106 / 134
第9章 誰も死なせない!
7話
しおりを挟む
ベラドンナの3人が去った医務室で、空が呟いた。
「さっきの、なに」
朱雀が寝返りを打って空の方に向き、肘をついて手の上に頭をのせた。
「なにって、何が」
「キスしたいならすればいいのに、なんであんなまどろっこしいことするわけ。なんだか気味が悪いぜ」
「キスしたら、噛まれそうだからな」
と、朱雀が天井を見上げて少し笑った。
「ちゃかすなよ。昨日のパーティーでだっていい雰囲気だったじゃん。なのに気付いたら美空と踊ってるし……まったく、お前たちには唖然とさせられてばかりだよ」
「言っておくけど、美空と踊ったのは優の提案だったんだ。最後の舞踏会になるかもしれないから、けじめをつけろっていう意味だったらしい。俺たちなりに、納得してやったことだ」
「優とキスしたのか」
「いや。……火花の散る人工呼吸ならしたけどな」
「ちゃんとしたキスをまだしてないんだな?」
「いいだろ、べつに。多分、吏紀だってまだしてないぜ」
「俺たちを巻き込まないでくれ」
と、それまで黙っていた吏紀が迷惑そうな顔をする。
「吏紀は貞節な男だから、キスしてないとしても不思議じゃない。けど朱雀は……出会って瞬き3回でキスするような男だろう。少なくとも今までは、いろんな女とそうだったのに、優とはそういかないなんて、変だろ」
「おせっかいするんじゃない、空」
と、吏紀が口を挟んだ。そろそろ、朱雀が怒りだすのではないかと懸念したからだった。
けれど、朱雀は逆に面白そうに空を見つめて言った。
「何を心配してる?」
「それを言ったら、怒りそうだから言いたくない」
「怒ったって今は魔法は使えない。言うなら今だぜ」
「じゃあ言うけど、俺は心底心配なのさ。お前はちゃんと、優を心から好きなのか? 闇の魔法使いにナリかけたことで、心がおかしくなったりしてないよな?」
朱雀は不意にベッドから抜け出すと、空の上で屈みこんで、両手をついた。
そしていきなり、空の顎をつかむと口を開いて濃厚なキスを仕掛けた。
「ん!」
抵抗しようにも、空は全身がギブスでぐるぐる巻きなので、顔をそむけることすらできない。
隣のベッドから見ていた吏紀が、この上もなく嫌な顔で朱雀の行為を見つめていた。
「気でも触れたのか……」
空にとっては、永遠とも思えるような時間が経過した後、朱雀が強引な唇を放したので、やっと息をすることができた。
心拍の上昇と、呼吸が制限されていたことが重なって、空の息が乱れる。
「なんてことするんだ、馬鹿野郎!」
と、空が顔を真っ赤にして怒鳴った。
だが、朱雀は真顔で問う。
「どうだった?」
「最悪だよ!」
そうは言ったものの、他の女子が朱雀に腰抜けにされてきた理由が、空にはこのとき少しだけ分かったような気がした。――実に不本意ながら。
朱雀は熱を帯びた目で空を見下ろすと、だが、その目は空を見てはいない、少し困った顔をして言った。
「優のことを思うと、内側から湧いてくる衝動を抑えるのは楽じゃないさ。こんなんじゃまだまだ足りない。けど、きっと本番になっても、こんなふうには気持ちをぶつけられないに決まってる……。嫌われるのが恐いんだ」
「はあ? バカみたいなこと言ってないで、さっさとやることやれよ! こっちは、いい迷惑だ!」
「俺にとって優は、この先ずっとともに生きてゆきたい特別な女なんだ。単なる淡い恋心で終わらせるつもりはないし、すでにもう、淡い恋心なんていうレベルじゃない。ああ……優があんなにウブじゃなければよかったのに……男と女が普通にやるようなことを、あいつがちゃんと理解しているとは思えない。それが問題なのさ」
朱雀は気だるく自分のベッドに戻ると、仰向けになってまた頭の下で手を組んだ。
「なにいってるんだ? ウブというなら、俺の流和だって、吏紀の永久だって同じだと思うぜ。そんなのは言い訳さ」
「流和のどこがウブなんだよ。10代でセックスを経験してる女はウブとは言わないんだぜ」
と、朱雀が空を睨んで言った。空が少しだけ頬を赤らめて反論する。
「けど、俺たちは真剣に結婚まで考えてるし、それに、流和は俺が初めてで最後だ」
「なら、空もウブだな」
「どこが! 頭の中でいろいろやってるぜ。ウブっていうのは吏紀みたいなのを言うのさ」
「言わせてもらうが」
と、これには吏紀が異議を唱えた。
「知識と洞察力を持っているという点で俺もウブじゃない。強いて言うなら、九門家の名に恥じない貞節と清純を守っているというだけのことだ。ただ、永久は、……彼女はウブと言えるかもしれない」
空と吏紀の反論で話がそれそうになったので、朱雀は面倒くさそうに手を振って遮った。
「流和と永久がウブだとして、けどな。あの二人は優と違って、心構えができている気がする。つまり、男女の関係についての構えだ。こちらがキスしようという雰囲気を作れば、それを察知してYESかNOか反応を返してくると思うぜ。けど優にはそういう構えがないんだ。押していいのかダメなのかが全然わからない。だってそうだろ、さっき俺がムラムラするって暗にほのめかしても、きょとんとしてるし。唇の端を舐めても、頬一つ赤らめないんだから」
そう言いながら朱雀は、ダイナモンの地下浴場で、朱雀の全裸を見た優が泣き叫んだのを思い出した。
あれは、朱雀が優に忌み嫌われた瞬間だった。今思いだすと、すごく心が痛んだ。
あの時みたいに優に拒絶されるのはイヤだった。だから強引なことはしたくないのに、どこまで許容してもらえるのかという境界もイマイチ分からないから、悩むのだ。
「それは言えてるかもな」
と、吏紀が頷くと、空が真剣に言った。
「そう思うんだったら、少しずつやっていけばいいだろう。いきなりさっきみたいな濃厚なキスはよして、初めは頬にでもさ。それから『キスするぞ』って明確に宣言してから、相手の了解を得た後に、軽く唇に触れるやつを。……俺だって、初めて流和とキスしたときは先に、「キスしていいかい?」って聞いたぜ。それを何回か繰り返して下積みをしてから、あとは自然の流れに任せればいいんだ」
「ああ、なんとも簡単そうだな」
と、朱雀は投げやりに溜め息をついた。
同じ頃、遅めの昼食をとっていた流和、永久、優の3人も、先ほどあった医務室での出来事を話し合っていた。
口火を切ったのは永久だった。
「ねえ、優。さっき医務室で、朱雀くんが優にキスみたいなことをしたように見えたんだけど、優はなんとも思わなかった?」
「え? キスなんてしてないよ。いつ?」
「やっぱり気づいてなかったんだ! ほら、チョコバーを食べてたときよ」
「私には朱雀が、優の口の端を舐めたように見えたわ」
と、流和。
「ああ、あれ。チョコがついてたのを取ってくれたんだよ」
「……。」
「……。」
言葉を失う流和と永久をよそに、優はフルーツサラダの上にヨーグルトクリームをたっぷりかけて、ホークで軽快に掻きまわした。
「朱雀とはもう、キスをした?」
「したよ、おでこに」
「そうじゃなくて、ちゃんとした唇のキス」
「それは、あ! そういえば昨日、朱雀を暗闇から引き戻すときにしたんだった。本当は舞踏会の終わりにキスする約束だったんだけど、あんなことがあったでしょ……」
「んーー、それもなんか、ちゃんとしたキスとしてカウントするにはイマイチね」
「じゃあ優は、朱雀くんとキスしたいと思ってる?」
永久の質問に、優がホークを止めた。
「どうしてそんなことを聞くの?」
「なんていうか……、優って、そういうことに興味がないように見えたから、どうなのかな、って」
「ええ!? うそ、私ってそんなふうに見えてる? 私、すーっごくキスするの好きだよ!」
優の声があまり大きいので、食堂にまばらにいたダイナモンの生徒が何人か振り返った。
「興味がないのは朱雀の方じゃないの? まだ関係が浅いっていうのもあるけど、これまでのところ、朱雀がそういうことをしようとしたこと、ないもの。口ではいろいろ言うけどね」
「……。」
「……。」
流和が咳払いをして、紅茶のカップを置いた。
「私が口を出すようなことじゃないかもしれないけど、ダイナモンに入学したときからずっと朱雀を遠めに見て来た私の目には、朱雀が優にキスしたがっているように見えるわ」
「え、そうかな」
「空もそういうところがあるんだけど、男って、あんまりジらしたり、こちらが無反応だったりすると、勝手に傷ついて自信を失くしたりするところがあるのよね。優が悪いんじゃなくて、多分、朱雀の愛情表現が優に上手く伝わっていないだけなんだと思うのよ。だから、優がもしキスしてもいいって思っているのだったら、朱雀にその気持ちを伝えてもいいのじゃないかしら」
流和の熟練したアドバイスに、永久もうんうんと頷いた。
「私もそうするのがいいと思う。朱雀くん、なんだかちょっと寂しそうだったもん」
二人がそんなことを言うとは思わなかったので、優は正直、とっても驚いた。他人の恋愛事情には敏感なつもりだったのに、いざ自分のこととなると鈍感なのだろうか。流和と永久から指摘されるまで、朱雀がそんなふうな様子だなんて、優にはさっぱり分からなかったんだ。今だって、あまり実感が湧かない。
でもひとまず、今夜、医務室に行ったら朱雀と話してみようと思った。
「うん、わかったよ」
一方、流和と永久の二人は、またしても優があまりにあっけなく二人の言ったことを承諾したので、ちゃんと意味が分かっているのかしら? と不安になった。けれど、二人ともそれ以上は何も言わないことにした。
「さっきの、なに」
朱雀が寝返りを打って空の方に向き、肘をついて手の上に頭をのせた。
「なにって、何が」
「キスしたいならすればいいのに、なんであんなまどろっこしいことするわけ。なんだか気味が悪いぜ」
「キスしたら、噛まれそうだからな」
と、朱雀が天井を見上げて少し笑った。
「ちゃかすなよ。昨日のパーティーでだっていい雰囲気だったじゃん。なのに気付いたら美空と踊ってるし……まったく、お前たちには唖然とさせられてばかりだよ」
「言っておくけど、美空と踊ったのは優の提案だったんだ。最後の舞踏会になるかもしれないから、けじめをつけろっていう意味だったらしい。俺たちなりに、納得してやったことだ」
「優とキスしたのか」
「いや。……火花の散る人工呼吸ならしたけどな」
「ちゃんとしたキスをまだしてないんだな?」
「いいだろ、べつに。多分、吏紀だってまだしてないぜ」
「俺たちを巻き込まないでくれ」
と、それまで黙っていた吏紀が迷惑そうな顔をする。
「吏紀は貞節な男だから、キスしてないとしても不思議じゃない。けど朱雀は……出会って瞬き3回でキスするような男だろう。少なくとも今までは、いろんな女とそうだったのに、優とはそういかないなんて、変だろ」
「おせっかいするんじゃない、空」
と、吏紀が口を挟んだ。そろそろ、朱雀が怒りだすのではないかと懸念したからだった。
けれど、朱雀は逆に面白そうに空を見つめて言った。
「何を心配してる?」
「それを言ったら、怒りそうだから言いたくない」
「怒ったって今は魔法は使えない。言うなら今だぜ」
「じゃあ言うけど、俺は心底心配なのさ。お前はちゃんと、優を心から好きなのか? 闇の魔法使いにナリかけたことで、心がおかしくなったりしてないよな?」
朱雀は不意にベッドから抜け出すと、空の上で屈みこんで、両手をついた。
そしていきなり、空の顎をつかむと口を開いて濃厚なキスを仕掛けた。
「ん!」
抵抗しようにも、空は全身がギブスでぐるぐる巻きなので、顔をそむけることすらできない。
隣のベッドから見ていた吏紀が、この上もなく嫌な顔で朱雀の行為を見つめていた。
「気でも触れたのか……」
空にとっては、永遠とも思えるような時間が経過した後、朱雀が強引な唇を放したので、やっと息をすることができた。
心拍の上昇と、呼吸が制限されていたことが重なって、空の息が乱れる。
「なんてことするんだ、馬鹿野郎!」
と、空が顔を真っ赤にして怒鳴った。
だが、朱雀は真顔で問う。
「どうだった?」
「最悪だよ!」
そうは言ったものの、他の女子が朱雀に腰抜けにされてきた理由が、空にはこのとき少しだけ分かったような気がした。――実に不本意ながら。
朱雀は熱を帯びた目で空を見下ろすと、だが、その目は空を見てはいない、少し困った顔をして言った。
「優のことを思うと、内側から湧いてくる衝動を抑えるのは楽じゃないさ。こんなんじゃまだまだ足りない。けど、きっと本番になっても、こんなふうには気持ちをぶつけられないに決まってる……。嫌われるのが恐いんだ」
「はあ? バカみたいなこと言ってないで、さっさとやることやれよ! こっちは、いい迷惑だ!」
「俺にとって優は、この先ずっとともに生きてゆきたい特別な女なんだ。単なる淡い恋心で終わらせるつもりはないし、すでにもう、淡い恋心なんていうレベルじゃない。ああ……優があんなにウブじゃなければよかったのに……男と女が普通にやるようなことを、あいつがちゃんと理解しているとは思えない。それが問題なのさ」
朱雀は気だるく自分のベッドに戻ると、仰向けになってまた頭の下で手を組んだ。
「なにいってるんだ? ウブというなら、俺の流和だって、吏紀の永久だって同じだと思うぜ。そんなのは言い訳さ」
「流和のどこがウブなんだよ。10代でセックスを経験してる女はウブとは言わないんだぜ」
と、朱雀が空を睨んで言った。空が少しだけ頬を赤らめて反論する。
「けど、俺たちは真剣に結婚まで考えてるし、それに、流和は俺が初めてで最後だ」
「なら、空もウブだな」
「どこが! 頭の中でいろいろやってるぜ。ウブっていうのは吏紀みたいなのを言うのさ」
「言わせてもらうが」
と、これには吏紀が異議を唱えた。
「知識と洞察力を持っているという点で俺もウブじゃない。強いて言うなら、九門家の名に恥じない貞節と清純を守っているというだけのことだ。ただ、永久は、……彼女はウブと言えるかもしれない」
空と吏紀の反論で話がそれそうになったので、朱雀は面倒くさそうに手を振って遮った。
「流和と永久がウブだとして、けどな。あの二人は優と違って、心構えができている気がする。つまり、男女の関係についての構えだ。こちらがキスしようという雰囲気を作れば、それを察知してYESかNOか反応を返してくると思うぜ。けど優にはそういう構えがないんだ。押していいのかダメなのかが全然わからない。だってそうだろ、さっき俺がムラムラするって暗にほのめかしても、きょとんとしてるし。唇の端を舐めても、頬一つ赤らめないんだから」
そう言いながら朱雀は、ダイナモンの地下浴場で、朱雀の全裸を見た優が泣き叫んだのを思い出した。
あれは、朱雀が優に忌み嫌われた瞬間だった。今思いだすと、すごく心が痛んだ。
あの時みたいに優に拒絶されるのはイヤだった。だから強引なことはしたくないのに、どこまで許容してもらえるのかという境界もイマイチ分からないから、悩むのだ。
「それは言えてるかもな」
と、吏紀が頷くと、空が真剣に言った。
「そう思うんだったら、少しずつやっていけばいいだろう。いきなりさっきみたいな濃厚なキスはよして、初めは頬にでもさ。それから『キスするぞ』って明確に宣言してから、相手の了解を得た後に、軽く唇に触れるやつを。……俺だって、初めて流和とキスしたときは先に、「キスしていいかい?」って聞いたぜ。それを何回か繰り返して下積みをしてから、あとは自然の流れに任せればいいんだ」
「ああ、なんとも簡単そうだな」
と、朱雀は投げやりに溜め息をついた。
同じ頃、遅めの昼食をとっていた流和、永久、優の3人も、先ほどあった医務室での出来事を話し合っていた。
口火を切ったのは永久だった。
「ねえ、優。さっき医務室で、朱雀くんが優にキスみたいなことをしたように見えたんだけど、優はなんとも思わなかった?」
「え? キスなんてしてないよ。いつ?」
「やっぱり気づいてなかったんだ! ほら、チョコバーを食べてたときよ」
「私には朱雀が、優の口の端を舐めたように見えたわ」
と、流和。
「ああ、あれ。チョコがついてたのを取ってくれたんだよ」
「……。」
「……。」
言葉を失う流和と永久をよそに、優はフルーツサラダの上にヨーグルトクリームをたっぷりかけて、ホークで軽快に掻きまわした。
「朱雀とはもう、キスをした?」
「したよ、おでこに」
「そうじゃなくて、ちゃんとした唇のキス」
「それは、あ! そういえば昨日、朱雀を暗闇から引き戻すときにしたんだった。本当は舞踏会の終わりにキスする約束だったんだけど、あんなことがあったでしょ……」
「んーー、それもなんか、ちゃんとしたキスとしてカウントするにはイマイチね」
「じゃあ優は、朱雀くんとキスしたいと思ってる?」
永久の質問に、優がホークを止めた。
「どうしてそんなことを聞くの?」
「なんていうか……、優って、そういうことに興味がないように見えたから、どうなのかな、って」
「ええ!? うそ、私ってそんなふうに見えてる? 私、すーっごくキスするの好きだよ!」
優の声があまり大きいので、食堂にまばらにいたダイナモンの生徒が何人か振り返った。
「興味がないのは朱雀の方じゃないの? まだ関係が浅いっていうのもあるけど、これまでのところ、朱雀がそういうことをしようとしたこと、ないもの。口ではいろいろ言うけどね」
「……。」
「……。」
流和が咳払いをして、紅茶のカップを置いた。
「私が口を出すようなことじゃないかもしれないけど、ダイナモンに入学したときからずっと朱雀を遠めに見て来た私の目には、朱雀が優にキスしたがっているように見えるわ」
「え、そうかな」
「空もそういうところがあるんだけど、男って、あんまりジらしたり、こちらが無反応だったりすると、勝手に傷ついて自信を失くしたりするところがあるのよね。優が悪いんじゃなくて、多分、朱雀の愛情表現が優に上手く伝わっていないだけなんだと思うのよ。だから、優がもしキスしてもいいって思っているのだったら、朱雀にその気持ちを伝えてもいいのじゃないかしら」
流和の熟練したアドバイスに、永久もうんうんと頷いた。
「私もそうするのがいいと思う。朱雀くん、なんだかちょっと寂しそうだったもん」
二人がそんなことを言うとは思わなかったので、優は正直、とっても驚いた。他人の恋愛事情には敏感なつもりだったのに、いざ自分のこととなると鈍感なのだろうか。流和と永久から指摘されるまで、朱雀がそんなふうな様子だなんて、優にはさっぱり分からなかったんだ。今だって、あまり実感が湧かない。
でもひとまず、今夜、医務室に行ったら朱雀と話してみようと思った。
「うん、わかったよ」
一方、流和と永久の二人は、またしても優があまりにあっけなく二人の言ったことを承諾したので、ちゃんと意味が分かっているのかしら? と不安になった。けれど、二人ともそれ以上は何も言わないことにした。
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる