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187 ◇「ないです、何も」
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担当者が、あ、あ、ええっと、と意味をなさない言葉を吐く。一太は、とても冷静に見えた。少し笑顔まで浮かべて、声も普通だ。普通。そう、とても普通に見えた。
でも。
晃は、躊躇いなくその体を抱きしめる。前から。ベッドと一太の間に入って。
あの、一太を刺すナイフのような女から一太を守らなくてはならない。こんなに危険なこの女に一太を近付けようとする訳の分からない男から、一太を守らなくてはならない。
「うちの子に、なんて言いぐさだ!」
隣へ立った父が大きな声を上げた。扉を閉めた個室とはいえ、病院で。
ベッドの女が、辛そうに顔を歪める。目に涙をためてそうしていると、守ってやらなければいけない生き物のように見えた。
「お静かに! 病院ですよ」
「ええ、分かっています。すみませんね。この方のあまりの酷い言葉に、冷静さを失いました」
「……」
看護士は、父の言葉にうろ、と視線をさ迷わせた。
晃は、一太を少し持ち上げて部屋の隅に移動する。
ずたずたと、一声ごとに一太の精神を削っていくとんでもない生き物から、一太を遠ざけなくてはならないと思ったのだ。一太は、なんの抵抗もしなかった。……しがみつきもしなかった。
「息子さんのお名前を、この方は仰っておられなかったのですか。今日、この時まで?」
「え、ええ。はい。息子に会いたい、とだけ……」
看護士が言う。
「ああ。では、わざとですか」
「え?」
「この方は、わざと名前を言わずに、うちの一太を呼んだんですね」
「え……」
看護士が絶句している。
「ストレスのはけ口を求めて呼んだのかな。息子を呼べと言って、もし来たなら、お前なんて息子じゃないと言って言って言って、絶望に歪む顔を見て胸を晴らしたかった? 私には全く理解できませんが、世の中には立場の弱い人間にそうした態度をとる方がいらっしゃることは知っています。目の前でまともに見たのは、初めてでしたが……」
父は、そこで一度深呼吸した。こんなに怒っている姿を見たのは初めてだった。声を荒げないように、必死に自分を抑えている。晃は今まで、父のそんな姿を見たことはなかった。
父も、こんな風に怒ることがあるのだと驚きながら、晃は、自分の内に渦巻く苛立ちをどう表に出したらいいのか分からず、ただ一太を抱きしめていた。
生まれつきの病気を抱えて色んなことを諦めながら生きてきた晃は、物心ついて少ししてからずっと感情を酷く昂らせたことがない。苛立つことや納得のいかないことがあっても、仕方ないと諦めて飲み込んで生きてきた。けれど、今、怒鳴れるものなら怒鳴りたい気分でいっぱいだ。大切な、本当に大切な人を悪意を持って傷付けられた。それが許せなかった。
「なんて醜悪で気持ちの悪いことだ! 一太はもうとっくにうちの子ですから、二度と呼びつけないでいただきたい。鈴木さん、よろしいか!」
「え、あ、いや。あの……」
「帰るぞ、晃、一太!」
父は大きな声で言ってから、また深呼吸をした。晃と一太の側に近寄って、少し屈む。
「一太。あの女の人に、何か言いたいことはあるか?」
父が頑張って出した優しい声に、晃の腕の中の一太が静かに顔を動かした。晃は、少し腕の力を緩めて一太が女の方を向く隙間を作った。
「ないです」
「……」
「ないです、何も」
いっちゃんも、怒りを表す術をしらないのだろうか。それとも、怒りすらもう湧かないのだろうか。
その顔も声も、どこまでも平坦だった。
「うん。そうだな。お別れは済んだ。呼ばれて、しっかり顔を見せるという義務を一太は果たした。母親としての義務を何も果たしていない女に、息子としてちゃんとお別れできて偉かったな」
父は、ぽんぽんと一太の頭を撫でた。一太は、晃の腕の中で、静かにその手に頭を任せている。以前はできなかったことだ。父が頭を撫でようとすると、一太はその身をびくりと竦ませていた。一太のその仕草に首を傾げる晃に、父は言った。
これまでの一太には、暴力を伴う手しか伸ばされていなかったに違いない、と。
「鈴木さん。捨てたのに自分の前に連れてくるな、息子じゃない、違う、知らないと喚くこの女を、一太は引き取って世話をしなくてはならないと、あなたは思われますか」
「え、あ。いや……」
父は、一太に向けていた優しい目を鋭く尖らせて、役所の担当者、鈴木を見た。鈴木は眼鏡の奥で、視線をうろうろとさ迷わせる。
「その。私は……」
「分かっています。分かっていますよ。あなたは優しい方だ。息子に会いたいという病気の母親の願いを叶えてあげようとされたのでしょう? あなたは、担当である母親側にとても優しい。息子側は、母親に虐待を受けていたという証拠を必死の思いで書き綴って提出したというのに、それらは、母親に生活保護を出すためのただの書類でしか無かったということがよく分かりました。残念です。もう少しだけ、あの書類の意味を考えていただきたかった。今回の件は、とても見逃せるものではありません。あなたが母親側に立って行動されると言うのなら、私は後見人として、息子の晃の大切な人である一太のために全力で行動しましょう。一太の母親に生活保護を支給してくださる決定をしてくださったことには感謝しています。これでもう、いいですね? 一太がこの女と関わる必要はありませんね?」
父は、一太の頭に優しく手を置いたまま、流れるように鈴木に言った。
「一太がどれほど傷付いたか、それの想像くらいはできるでしょう? 目の前で、私たちは虐待の現場を見たのですから。証人はたくさんいます。看護士の方、あなたもご覧になりましたね? あの女の、醜悪な虐待の現場を。あなたは、あなた方は確認が足りなかった。その女が息子と呼ぶ者の名前を一度でもいい、しっかりと確認すれば、こんな酷いことは起きなかったはずなんです。あなた方は、まだ一太に言いますか? 息子だから、足繁くここへ通いこの女の世話をしろと、言いますか?」
「……」
鈴木と看護士が顔色悪く立ち尽くし、女はベッドで顔を歪めて三人を睨みつけていた。
「それでも尚、そう言うというのなら、私の全力で、法の名のもとに戦いましょう。難しい戦いですが、私はやりますよ! やり遂げてみせます。これ以上、うちの子を傷付けられてたまるものか!」
でも。
晃は、躊躇いなくその体を抱きしめる。前から。ベッドと一太の間に入って。
あの、一太を刺すナイフのような女から一太を守らなくてはならない。こんなに危険なこの女に一太を近付けようとする訳の分からない男から、一太を守らなくてはならない。
「うちの子に、なんて言いぐさだ!」
隣へ立った父が大きな声を上げた。扉を閉めた個室とはいえ、病院で。
ベッドの女が、辛そうに顔を歪める。目に涙をためてそうしていると、守ってやらなければいけない生き物のように見えた。
「お静かに! 病院ですよ」
「ええ、分かっています。すみませんね。この方のあまりの酷い言葉に、冷静さを失いました」
「……」
看護士は、父の言葉にうろ、と視線をさ迷わせた。
晃は、一太を少し持ち上げて部屋の隅に移動する。
ずたずたと、一声ごとに一太の精神を削っていくとんでもない生き物から、一太を遠ざけなくてはならないと思ったのだ。一太は、なんの抵抗もしなかった。……しがみつきもしなかった。
「息子さんのお名前を、この方は仰っておられなかったのですか。今日、この時まで?」
「え、ええ。はい。息子に会いたい、とだけ……」
看護士が言う。
「ああ。では、わざとですか」
「え?」
「この方は、わざと名前を言わずに、うちの一太を呼んだんですね」
「え……」
看護士が絶句している。
「ストレスのはけ口を求めて呼んだのかな。息子を呼べと言って、もし来たなら、お前なんて息子じゃないと言って言って言って、絶望に歪む顔を見て胸を晴らしたかった? 私には全く理解できませんが、世の中には立場の弱い人間にそうした態度をとる方がいらっしゃることは知っています。目の前でまともに見たのは、初めてでしたが……」
父は、そこで一度深呼吸した。こんなに怒っている姿を見たのは初めてだった。声を荒げないように、必死に自分を抑えている。晃は今まで、父のそんな姿を見たことはなかった。
父も、こんな風に怒ることがあるのだと驚きながら、晃は、自分の内に渦巻く苛立ちをどう表に出したらいいのか分からず、ただ一太を抱きしめていた。
生まれつきの病気を抱えて色んなことを諦めながら生きてきた晃は、物心ついて少ししてからずっと感情を酷く昂らせたことがない。苛立つことや納得のいかないことがあっても、仕方ないと諦めて飲み込んで生きてきた。けれど、今、怒鳴れるものなら怒鳴りたい気分でいっぱいだ。大切な、本当に大切な人を悪意を持って傷付けられた。それが許せなかった。
「なんて醜悪で気持ちの悪いことだ! 一太はもうとっくにうちの子ですから、二度と呼びつけないでいただきたい。鈴木さん、よろしいか!」
「え、あ、いや。あの……」
「帰るぞ、晃、一太!」
父は大きな声で言ってから、また深呼吸をした。晃と一太の側に近寄って、少し屈む。
「一太。あの女の人に、何か言いたいことはあるか?」
父が頑張って出した優しい声に、晃の腕の中の一太が静かに顔を動かした。晃は、少し腕の力を緩めて一太が女の方を向く隙間を作った。
「ないです」
「……」
「ないです、何も」
いっちゃんも、怒りを表す術をしらないのだろうか。それとも、怒りすらもう湧かないのだろうか。
その顔も声も、どこまでも平坦だった。
「うん。そうだな。お別れは済んだ。呼ばれて、しっかり顔を見せるという義務を一太は果たした。母親としての義務を何も果たしていない女に、息子としてちゃんとお別れできて偉かったな」
父は、ぽんぽんと一太の頭を撫でた。一太は、晃の腕の中で、静かにその手に頭を任せている。以前はできなかったことだ。父が頭を撫でようとすると、一太はその身をびくりと竦ませていた。一太のその仕草に首を傾げる晃に、父は言った。
これまでの一太には、暴力を伴う手しか伸ばされていなかったに違いない、と。
「鈴木さん。捨てたのに自分の前に連れてくるな、息子じゃない、違う、知らないと喚くこの女を、一太は引き取って世話をしなくてはならないと、あなたは思われますか」
「え、あ。いや……」
父は、一太に向けていた優しい目を鋭く尖らせて、役所の担当者、鈴木を見た。鈴木は眼鏡の奥で、視線をうろうろとさ迷わせる。
「その。私は……」
「分かっています。分かっていますよ。あなたは優しい方だ。息子に会いたいという病気の母親の願いを叶えてあげようとされたのでしょう? あなたは、担当である母親側にとても優しい。息子側は、母親に虐待を受けていたという証拠を必死の思いで書き綴って提出したというのに、それらは、母親に生活保護を出すためのただの書類でしか無かったということがよく分かりました。残念です。もう少しだけ、あの書類の意味を考えていただきたかった。今回の件は、とても見逃せるものではありません。あなたが母親側に立って行動されると言うのなら、私は後見人として、息子の晃の大切な人である一太のために全力で行動しましょう。一太の母親に生活保護を支給してくださる決定をしてくださったことには感謝しています。これでもう、いいですね? 一太がこの女と関わる必要はありませんね?」
父は、一太の頭に優しく手を置いたまま、流れるように鈴木に言った。
「一太がどれほど傷付いたか、それの想像くらいはできるでしょう? 目の前で、私たちは虐待の現場を見たのですから。証人はたくさんいます。看護士の方、あなたもご覧になりましたね? あの女の、醜悪な虐待の現場を。あなたは、あなた方は確認が足りなかった。その女が息子と呼ぶ者の名前を一度でもいい、しっかりと確認すれば、こんな酷いことは起きなかったはずなんです。あなた方は、まだ一太に言いますか? 息子だから、足繁くここへ通いこの女の世話をしろと、言いますか?」
「……」
鈴木と看護士が顔色悪く立ち尽くし、女はベッドで顔を歪めて三人を睨みつけていた。
「それでも尚、そう言うというのなら、私の全力で、法の名のもとに戦いましょう。難しい戦いですが、私はやりますよ! やり遂げてみせます。これ以上、うちの子を傷付けられてたまるものか!」
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