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第六章 家族と暮らす
79 成人の部屋 緋色
「いいよー」
入れてもらえなかったことはないが、必ず許可を取る。ここは成人の部屋。成人に、自分のものだと意識させるために、しつこいほどに必ず聞いてから入るようにしていれば、次第にいいよ、との返事にも変化が見えてきた。
はじめのうちは首を傾げながら、いいよ?と言っていたが、最近では頷きながらいいよ、と言っている。
ここから先へ踏み込むときは、必ずなるちゃんの許可を取ってください。勝手にお掃除などをするのも絶対に駄目ですよ、と成人の聞いていない所で家中の者に言って回ったのは青葉だ。
小さな本棚で区切ってある空間。ふかふかの絨毯を敷いて小さめの座卓を置き、もたれ掛かれる大きなビーズクッションと二人掛けのソファが置いてある。成人の持ち物を置いた、成人のための場所。この場所を調えて、成人のものをすべてここで管理させるようになってから、これ俺の?という台詞をあまり言わなくなった。
成人のものが増えて、成人の部屋で管理するようになって、この世には成人のものが存在するのだと認識できてきたらしい。
ソファに座って、成人の部屋と呼んでいる空間を眺める。
本棚の中には、青葉と力丸にもらった絵本やパズルと、成人が自分で買った冒険小説。俺が贈ったその本の続編。どこかで拾ったらしい小石や、誰かからお土産にもらった小物が棚の上に並べられている。飴の置き場もあって、以前のように布団の下に隠して駄目にしてしまうこともなくなった。萎れた花が置いてあって気になるが、どんなものも絶対に勝手に触ったら駄目だと青葉に言われているので、何が置いてあっても目をつぶる。
説明してくれることもあれば、知らぬ間に消えていることもある。俺に話さない事柄もあるのか、と思うと、何とも言い様の無い気分になる。
それも成長ですよ、と青葉に言われれば、見守るのが役目なのだろう。
座卓の前に座り真剣に辞書を引く横顔は、拾った頃よりずいぶんと大人っぽくなったように見える。戦闘人形としての寿命はとうに超えた。身体のことは、調子良さそうに見えても全く油断できないが、成人が幸せな毎日を送れているのなら、人としてどんどん成長しているのなら、とても嬉しい。
書類に目を戻し、ペンを手にしばらく読み込む。
かなり集中して、思ったよりも早くに処理できたと顔を上げれば、成人の頭が、かくんと落ちかけては戻る様子が目に入った。
城でいつもと違う行動をしたから、疲れたのだろう。
「成人、お布団行くか」
「んー?」
食べ過ぎてしまっているし、ちょうどいい。
抱き上げて成人の布団に運ぶ。特に抵抗することもなく布団に転がったので、胸の辺りをぽん、ぽん、と叩けば寝息が聞こえてきた。
寝顔は、拾った頃と然程変わらないが、頬にキスを一つ落とせば、ゆる、と口角が上がったのがとんでもなく可愛かった。
入れてもらえなかったことはないが、必ず許可を取る。ここは成人の部屋。成人に、自分のものだと意識させるために、しつこいほどに必ず聞いてから入るようにしていれば、次第にいいよ、との返事にも変化が見えてきた。
はじめのうちは首を傾げながら、いいよ?と言っていたが、最近では頷きながらいいよ、と言っている。
ここから先へ踏み込むときは、必ずなるちゃんの許可を取ってください。勝手にお掃除などをするのも絶対に駄目ですよ、と成人の聞いていない所で家中の者に言って回ったのは青葉だ。
小さな本棚で区切ってある空間。ふかふかの絨毯を敷いて小さめの座卓を置き、もたれ掛かれる大きなビーズクッションと二人掛けのソファが置いてある。成人の持ち物を置いた、成人のための場所。この場所を調えて、成人のものをすべてここで管理させるようになってから、これ俺の?という台詞をあまり言わなくなった。
成人のものが増えて、成人の部屋で管理するようになって、この世には成人のものが存在するのだと認識できてきたらしい。
ソファに座って、成人の部屋と呼んでいる空間を眺める。
本棚の中には、青葉と力丸にもらった絵本やパズルと、成人が自分で買った冒険小説。俺が贈ったその本の続編。どこかで拾ったらしい小石や、誰かからお土産にもらった小物が棚の上に並べられている。飴の置き場もあって、以前のように布団の下に隠して駄目にしてしまうこともなくなった。萎れた花が置いてあって気になるが、どんなものも絶対に勝手に触ったら駄目だと青葉に言われているので、何が置いてあっても目をつぶる。
説明してくれることもあれば、知らぬ間に消えていることもある。俺に話さない事柄もあるのか、と思うと、何とも言い様の無い気分になる。
それも成長ですよ、と青葉に言われれば、見守るのが役目なのだろう。
座卓の前に座り真剣に辞書を引く横顔は、拾った頃よりずいぶんと大人っぽくなったように見える。戦闘人形としての寿命はとうに超えた。身体のことは、調子良さそうに見えても全く油断できないが、成人が幸せな毎日を送れているのなら、人としてどんどん成長しているのなら、とても嬉しい。
書類に目を戻し、ペンを手にしばらく読み込む。
かなり集中して、思ったよりも早くに処理できたと顔を上げれば、成人の頭が、かくんと落ちかけては戻る様子が目に入った。
城でいつもと違う行動をしたから、疲れたのだろう。
「成人、お布団行くか」
「んー?」
食べ過ぎてしまっているし、ちょうどいい。
抱き上げて成人の布団に運ぶ。特に抵抗することもなく布団に転がったので、胸の辺りをぽん、ぽん、と叩けば寝息が聞こえてきた。
寝顔は、拾った頃と然程変わらないが、頬にキスを一つ落とせば、ゆる、と口角が上がったのがとんでもなく可愛かった。
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