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第十章 されど幸せな日々
1 朱実殿下からのお手紙 成人
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「緋色。朱実殿下が、帰って来なさいって」
「は?」
「ええっと、緋色と俺だけでも帰って来なさいって」
朱実殿下から俺に届いたお手紙。年始の集まりには出なさいって書いてある。ちょうどいい機会だから、それに合わせて帰国した事にしなさいって。年始の集まりまでは、まだ少し日にちがあるんだけどなあ。
ああ。お忍びでなく行ったまま、あまり長い間同じ国にいるのはよくないんだってさ。ええっと、特定の一国との関係が深すぎると周りに印象付けるのは、余計な騒乱を招く? んー?
お忍びならいいって事?
緋色がお返事しないから振り返ったら、眉に皺が寄っていた。
俺を抱っこした手に力が入る。
そこからなら、俺の読んでる朱実殿下からのお手紙、見えてるよね。緋色は字を読むのが早いから、俺より先に読み終わってたんじゃないの? 見てない? あ、そう。じゃ、今読んで。
「……年始の集まりには参加しませんて返事しとけ」
「ええー? いいの?」
「いい」
「……」
よくないんじゃない?
「別に、絶対出なくちゃならないもんでもない」
「うーん……」
年始の集まりは、まあ、出なくてもいいんならそれでいいんだけどさ。うん。
でも……。
帰ってきなさい、って朱実殿下が言ってるんだから、帰らなきゃならないんじゃない? お忍びでないから、あまり長い間、同じ国にいてはいけませんってのも分かるし。
だって、壱鷹と弐角はすぐに帰ったからね。
本当は、もう少し居て手伝いたかっんやけど、って壱鷹が竹光に言いながら帰ったのを覚えてる。壱鷹は、もう少し竹光の側に居たかった。お仕事を手伝いたかった。でも居られなかった。橙々もそうだ。玉鶴に学びたいことがまだまだある、また来たいって言いながら帰っていった。弐角も、お忍びでまた来るって言ってたけど、まだ姿を見ていない。皆、自分の国での仕事があるし、お忍びって言ってもちゃんと予定を立てて動かないといけないから、簡単にはできないよねえ。
緋色は、割と簡単に出かけようとするけどさ。でも多分、いつもちゃんと朱実殿下にお知らせしてから動いてるんだと思う。多分。そうじゃなかったら、帰って来なさいってお手紙が毎日届くと思うから。……俺に。
「一回、帰ろ?」
もうこのお城で、寝る暇もないような人は居なくなったことだし? あの、仕事をたくさん引き受けていたすごい文官さん達も、順番にお休みを取ってお家に帰れたんだって。一人は、久しぶりに家に帰ったらお母さんが倒れていて、でも、睦峯が駆けつけて治療が間に合ったって言って、泣いて喜んでいた。
三人とも、遠慮してたけど、誰も簡単に文句を言ったりできないような地位を渡して、余計な邪魔が入らず仕事出来るようになった。手伝いの人もできたし、きっともう大丈夫。絡まって解けない髪の毛をばっさり切って、楽になりました、と笑ってた。
武官もさ。鍛錬所で、うちの人や西賀の人が手合わせしてたら、騒いだり暴れたりする人がいなくなったらしいよ? 手合わせを申し込む人もいないけど。
「は?」
「ええっと、緋色と俺だけでも帰って来なさいって」
朱実殿下から俺に届いたお手紙。年始の集まりには出なさいって書いてある。ちょうどいい機会だから、それに合わせて帰国した事にしなさいって。年始の集まりまでは、まだ少し日にちがあるんだけどなあ。
ああ。お忍びでなく行ったまま、あまり長い間同じ国にいるのはよくないんだってさ。ええっと、特定の一国との関係が深すぎると周りに印象付けるのは、余計な騒乱を招く? んー?
お忍びならいいって事?
緋色がお返事しないから振り返ったら、眉に皺が寄っていた。
俺を抱っこした手に力が入る。
そこからなら、俺の読んでる朱実殿下からのお手紙、見えてるよね。緋色は字を読むのが早いから、俺より先に読み終わってたんじゃないの? 見てない? あ、そう。じゃ、今読んで。
「……年始の集まりには参加しませんて返事しとけ」
「ええー? いいの?」
「いい」
「……」
よくないんじゃない?
「別に、絶対出なくちゃならないもんでもない」
「うーん……」
年始の集まりは、まあ、出なくてもいいんならそれでいいんだけどさ。うん。
でも……。
帰ってきなさい、って朱実殿下が言ってるんだから、帰らなきゃならないんじゃない? お忍びでないから、あまり長い間、同じ国にいてはいけませんってのも分かるし。
だって、壱鷹と弐角はすぐに帰ったからね。
本当は、もう少し居て手伝いたかっんやけど、って壱鷹が竹光に言いながら帰ったのを覚えてる。壱鷹は、もう少し竹光の側に居たかった。お仕事を手伝いたかった。でも居られなかった。橙々もそうだ。玉鶴に学びたいことがまだまだある、また来たいって言いながら帰っていった。弐角も、お忍びでまた来るって言ってたけど、まだ姿を見ていない。皆、自分の国での仕事があるし、お忍びって言ってもちゃんと予定を立てて動かないといけないから、簡単にはできないよねえ。
緋色は、割と簡単に出かけようとするけどさ。でも多分、いつもちゃんと朱実殿下にお知らせしてから動いてるんだと思う。多分。そうじゃなかったら、帰って来なさいってお手紙が毎日届くと思うから。……俺に。
「一回、帰ろ?」
もうこのお城で、寝る暇もないような人は居なくなったことだし? あの、仕事をたくさん引き受けていたすごい文官さん達も、順番にお休みを取ってお家に帰れたんだって。一人は、久しぶりに家に帰ったらお母さんが倒れていて、でも、睦峯が駆けつけて治療が間に合ったって言って、泣いて喜んでいた。
三人とも、遠慮してたけど、誰も簡単に文句を言ったりできないような地位を渡して、余計な邪魔が入らず仕事出来るようになった。手伝いの人もできたし、きっともう大丈夫。絡まって解けない髪の毛をばっさり切って、楽になりました、と笑ってた。
武官もさ。鍛錬所で、うちの人や西賀の人が手合わせしてたら、騒いだり暴れたりする人がいなくなったらしいよ? 手合わせを申し込む人もいないけど。
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