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真鶴の章
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玻璃皇子が術を使い、時間が戻ったのであろうと私が認識した日から、十五年が過ぎた。
平和に、時は過ぎていた。玻璃皇子は、そっくり同じ顔の快璃さまと自分を完璧に見分ける透子さまに、恋心を抱いていた様子であったが、属国の姫君とは結ばれないと繰り返し刷り込み、高位貴族の婚約者候補との面談を、ある程度の間を開けて行った。次期帝であることを忘れないように、結ばれる相手は、この中からだと分からせるように。
私のように、前世の記憶は無いらしい。年齢通りの様子で、お育ちになられた。
快璃さまは、あっさりと皇子の身分を捨てて、学校の卒業と同時に明の国へ移られた。透子さまが十五歳になられたその日に婚姻され、国の運営を手伝っておられると聞く。次期国主は、華子姫とその伴侶が担われるため、気楽なお手伝いだとご本人は仰られている、との噂が流れてきていた。
結婚されて十年。お子はまだ授かられていないようだ。宿った、との話も聞かない。
やはり、と思う己が嫌だった。前世で透子さまの側仕えだった鞠が見つからない、ということは、皇子と呼ばれた赤子も現れはしないだろうという予感はあったのだ。
祈ってはいた。
まだ、生まれていないのだから、今から生まれてきてくれることもあるのかもしれない、と。
しかし、私の予想は正しく、皇子どころか一人のお子も成してはおられなかった。
それは、玻璃皇子も同じであった。結婚されて三年。お子ができる気配は無く、何人もの医師が玻璃皇子と妃殿下のお体を調べた。お二人共に何の異常もなく健康であられる、との診断結果が積み重なるばかりであった。
まだ三年。しかし、焦りは見え始めた。快璃さまが十年できていないばかりではなく、他の皇族の方々にも、お子が出来にくくなっているようなのである。少しでも皇家の血筋に連なっている家で、なかなかお子が生まれず、できたお子は全て姫君であった。
私は、何か重大なことを忘れているのかもしれない……。
平和に、時は過ぎていた。玻璃皇子は、そっくり同じ顔の快璃さまと自分を完璧に見分ける透子さまに、恋心を抱いていた様子であったが、属国の姫君とは結ばれないと繰り返し刷り込み、高位貴族の婚約者候補との面談を、ある程度の間を開けて行った。次期帝であることを忘れないように、結ばれる相手は、この中からだと分からせるように。
私のように、前世の記憶は無いらしい。年齢通りの様子で、お育ちになられた。
快璃さまは、あっさりと皇子の身分を捨てて、学校の卒業と同時に明の国へ移られた。透子さまが十五歳になられたその日に婚姻され、国の運営を手伝っておられると聞く。次期国主は、華子姫とその伴侶が担われるため、気楽なお手伝いだとご本人は仰られている、との噂が流れてきていた。
結婚されて十年。お子はまだ授かられていないようだ。宿った、との話も聞かない。
やはり、と思う己が嫌だった。前世で透子さまの側仕えだった鞠が見つからない、ということは、皇子と呼ばれた赤子も現れはしないだろうという予感はあったのだ。
祈ってはいた。
まだ、生まれていないのだから、今から生まれてきてくれることもあるのかもしれない、と。
しかし、私の予想は正しく、皇子どころか一人のお子も成してはおられなかった。
それは、玻璃皇子も同じであった。結婚されて三年。お子ができる気配は無く、何人もの医師が玻璃皇子と妃殿下のお体を調べた。お二人共に何の異常もなく健康であられる、との診断結果が積み重なるばかりであった。
まだ三年。しかし、焦りは見え始めた。快璃さまが十年できていないばかりではなく、他の皇族の方々にも、お子が出来にくくなっているようなのである。少しでも皇家の血筋に連なっている家で、なかなかお子が生まれず、できたお子は全て姫君であった。
私は、何か重大なことを忘れているのかもしれない……。
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