【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
1,204 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人

161 あれ?  成人

 それから、二階をぐるっと回って、登れないけど三階に上がる梯子はしごを確認したりした。亀吉は、目をきらきらさせて梯子を見ていた。登ったら駄目だよって言ったら、はいっ、っていい返事が返ってきた。返事はいいんだよねえ、返事は。
 さっき、鶴丸つるまるも言ってたな。返事はええんやけどなあって。
 まあ、いっか。

梯子はしご、絶対、見張っておいてね」
「はっ」

 その辺りを巡回していた兵に言うと、気持ちのいい返事が返ってきた。こういう時の包拳礼は、すると気持ちがいいね。うん。色々な動作にもそれなりに意味がある。

「誰も、勝手に上に登らないようにね」
「はっ」

 うん。これで大丈夫だろ。

「あ。若様の亀吉かめきちが登るって言っても駄目だよ?」

 身分がーって言って、言うことを聞かせようとする人が、よくいるんだけどさ。でも、言うこと聞いちゃいけない時ってあるから。
 亀吉はそんなことしないけどね。
 
「はっ」

 うん、いい返事。あ、でも。

竹光たけみつ鶴丸つるまるはいいよ。松吉まつきち玉鶴たまつるも」

 大人だし。ここのあるじだし? 

「ははっ」

 何だか気分よく一階に戻った。階段を降りきったら、亀吉はまたくるりと階段側を向いて登ろうとし始めた。
 なんで?
 俺が首を傾げているうちに、香月かづきがひょいと抱っこして止めた。亀吉のお付きって、本当に素早くないとできないな? 動きが早くてびっくりしちゃうよ。

「亀吉さま、そろそろ末良すえよしさんが来られるとお聞きしとります。お迎えしましょう、お迎え」

 え? そうなの?

「すえーし!」

 亀吉は、香月かづきに抱え上げられたまま足をぱたぱたさせた。あ、ご機嫌な時の足のぱたぱた。亀吉もやるんだ。末良すえよしもね、小さい時よくやってたよ。うつ伏せで玩具を手に持って、足がぱたぱたしてたり、お座りしてぱたぱたしてるの、可愛かったんだよねえ。亀吉ほど、激しくはなかったけど。
 香月かづきが亀吉を下に下ろしたら、たって走った。出入り口と反対だけど、皆笑いながらついて行った。
 末良すえよしたちが着いたよって聞いてから行っても、きっと間に合うしね。
 しばらく、ご機嫌でうろうろしていたら連絡が来た。

「すえーしー!」

 亀吉は大喜びで、車から降りてきた末良すえよしに向かって走った。ぱっとこちらを見た末良すえよしも、にこにこ笑顔でこちらに向かって走り出した。
 二人は、すっかり仲良しになったんだなあ。可愛いなあ。

「なりゅしゃまー!」

 あれ?
感想 2,501

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました

こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。