183 / 1,325
第三章 幸せの行方
84 成人の日記より抜粋
しおりを挟む
四月。緋椀が、住み込みで雇って欲しいとやって来た。厨房には、料理人見習いの男の子が入った。俺が十六歳だと言ったら、嘘だろ、年上かよ、と言った。力丸はお仕事をし始めた。
五月。三雲が、住み込みで雇って欲しいとやって来た。
六月。朱実殿下と赤璃さまの結婚式があった。結婚式を初めて見た。赤璃さまは、とてもとても綺麗だった。俺たちもしよう、と緋色が言ったので、俺たちも離宮の仲間の前で結婚式をした。おめでとう、と言われて嬉しかった。白い着物は重たかった。
七月。緋椀と三雲が同じ部屋で暮らし始めた。
八月。夏祭りに初めて行った。お城の横で色んな屋台が並んで、皆は浴衣を着て、俺は甚平を着て歩いた。小さな金魚がたくさん泳いでいてびっくりした。金魚すくいは難しかった。射的では、缶入りの飴を落とした。いちご飴は、とんでもなく美味しかった。りんご飴も食べてみたかったけど、硬すぎた……。花火は、音が苦手。耳をふさいで見たら、きれい。
九月。斑鹿乃のお腹は、破れそうなほどにふくらんでいる。大丈夫なのかな。触れると、中からぽこぽこと蹴っているのが分かる。本当に中に何かがいるらしい。びっくりだ。
十月。斑鹿乃のお腹から、小さい人間が出てきた。本当に出てきた……。おぎゃあおぎゃあと大きな声で泣いた。元気な男の子だった。広末が泣いていた。嬉しくても人は泣くらしい。嬉しい日だった。おめでとうがあふれていた。誕生日に、何故おめでとうと言うのか分かったような気がした。
十一月。末良は、小さくて柔らかくて可愛い。泣いておっぱい飲んでねんねする。
十二月。末良は、少し大きくなった。ぐーに握った手をじっと見て、口に入れちゃう。たまに笑う。
一月。末良は、うつぶせで頭を上げる。喜んで笑う。疲れてつぶれたら、泣いちゃう。
二月。末良は、ころんと自分でひっくり返れるようになった。でも、戻れなくて泣いちゃう。何でも口に入れる。べろべろ舐める。飴はまだ、食べれない。
三月。二回目の誕生日。俺は、十七歳になった。末良ばかり構うと拗ねた緋色に、一番好きだよって言って、ちゅーをした。
終わり
五月。三雲が、住み込みで雇って欲しいとやって来た。
六月。朱実殿下と赤璃さまの結婚式があった。結婚式を初めて見た。赤璃さまは、とてもとても綺麗だった。俺たちもしよう、と緋色が言ったので、俺たちも離宮の仲間の前で結婚式をした。おめでとう、と言われて嬉しかった。白い着物は重たかった。
七月。緋椀と三雲が同じ部屋で暮らし始めた。
八月。夏祭りに初めて行った。お城の横で色んな屋台が並んで、皆は浴衣を着て、俺は甚平を着て歩いた。小さな金魚がたくさん泳いでいてびっくりした。金魚すくいは難しかった。射的では、缶入りの飴を落とした。いちご飴は、とんでもなく美味しかった。りんご飴も食べてみたかったけど、硬すぎた……。花火は、音が苦手。耳をふさいで見たら、きれい。
九月。斑鹿乃のお腹は、破れそうなほどにふくらんでいる。大丈夫なのかな。触れると、中からぽこぽこと蹴っているのが分かる。本当に中に何かがいるらしい。びっくりだ。
十月。斑鹿乃のお腹から、小さい人間が出てきた。本当に出てきた……。おぎゃあおぎゃあと大きな声で泣いた。元気な男の子だった。広末が泣いていた。嬉しくても人は泣くらしい。嬉しい日だった。おめでとうがあふれていた。誕生日に、何故おめでとうと言うのか分かったような気がした。
十一月。末良は、小さくて柔らかくて可愛い。泣いておっぱい飲んでねんねする。
十二月。末良は、少し大きくなった。ぐーに握った手をじっと見て、口に入れちゃう。たまに笑う。
一月。末良は、うつぶせで頭を上げる。喜んで笑う。疲れてつぶれたら、泣いちゃう。
二月。末良は、ころんと自分でひっくり返れるようになった。でも、戻れなくて泣いちゃう。何でも口に入れる。べろべろ舐める。飴はまだ、食べれない。
三月。二回目の誕生日。俺は、十七歳になった。末良ばかり構うと拗ねた緋色に、一番好きだよって言って、ちゅーをした。
終わり
2,139
あなたにおすすめの小説
『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました
小池 月
BL
大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。
壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。
加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。
大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。
そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。
☆BLです。全年齢対応作品です☆
【完結】獣王の番
なの
BL
獣王国の若き王ライオネルは、和平の証として差し出されたΩの少年ユリアンを「番など認めぬ」と冷酷に拒絶する。
虐げられながらも、ユリアンは決してその誇りを失わなかった。
しかし暴走する獣の血を鎮められるのは、そのユリアンただ一人――。
やがて明かされる予言、「真の獣王は唯一の番と結ばれるとき、国を救う」
拒絶から始まった二人の関係は、やがて国を救う愛へと変わっていく。
冷徹な獣王と運命のΩの、拒絶から始まる、運命の溺愛ファンタジー!
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
【完結】君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした
鳥居之イチ
BL
————————————————————
受:久遠 酵汰《くおん こうた》
攻:金城 桜花《かねしろ おうか》
————————————————————
あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。
その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。
上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。
それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。
お呪いのルールはたったの二つ。
■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。
■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。
つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。
久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、
金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが…
————————————————————
この作品は他サイトでも投稿しております。
αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる