【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第十章 されど幸せな日々

70 皆でお昼ご飯を食べました  成人

「美味しかった。めっちゃ美味しかった」
「最近、千代ちよさまの美味しいご飯食べとったから、他所よそのご飯美味しく食べれるかなって不安やったけど、おんなじくらい美味しかったです。ね、隊長」
「ほんまやな。これ、毎日食べれるん嬉しいな」

 つごもり小望こもちが仲良く話している。
 ふふ。美味しいでしょ。うちの広末ひろすえ村次むらつぐが手伝っているからね。西賀さいか国からも、おーちゃんと一緒に料理人が来たって言っていた。こっちも引き継ぎしているところかな。もともとお城にいた料理人はだいぶ数が減っていて、広末ひろすえ村次むらつぐがいなければ、広いお城で仕事をしている全員の分を作るのが間に合わないらしい。ここに俺たちが来た時はすっごくたくさんいたんだけど、いつの間にかどんどんいなくなっていたからね。それは、料理人だけじゃなく文官や使用人や兵士もそうなんだけど。料理人は、特別に厳しく早く選別したって言っていた。兵士より厳しく。そりゃそうか。食べるものって大事だ。食べなきゃ生きていけないし、体に害のあるものを食べ物に仕込まれたら、食べても生きていけない。医師より前に体を預ける人。そう考えると、料理人って本当に大事。
 そうしたら、あんまり残らなかったんだって。残念。
 募集するのも大変だって言ってたから、西賀さいか国から料理人が大急ぎで三人も来てくれて本当に良かった。

「みんなで食べるって聞いて緊張したけど、全然大丈夫やったなー」
「なー」

 他の二人もにこにこと話していて、良かったなって思った。
 お城のご飯は、離宮うちとおんなじように、皆で食べる食堂を厨房の近くに決めた。皆そこへ足を運んで食べることにした。使用人が減って、運んだり片付けたりの手が足りないってこともあるし、広い城の中を運んだら冷めるだろ、って広末ひろすえが嫌がったってこともある。緋色ひいろも、冷めたご飯なんて絶対いやだって。鶴丸つるまる竹光たけみつもおんなじことを言っていた。俺も賛成。あったかいご飯は美味しい。すごく美味しい。冷ますけどさ。熱すぎるのは食べられないから俺は冷ますんだけど、最初から冷めてるのと自分で冷ますのは違うんだよ。ここ、大事。
 食堂にしたら、休憩も取れるからいい。
 さっきみたいに、時間になったら乙羽おとわがご飯の呼びかけをしてくれるから、ご飯の時間を忘れることもない。亀吉かめきち末良すえよしと俺で呼びかけて回るときもある。皆ちゃんと仕事の手を止めて食堂に来てくれる。そうやって歩いたりするのもいいらしい。睦峯むつみねがいつも、座りっぱなしは良くないぞってさいに言っているから、多分そう。そういう睦峯むつみねは、本を読むときも座りっぱなしじゃなくて、立ち上がっていたりうろうろしていたりするから、ちょっと座ってくださいってさいに席に連れ戻されたりする。仲良し。
 
「休憩終わったら、一緒に鍛錬所行こうね」
「う……。美味しかったご飯、出そう……」
「え?」
「いえ。何でもないです……」

 西賀さいか国の人が皆、手合わせが好きなわけじゃないのか。

「かめもいく」

 亀吉かめきちはお昼寝の時間じゃない?

 
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