【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
1,188 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人

145 美味しいご飯と上等な布団  成人

 夜はお城で、村次むらつぐが作ったご飯を食べた。亀吉かめきちは、一口食べてはおいしいって言って、にこにこだった。ちゃんと座って、上手にたくさん食べた。松吉まつきちが、亀吉かめきち用のご飯を見て、こりゃええわって何回も言った。
 
「野菜の煮物はうちらのより小さく切って柔らかく煮てあるし、魚の骨は取ってある。その上、魚の上にあんがかかっとって、つるんと食べやすい。ちょびっとずつ盛ってあるから、全部食べた言うて大満足やん? このご飯出す店屋があったら、子ども連れで大繁盛やで。うちも通うわ。自分でちゃんとご飯食べてくれるから、うちもゆっくりご飯食べれて嬉しい」

 亀吉かめきち用のご飯が、亀吉かめきちによく合ったみたいだ。良かった。子ども連れ用のご飯屋さん、いいかも。
 末良すえよしは、ご飯食べるのが大好きだから、ちゃんと座ってもりもり食べるけど、見可みかは小さい頃、じっと座ってるのが苦手で、早く遊びたくて、ちっともちゃんと食べなかったって灯可とうかに聞いた。末良すえよしは賢いなって、灯可とうかが言っていた。見可みかみたいな子も、こんなご飯なら自分でちゃんと食べるかもしれない。
 広末ひろすえは、食べる人が美味しいって感じるご飯を作るのが得意。誰が食べるのか考えて作るのが大事っていつも言っている。広末ひろすえに習った村次むらつぐも、きっとおんなじ。亀吉かめきちのことを考えて亀吉かめきち用のご飯を特別に作ったから、亀吉かめきちは喜んだんだろうなあ。
 魚にあんをかけてあるのは、本当に食べやすくて俺も好き。乙羽おとわも好きだって言ってた。俺たち、好きな食べ物が似てるね。
 亀吉かめきちは、離宮うちに遊びに来た時もたくさん食べていたから、離宮うちの味付けが好きってこともあるかもしれない。柔らかくて優しい味のご飯だ。俺も、いつも食べている味付けのご飯が出てきたのが嬉しくて、いっぱい食べた。
 今日は、昼にもしゃぶしゃぶをたくさん食べたし、昼寝もしたし、大きくなったかもしれない。寝る子は育つって言葉があって、たくさん寝る子どもは大きく育つらしい。もちろん、たくさん食べる子どもも。まあ、俺は子どもじゃないんだけど。
 そういえば、力丸りきまるの姿が見当たらない。村次むらつぐと、しゃぶしゃぶの店に出かけたのかな。村次むらつぐもしゃぶしゃぶ、食べれてるといいな。力丸りきまるが、ちゃんとしゃぶしゃぶしてるかも不安だ。また今度、俺も一緒に行こう。正しいしゃぶしゃぶの食べ方を、村次に教えてあげなくちゃいけない。
 ご飯を食べたら、お風呂もお城で入って、お城で寝た。
 一つしか出入り口のない奥の場所は、とても静かでよく眠れた。お風呂もお布団も上等だったし、すごく良かった。出て行った人はほとんど帰って来なかったから、寝る場所はたくさんあった。
 他に行く場所がない、と出ていかなかった使用人たちが、俺たちのお風呂の世話や布団の準備をしてくれてすごく助かった。
 その人たちは、玉鶴たまつる松吉まつきちとよく話をして、そのままお城の使用人として働くことになったみたいだ。お給料や休みの話もしたら、ありがとうございます、と涙を浮かべて平伏していたから、しっかりお仕事をしてくれそうな気がする。
感想 2,502

あなたにおすすめの小説

繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました

こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系