【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
1,312 / 1,325
第十章 されど幸せな日々

103 年始の集まり  成人

しおりを挟む
 年始の集まりは二回目だから、わくわくして出かけた。何をするか分かっているから、楽しみ。
 何をするのか、どんなものなのか知らなくて出かけるのも楽しみだけれど、知っていることで楽しみになることもある。お誕生日会とかもそうだ。お誕生日会って、毎月、していることはあまり変わらない。でも、毎月楽しみ。参加してくれる家族の皆も楽しそうにしてくれている。おんなじ楽しいことがずっとできるのは、きっと幸せの証。
 年始の集まりも、俺の幸せな楽しいことの一つ。緋色ひいろは、別に行かなくてもいいって言っていたけれど、俺は年始の集まりは好きだったから、行けるなら行きたかった。だから、帰ってこれて嬉しい。もちろん、緋色ひいろがどうしても行くのが嫌なら、俺も行かないけどさ。でも緋色ひいろは、俺が、年始の集まりに行こうって言ったら帰ってきてくれた。
 年始の集まりは、灯可とうかに出会って、たくさんの遊びを教えてもらった場所だ。そこから、灯可とうかとはとても仲良しになった。週に一度、おうちで遊ぶくらいに。色んな遊びをしたり、灯可とうかに学校のお話を聞いたり、おやつを一緒に食べたりする。ただ、本を読んでいるだけの時もある。それぞれ勉強していたりもする。そんなのは別に一緒にいなくてもできるんだけれど、それでも、俺たちは一緒にいた。それで、楽しかった。
 たまに、灯可とうかの弟の見可みかや、おばあ様の緋見呼ひみこさまも一緒に来た。そんなときは、大騒ぎで遊ぶことになった。それも、とても楽しかった。お互いの家の料理人が作るおやつを交換して食べるのを料理人たちも楽しみにしていたから、俺たちが遊ぶ約束をするだけでたくさんの人が楽しめていたのかもしれない。それなら、すごく良かった。
 決められた席に座ると、去年と同じように俺の向かいの席にいた灯可とうかが、ぱっと笑顔になって俺に手を振った。久しぶりだ。俺も嬉しくて手を振り返した。西の国に長いこと行っていたから、灯可とうかと長い間遊べていない。今日は、たくさん遊ぼうね。俺はもう、福笑いもじゃんけんも知っている。お正月の遊び。今日も皆でしよう。去年と同じように四条の姉弟と見可みかと、八条の席にいる、あの小さな子も誘ってさ。
 見可みかは、去年と違って灯可とうかの隣にはいなくて、七条の席にいた。俺と同じ並びの後ろの方。成人なるひとさまー、おーいって言いながら手を振ってくれたから、すぐに見つけられた。こら、大きな声を出したら駄目です、ってすぐに緋椀ひまりに叱られていた。今日も元気そう。その手前にいた四条の姉弟は、静かに手を振ってくれた。去年遊んだ仲間たち。ふふ。皆、少しずつ大きくなっている。
 今年も、たくさん遊ぼう。
 そのうち、朱音あかね殿下や寧子やすこさんちの赤ちゃん、茉璃まつりの大きなお腹に入っている赤ちゃんも参加して、遊ぶ人数がたくさん増えていくんだよね。
 俺、年始の集まりはやっぱり好きだなあ。
しおりを挟む
感想 2,498

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

帰宅

pAp1Ko
BL
遊んでばかりいた養子の長男と実子の双子の次男たち。 双子を庇い、拐われた長男のその後のおはなし。 書きたいところだけ書いた。作者が読みたいだけです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

処理中です...