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第五章 それは日々の話
38 ごめんねとごめんねとごめんねと 成人
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じいじの言葉に、顔を覆ってうつ向いた三郎の手を掴む。
「死ぬ、前に……。そう、そうや。ごめんなさい……。すみません……。すみません」
「三郎、お手々に謝ってちゃ駄目だよ」
顔を上げて。ちゃんと壱臣を見て。
がたがたと震えながら、顔を上げた三郎の方へ、ふらふらと壱臣が体を向ける。
「壱臣さま、すみません。わたしは、なんて……ことを……」
「三郎、うちは分かったで。私が怖いのは、羽織袴の大人とあの場所や。あんたが怖かったことなんて無いよ?うちはもう絶対、あの場所へ行かん。やからもう、ええんや」
壱臣は泣いてたから、声は震えて、ゆっくりと話した。首を横に振る三郎に、きっと届く。
「一二三は、とうに死んどる……。な?新しい弟の三郎は、うちのことを兄上て呼んでくれるんや」
首を横に振り続ける三郎に、壱臣はゆっくりと喋りつづけた。
「な?うちは兄上て呼ばれて嬉しいんや。償う、て言うなら、生きて、明日からも兄上て呼んで?」
「う……うぅ……」
また顔を両手で覆った三郎から、泣く時の声が聞こえる。
「もし三郎が今からおらんくなったら、うちは、うちの所為やと気にするよ。安易にこの部屋に来て、夜中に迷惑かけて。ちゃんと聞いとけば良かったんや。うちの所為で半助が寝られないのは、うちが夜中にうなされるからやって。半助は一人の方がよう寝られるんや、と勝手に判断して、別の部屋で寝るて言うた。うなされるて分かってたら、その移った部屋の人にも迷惑かけるて分かったのに、聞かんかった。な、生松先生も、ちいとも悪ない。うちが自分のことを何にも知らんとおったんがあかんのや」
「う、う、うわあああぁ。ひくっ。ちゃ、ちゃい、違います……。切った、わた、わたしが、髪を切ったから……う、うぅ……すみませ……ひくっ……」
「臣、俺が悪い。夢でうなされてるお前を起こしもせず、起きてる時にまで苦しまないように、思い出さない方がええと勝手に判断した。その挙げ句、自分の体調を崩して迷惑をかけた。すまん」
大声で泣き始めた三郎、壱臣を抱き締めたまま項垂れて謝る半助。そして、
「私は、悪いんです。壱臣さんに、夜うなされていることを知らせる役目を半助さん任せにしました。半助さんが私の部屋だと勘違いすると分かって、預かる、と言いました。すみませんでした」
生松も、じいじに抱っこされたまま謝る。
わ、皆謝った。誰がいいよって言えばいい?
「よしよし。皆、偉いな。皆、ちゃんと自分の悪かった所を知って謝った。これからの話は明日にせんか?まずはたくさん寝ることじゃ」
じいじのいいよ、でずっと黙ってた緋色が俺をぐいっと抱き上げた。
「生松、気にすんな。お前は医者として合ってる。半助と壱臣は、別の部屋で寝ることを了承したんだ。二人の覚悟が足りてない。よく考えろ。成人、生松に謝れ。この部屋に来るのは、最終的に壱臣が決めたんだ。生松にも思惑はあったにしろ、決めたのは壱臣だからな。生松を責めるのは筋違いだ」
あれ?
そうなのか。
「生松、ごめんね」
俺には、まだまだ難しいことが多い……。
「死ぬ、前に……。そう、そうや。ごめんなさい……。すみません……。すみません」
「三郎、お手々に謝ってちゃ駄目だよ」
顔を上げて。ちゃんと壱臣を見て。
がたがたと震えながら、顔を上げた三郎の方へ、ふらふらと壱臣が体を向ける。
「壱臣さま、すみません。わたしは、なんて……ことを……」
「三郎、うちは分かったで。私が怖いのは、羽織袴の大人とあの場所や。あんたが怖かったことなんて無いよ?うちはもう絶対、あの場所へ行かん。やからもう、ええんや」
壱臣は泣いてたから、声は震えて、ゆっくりと話した。首を横に振る三郎に、きっと届く。
「一二三は、とうに死んどる……。な?新しい弟の三郎は、うちのことを兄上て呼んでくれるんや」
首を横に振り続ける三郎に、壱臣はゆっくりと喋りつづけた。
「な?うちは兄上て呼ばれて嬉しいんや。償う、て言うなら、生きて、明日からも兄上て呼んで?」
「う……うぅ……」
また顔を両手で覆った三郎から、泣く時の声が聞こえる。
「もし三郎が今からおらんくなったら、うちは、うちの所為やと気にするよ。安易にこの部屋に来て、夜中に迷惑かけて。ちゃんと聞いとけば良かったんや。うちの所為で半助が寝られないのは、うちが夜中にうなされるからやって。半助は一人の方がよう寝られるんや、と勝手に判断して、別の部屋で寝るて言うた。うなされるて分かってたら、その移った部屋の人にも迷惑かけるて分かったのに、聞かんかった。な、生松先生も、ちいとも悪ない。うちが自分のことを何にも知らんとおったんがあかんのや」
「う、う、うわあああぁ。ひくっ。ちゃ、ちゃい、違います……。切った、わた、わたしが、髪を切ったから……う、うぅ……すみませ……ひくっ……」
「臣、俺が悪い。夢でうなされてるお前を起こしもせず、起きてる時にまで苦しまないように、思い出さない方がええと勝手に判断した。その挙げ句、自分の体調を崩して迷惑をかけた。すまん」
大声で泣き始めた三郎、壱臣を抱き締めたまま項垂れて謝る半助。そして、
「私は、悪いんです。壱臣さんに、夜うなされていることを知らせる役目を半助さん任せにしました。半助さんが私の部屋だと勘違いすると分かって、預かる、と言いました。すみませんでした」
生松も、じいじに抱っこされたまま謝る。
わ、皆謝った。誰がいいよって言えばいい?
「よしよし。皆、偉いな。皆、ちゃんと自分の悪かった所を知って謝った。これからの話は明日にせんか?まずはたくさん寝ることじゃ」
じいじのいいよ、でずっと黙ってた緋色が俺をぐいっと抱き上げた。
「生松、気にすんな。お前は医者として合ってる。半助と壱臣は、別の部屋で寝ることを了承したんだ。二人の覚悟が足りてない。よく考えろ。成人、生松に謝れ。この部屋に来るのは、最終的に壱臣が決めたんだ。生松にも思惑はあったにしろ、決めたのは壱臣だからな。生松を責めるのは筋違いだ」
あれ?
そうなのか。
「生松、ごめんね」
俺には、まだまだ難しいことが多い……。
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