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第九章 礼儀を知る人知らない人
123 お忍びなので 成人
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「うむ、予約はしておらんのだがな。是非、貴店で食事をしたいと所望しておる。個室を準備してもらいたいのだが、個室はあるか?」
じいじは声が大きいから、店の中からは、じいじの声だけがよく聞こえてくる。
「何? 一見はいかんとな。ほう。それはますます安心なことじゃ。む? そうか。わしが一見ということになってしまうのか。そりゃ参ったな。もう昼時じゃから、ここに決めてしまいたいんだがのう。成人の腹は、たくさんの食事をためておけんのでな。昼飯は昼時に食うに限る。ん? 紹介? 紹介者がいればよいと? ここを利用した者の紹介があればよいのか? そうか。ご教示、かたじけない。では、これ、そこの。そこの者。うむ、そうお主じゃ。お主、わしを紹介せい。ん? そういうことではない? これでは、いかんのか。それは困ったのう」
あれ? 入れないのかな? うちの国で緋色や俺の入れないところはそんなにないけど、ここはよその国だからなあ。
「うむ。よし、分かった! では、まず名乗り合うこととしよう。わしは、皇国から参った九条利胤と申す。この度の緋色殿下と成人殿下の道行に同行してこちらの国へ参った次第じゃ。よしなに頼む。む? 本日か? 同行者の人数? 五名じゃ。誰か、とな? いや、本日は忍びゆえ、同行者の名を告げるわけにはいかん。すまぬな」
そうだね。今日は俺と緋色が皇族ってのは内緒だから、言うわけにはいかないよね。あ、そうだ。俺と三郎と商店街を歩いている時にいつも言っているみたいに、皆じいじの孫だよって言っておく? 孫が多すぎかな? 孫ってそんなにたくさんいるもんじゃないかな? よく分からないなあ。
あ、じいじの家族って言ったらどう? 俺たち皆、家族だし。
「それは、うん。ほとんど言ってるな、じい様」
常陸丸が、ぼそって言った。
ん? じいじ、言わなかったよ。俺たちのことは内緒にしてた。
「ぷっ、はは。言うわけにはいかんって、そんなお忍びある? 自分は堂々と名乗ってるし」
「だから、利胤に護衛業務は向かないんだ」
力丸は笑って、緋色は常陸丸と同じに、ぼそって言った。じいじはお忍びじゃないんじゃない? 忍べないよね。声も体も大きいし。どんな服着ててもじいじだし。
それを言ったら緋色も、格好良すぎて忍べてないかも。あ、もしかして、俺も? 緋色の伴侶は、左目が開いていなくて左手がないって知られてたら、あんまり隠しようがないなあ。
あれ? 俺たちってあんまり忍べないのでは? いや、でも、さっきまで誰も、包拳礼したり頭を下げたりしてなかったから、大丈夫なはず。忍べてる。
「む? 連れを呼んで良いのか? まだあの者から、わしを貴店へ紹介してもらえるかどうかの返事がもらえておらぬのだが? 構わぬ? そうか。お主らがそれで良いと言うなら、わしに否やはない。有り難いことじゃ。む? 連れか? 連れなら店の前で待っておるぞ」
店の戸がいきなりがらりと開いて、着物を着た店の人が飛び出して来たかと思ったら、深々と頭を下げた。
「ようこそお越しくださいました。お部屋を御用意致します!」
あ、入れそう。
じいじ、すごい!
じいじは声が大きいから、店の中からは、じいじの声だけがよく聞こえてくる。
「何? 一見はいかんとな。ほう。それはますます安心なことじゃ。む? そうか。わしが一見ということになってしまうのか。そりゃ参ったな。もう昼時じゃから、ここに決めてしまいたいんだがのう。成人の腹は、たくさんの食事をためておけんのでな。昼飯は昼時に食うに限る。ん? 紹介? 紹介者がいればよいと? ここを利用した者の紹介があればよいのか? そうか。ご教示、かたじけない。では、これ、そこの。そこの者。うむ、そうお主じゃ。お主、わしを紹介せい。ん? そういうことではない? これでは、いかんのか。それは困ったのう」
あれ? 入れないのかな? うちの国で緋色や俺の入れないところはそんなにないけど、ここはよその国だからなあ。
「うむ。よし、分かった! では、まず名乗り合うこととしよう。わしは、皇国から参った九条利胤と申す。この度の緋色殿下と成人殿下の道行に同行してこちらの国へ参った次第じゃ。よしなに頼む。む? 本日か? 同行者の人数? 五名じゃ。誰か、とな? いや、本日は忍びゆえ、同行者の名を告げるわけにはいかん。すまぬな」
そうだね。今日は俺と緋色が皇族ってのは内緒だから、言うわけにはいかないよね。あ、そうだ。俺と三郎と商店街を歩いている時にいつも言っているみたいに、皆じいじの孫だよって言っておく? 孫が多すぎかな? 孫ってそんなにたくさんいるもんじゃないかな? よく分からないなあ。
あ、じいじの家族って言ったらどう? 俺たち皆、家族だし。
「それは、うん。ほとんど言ってるな、じい様」
常陸丸が、ぼそって言った。
ん? じいじ、言わなかったよ。俺たちのことは内緒にしてた。
「ぷっ、はは。言うわけにはいかんって、そんなお忍びある? 自分は堂々と名乗ってるし」
「だから、利胤に護衛業務は向かないんだ」
力丸は笑って、緋色は常陸丸と同じに、ぼそって言った。じいじはお忍びじゃないんじゃない? 忍べないよね。声も体も大きいし。どんな服着ててもじいじだし。
それを言ったら緋色も、格好良すぎて忍べてないかも。あ、もしかして、俺も? 緋色の伴侶は、左目が開いていなくて左手がないって知られてたら、あんまり隠しようがないなあ。
あれ? 俺たちってあんまり忍べないのでは? いや、でも、さっきまで誰も、包拳礼したり頭を下げたりしてなかったから、大丈夫なはず。忍べてる。
「む? 連れを呼んで良いのか? まだあの者から、わしを貴店へ紹介してもらえるかどうかの返事がもらえておらぬのだが? 構わぬ? そうか。お主らがそれで良いと言うなら、わしに否やはない。有り難いことじゃ。む? 連れか? 連れなら店の前で待っておるぞ」
店の戸がいきなりがらりと開いて、着物を着た店の人が飛び出して来たかと思ったら、深々と頭を下げた。
「ようこそお越しくださいました。お部屋を御用意致します!」
あ、入れそう。
じいじ、すごい!
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