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第五章 それは日々の話
115 俺より俺のことを知っている人 成人
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母さまと出かけた次の日。俺は、熱を出さなかった。
やった!寒くてもお出かけできるようになった!
嬉しいので、昨日と同じように上着とマフラー、手袋を準備して金魚の餌やりに行こうとすると、あっという間に緋色に捕まった。
「本当は仕事も休んだ方がいいと思っていたのに、仕事した上に城まで散歩だと?駄目に決まっているだろう」
昼ご飯までの少しの間じゃん。今日は陽が射しているから、気温よりも暖かく感じるしね。
「金魚の餌やり……」
母さまが、今日も元気か知りたかった。昨日、たくさん話してすっきりした顔で帰ったけれど、その前に悲しい顔だったから。あんなに悲しい声と顔だったのに、泣かなかったから。
「……母上なら、お元気らしい。部屋から出て、父上や朱実と朝食を共にされたそうだ」
そうなの?良かったあ。
それならいいよ。
「ありがとう……」
頷いて、お出かけセットを片付けていると、俺を抱きしめながら緋色が言った。
何が?
何が、ありがとう?
「いや、いい。青葉を呼んであるから、休憩してろ。絶対疲れているから」
青葉が来てくれるの?
今日はお勉強の予定が入ってなかったから、後で一人でお絵描きの練習をしようかと思っていた。嬉しい。青葉に相談したいこともあったし。
「青葉とお勉強する」
「お、そうか。もう来る頃だから待ってろ。冬は毎日、勉強でもいいな。部屋の中なら暖かい」
毎日、青葉に来てもらうのは大変だよ。勉強は好きだから、俺は嬉しいけどね。
「毎日でも構いませんよ」
約束していたらしい時間にやってきた青葉は、緋色ににこにこと言った。
「学校なら毎日あって当たり前なんだから、ほんの少しの時間でも毎日来ますよ。車の免許も取れたし、私専用の車も買いましたしね」
「おお。流石だな」
仕事を抜け出して俺たちの部屋に来ていた緋色は、青葉が来るまでここにいろ、と執務室に俺を連れてきて、お客さん用のソファに座らせた。皆、仕事してるのに一人で休憩してるの申し訳ないな、と思いながらぬるいお茶を飲んでいたけど、やっぱり疲れていたらしい。一回ソファに腰を落ち着けると、城まで散歩するのは無理かも、と思うくらいに体は怠かった。
自分のことって、自分では分かりにくいものなのかもしれないなあ。
俺も、緋色のことを緋色より分かるようになりたい。そうしたら、緋色もいつも元気でいられるかも。……緋色はいつも元気だけどさ。
「殿下に過分な補助をして頂いて、予定より上等な車を買えました。車の免許取得は予想通りの妨害がありましたけどね。そちらも、殿下が見張りを置いてくれたもので、何とか……。流石に、お城の役人に見張られて、女だからという理由で不合格にはできなかったようですよ」
「ふん。面倒くさいことだな。免許取得に男も女もあるか。男しか取ってはいけない、なんてどこにも書いてない」
「殿下はまた、免許取得に革命を起こしましたね」
斎が、書類から顔を上げてにこにこと笑う。
なになに?
なんの話?
やった!寒くてもお出かけできるようになった!
嬉しいので、昨日と同じように上着とマフラー、手袋を準備して金魚の餌やりに行こうとすると、あっという間に緋色に捕まった。
「本当は仕事も休んだ方がいいと思っていたのに、仕事した上に城まで散歩だと?駄目に決まっているだろう」
昼ご飯までの少しの間じゃん。今日は陽が射しているから、気温よりも暖かく感じるしね。
「金魚の餌やり……」
母さまが、今日も元気か知りたかった。昨日、たくさん話してすっきりした顔で帰ったけれど、その前に悲しい顔だったから。あんなに悲しい声と顔だったのに、泣かなかったから。
「……母上なら、お元気らしい。部屋から出て、父上や朱実と朝食を共にされたそうだ」
そうなの?良かったあ。
それならいいよ。
「ありがとう……」
頷いて、お出かけセットを片付けていると、俺を抱きしめながら緋色が言った。
何が?
何が、ありがとう?
「いや、いい。青葉を呼んであるから、休憩してろ。絶対疲れているから」
青葉が来てくれるの?
今日はお勉強の予定が入ってなかったから、後で一人でお絵描きの練習をしようかと思っていた。嬉しい。青葉に相談したいこともあったし。
「青葉とお勉強する」
「お、そうか。もう来る頃だから待ってろ。冬は毎日、勉強でもいいな。部屋の中なら暖かい」
毎日、青葉に来てもらうのは大変だよ。勉強は好きだから、俺は嬉しいけどね。
「毎日でも構いませんよ」
約束していたらしい時間にやってきた青葉は、緋色ににこにこと言った。
「学校なら毎日あって当たり前なんだから、ほんの少しの時間でも毎日来ますよ。車の免許も取れたし、私専用の車も買いましたしね」
「おお。流石だな」
仕事を抜け出して俺たちの部屋に来ていた緋色は、青葉が来るまでここにいろ、と執務室に俺を連れてきて、お客さん用のソファに座らせた。皆、仕事してるのに一人で休憩してるの申し訳ないな、と思いながらぬるいお茶を飲んでいたけど、やっぱり疲れていたらしい。一回ソファに腰を落ち着けると、城まで散歩するのは無理かも、と思うくらいに体は怠かった。
自分のことって、自分では分かりにくいものなのかもしれないなあ。
俺も、緋色のことを緋色より分かるようになりたい。そうしたら、緋色もいつも元気でいられるかも。……緋色はいつも元気だけどさ。
「殿下に過分な補助をして頂いて、予定より上等な車を買えました。車の免許取得は予想通りの妨害がありましたけどね。そちらも、殿下が見張りを置いてくれたもので、何とか……。流石に、お城の役人に見張られて、女だからという理由で不合格にはできなかったようですよ」
「ふん。面倒くさいことだな。免許取得に男も女もあるか。男しか取ってはいけない、なんてどこにも書いてない」
「殿下はまた、免許取得に革命を起こしましたね」
斎が、書類から顔を上げてにこにこと笑う。
なになに?
なんの話?
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