲイルと、教頭の桜坂先生、それに魔法戦争学の播磨先生と魔法魔術学の神原先生の4人が合同で、特別な野外実習を1日がかりでするらしいわ」
流和の言葉に、優は嫌な顔をする。
「野外実習なんてするんだ……。それって、どうしても行かなきゃいけないの?」
早くも優は何か適当な理由をつけてサボることを考え始めた。
「あのねえ、優。今回みたいな合同授業はダイナモンでも珍しくて、これってすごいことなのよ。中でも賢者ゲイルが私たちに授業をしてくれることなんて、普通だったらまず無いことなんだから、サボるなんてそれこそ絶対に無理だからね」
「ゲイルって、かなりお婆ちゃんの人だよね。……大丈夫なの? 外に出て」
「ちょ、優。賢者ゲイルに『お婆ちゃん』なんて言ったらダメだからね。すごい人なんだから」
「ほら、早く朝食をすませて私たちも行かないと、授業に遅れちゃうよ」
それから優は急いで朝食を済ませると、野外実習に必要なものを取りに自分の部屋に戻った。防寒用のジャンパーや、お菓子や水筒を持って行かないといけない。
数分後、リュックサックを背負って降りて来た優を、城の正面玄関で流和と永久が待っていた。
他にも野外実習に出かける生徒たちが、城の出入り口に集まっていて、エントランスはごった返していた。
「本日、野外実習に行く生徒は千年桜の木の下へ急げ!」
熊骸先生がエントランスに固まっている生徒たちを次々に外に押し出している。
その生徒たちの流れに沿って優も流和と永久と一緒に外に出ようとすると、一人の恰幅の良い婦人が優たちを呼びとめた。
「ちょっとあなたたち! お弁当は持ったの?」
見ると、婦人は小さなワゴンを押しており、その中にあと3つのお弁当が残っていた。
「峰子夫人!」
流和が親しみを込めて婦人に挨拶した。
「優、永久。この人は小間内峰子(こまうち ミネコ)夫人よ。ダイナモン魔法学校の食堂の料理を取り仕切ってるの。峰子夫人のご主人はダイナモンで庭師兼門番をされていて、小間内夫妻は夫婦揃ってダイナモンで長く働かれてるの」
流和に紹介されて、優と永久も夫人に頭を下げた。
「お弁当、いくらですか?」
優が聞くと、夫人は鼻に皺を寄せておどけた顔をすると、優の手にお弁当を押しつけて来た。
「子どもたちに食べさせるのが仕事なのに、お金なんか取ったりするものですか。あなた痩せてるわねえ。好き嫌いせずに、ちゃーんと食べること。ほら、特別栄養弁当をたんと召しあがれ」
「あ、ありがとうございます」
「峰子夫人、ありがとう」
「ありがとうございます」
優たち3人は、それぞれ夫人からお弁当を授かって、外に送りだされた。
「行ってらっしゃい! 気をつけてね!」
「行ってきます!」
ちなみに、優の『特別栄養弁当』に対し、流和のは『美肌弁当』で、永久のは『元気が出る弁当』だ。
どのお弁当もピンク色をしたハート型の木箱に入っている。
流和が嬉しそうに言った。
「ダイナモンの食堂で出される料理を食べれば分かると思うけど、峰子夫人の料理はとっても美味しいと評判が高いの。手作り弁当は特に絶品でね。私たち運が良かった」
ピンク色でハート形のお弁当箱なんて、素敵すぎる、と優も思った。
優は大事そうに、お弁当をリュックの中にしまった。
「そう。石炭の中にミルトスの葉を入れてやるとドラゴンたちが喜ぶんだけど、最近はミルトスってすごく貴重なんだよね。今朝も森に出て探したんだけど、やっぱり見つからなかった」
「ふーん、そうなんだ」
三次と一緒にドラゴン小屋から帰って来た優は、食堂に向かいながら、ドラゴンたちにやる餌のことについて少しだけ教えてもらうことができた。
「君はドラゴンと話ができるんだよね?」
「うん。でも、話したがらない子もいたけどね。チビのやつとか、白い長いやつとか」
「シュピシャードラゴンは人見知りをするし、サンクタスは僕たちのことを馬鹿にしているからね。ねえ、もしドラゴンたちが食べたがっている物が分かったら、僕に教えてよ。なるべく要望に応えるように頑張るから」
「わかった、ありがとう。あ、そうだ三次」
「ん?」
「好きなお菓子ってある?」
「え、僕?」
「うん」
そうして肩を並べて優と三次が食堂に入って行くと、すぐに永久が呼ぶ声がした。
「優! 遅かったわね、こっちよ!」
「あ、永久だ」
優が立ち止り親友を振りかえると、三次がニコリと微笑んで言った。
「僕はスコーンが好き。じゃあ、ここで。また後でね」
「うん」
優は三次に手を振って別れ、永久と流和が待つテーブルに進んだ。
必要な情報が手に入った優はニンマリした。これで、優が作るお菓子はスコーンに決定だ。
優が席につくとテーブルには、吏紀、空、そして朱雀もいて、早速みんなが口々に質問をしてきた。
「ちょっとあの子、試しの門のときに一緒だった子じゃない?」
と、流和。
「なんでこんなに遅いんだ」
と、不満そうな朱雀。
「三次はドラゴン飼育員の一人なんだよ。餌をやる係でね。いろいろ教えてもらってるんだけど、慣れないことが多くて遅くなっちゃったの」
「で、ドラゴン飼育ってどんな感じなんだ?」
「噛みつかれたりしなかった?」
吏紀と永久が同時に質問をしてしまったので、二人は照れくさそうに見つめ合いながら微笑んだ。
そんな様子からも、吏紀と永久の二人がどんどん仲良くなっているのが分かる。
優は少し興奮した様子で話し始めた。
「檻の中から火花を吹いてきたり、髭を伸ばしてきたりするやつがいるの! ちょっと危険なやつもいるけど、なんとかやっていけそうだよ」
「俺との早朝訓練はどうするつもりだ」
「早朝訓練は無理だね」
「なんだって……」
バッサリと言ってのけた優の言葉に、食後のコーヒーを手に取ろうとしていた朱雀の手が止まった。
その表情がサッと強張ったことに、優以外の全員が気づいていたが、肝心の優はビュッフェの中から上機嫌で果物を取り分けている。
「無理ってどういうことだ」
テーブルの向こうから睨みつける朱雀を尻目に、優はパイナップルの切れ端を口に頬張った。
「グルエリオーサが無事に出産するまでは無理。だって私が毎朝ファイヤーストームを焚いてあげないといけないから。彼女、今とっても弱っているから、助けてあげたいの。ねえ朱雀、特訓は夜にしてもらえない?」
「……。夜?」
「うん。夜ならゆっくり時間をとれそうだよ」
てっきり朱雀との特訓を嫌がっていたと思ったのに、優の意外な提案に朱雀が少し驚いた顔をした。
「魔力が研ぎ澄まされるのは早朝か深夜だ。特訓をするならその時間帯が一番効率がいいんだぞ」
「でも朱雀、ドラゴンを相手にファイヤーストームを焚くのも特訓の一部になるんじゃないかしら……」
と、流和が助け舟を出す。
流和の言葉に、朱雀は少し考えてから頬づえをついた。
「で、あの雌ドラゴンが出産するのはいつだ」
「さあ、わかんない。それは聞かなかったよ」
優が肩をすくめると、朱雀がおもむろに立ちあがり、食堂の反対側にいる三次に向かって大声で怒鳴った。
「おい、お前!」
ちょうど友だちと話していたらしい三次が朱雀の声に顔を上げる。
「え、僕?」
「雌ドラゴンの出産はいつだ」
「さあ、熊骸先生はあと一週間くらいだろう、って言ってたけど、前例がないからハッキリしたことは分からないらしいよ」
「そうか」
朱雀はそれだけ聞くと、三次にお礼も言わずに席に座り直し、ゆっくりとコーヒーをすすってから言った。
「今日から一週間は、夜8時から10時までの夜間訓練にする。雌ドラゴンの出産後は早朝訓練に切り替える」
「朱雀、三次と知り合いだったの?」
「いや」
「知り合いでもないのにあんな横暴な聞き方して、失礼だよ」
優が抗議すると、朱雀はすました顔で微笑み、優雅な手つきでコーヒーカップを置いて立ちあがった。
「それじゃ、今夜8時に中央広間で。杖とブックを忘れるなよ。それから」
「なによ」
「一秒たりとも遅刻するな、飼育員」
それだけ言うと、朱雀は足早に去っていった。
「何なの、あの言い方。頭にきちゃうよ」
優が口を尖らせて小言を言った。
「いやあ、毎日が新鮮だぜ。朱雀がこれだけ他人に干渉するなんて、初めて見るからな」
空が流和にウィンクしてから朱雀の後を追いかけて行った。
「そろそろ行かないと授業に遅れる。君たちも急げ。じゃあ、あとで」
と、吏紀も空に続いて席をあとにした。
男子3人が去ってから、永久がぼそりと呟いた。
「でも、朱雀くんがああ言うのもちょっと分かる気がするな」
「え、どうして? 永久」
「時が迫っている、ということよ。今私たちは、魔女と闘うために必要な術を物凄い早さで教え込まれている。それだけ、私たちには時間がないんだってことが、強く感じられるの。私、とっても不安よ」
「そうね。実際、ここ何日かでダイナモンの授業形態は、大きく変わったもの。明らかに死ぬ危険を想定した『実戦』を意識してる。先生たちもピリピリしてるし……」
永久や流和は、優が怪我をして医務室で眠っている間や、杖とブックを取りに実家に帰っている間もダイナモンで授業を受けていたから、優よりも魔法界の状況に詳しいようだ。そのため、優よりもリアルに自分たちが置かれている深刻な状況に気が付いているみたいだった。
「今日も私たち、特別授業よ」
「え、特別授業?」
「そう。時の賢者ゲイルと、教頭の桜坂先生、それに魔法戦争学の播磨先生と魔法魔術学の神原先生の4人が合同で、特別な野外実習を1日がかりでするらしいわ」
流和の言葉に、優は嫌な顔をする。
「野外実習なんてするんだ……。それって、どうしても行かなきゃいけないの?」
早くも優は何か適当な理由をつけてサボることを考え始めた。
「あのねえ、優。今回みたいな合同授業はダイナモンでも珍しくて、これってすごいことなのよ。中でも賢者ゲイルが私たちに授業をしてくれることなんて、普通だったらまず無いことなんだから、サボるなんてそれこそ絶対に無理だからね」
「ゲイルって、かなりお婆ちゃんの人だよね。……大丈夫なの? 外に出て」
「ちょ、優。賢者ゲイルに『お婆ちゃん』なんて言ったらダメだからね。すごい人なんだから」
「ほら、早く朝食をすませて私たちも行かないと、授業に遅れちゃうよ」
それから優は急いで朝食を済ませると、野外実習に必要なものを取りに自分の部屋に戻った。防寒用のジャンパーや、お菓子や水筒を持って行かないといけない。
数分後、リュックサックを背負って降りて来た優を、城の正面玄関で流和と永久が待っていた。
他にも野外実習に出かける生徒たちが、城の出入り口に集まっていて、エントランスはごった返していた。
「本日、野外実習に行く生徒は千年桜の木の下へ急げ!」
熊骸先生がエントランスに固まっている生徒たちを次々に外に押し出している。
その生徒たちの流れに沿って優も流和と永久と一緒に外に出ようとすると、一人の恰幅の良い婦人が優たちを呼びとめた。
「ちょっとあなたたち! お弁当は持ったの?」
見ると、婦人は小さなワゴンを押しており、その中にあと3つのお弁当が残っていた。
「峰子夫人!」
流和が親しみを込めて婦人に挨拶した。
「優、永久。この人は小間内峰子(こまうち ミネコ)夫人よ。ダイナモン魔法学校の食堂の料理を取り仕切ってるの。峰子夫人のご主人はダイナモンで庭師兼門番をされていて、小間内夫妻は夫婦揃ってダイナモンで長く働かれてるの」
流和に紹介されて、優と永久も夫人に頭を下げた。
「お弁当、いくらですか?」
優が聞くと、夫人は鼻に皺を寄せておどけた顔をすると、優の手にお弁当を押しつけて来た。
「子どもたちに食べさせるのが仕事なのに、お金なんか取ったりするものですか。あなた痩せてるわねえ。好き嫌いせずに、ちゃーんと食べること。ほら、特別栄養弁当をたんと召しあがれ」
「あ、ありがとうございます」
「峰子夫人、ありがとう」
「ありがとうございます」
優たち3人は、それぞれ夫人からお弁当を授かって、外に送りだされた。
「行ってらっしゃい! 気をつけてね!」
「行ってきます!」
ちなみに、優の『特別栄養弁当』に対し、流和のは『美肌弁当』で、永久のは『元気が出る弁当』だ。
どのお弁当もピンク色をしたハート型の木箱に入っている。
流和が嬉しそうに言った。
「ダイナモンの食堂で出される料理を食べれば分かると思うけど、峰子夫人の料理はとっても美味しいと評判が高いの。手作り弁当は特に絶品でね。私たち運が良かった」
ピンク色でハート形のお弁当箱なんて、素敵すぎる、と優も思った。
優は大事そうに、お弁当をリュックの中にしまった。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる