【完結】何度でもやり直しましょう。愛しい人と共に送れる人生を。

かずえ

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透子の章

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 私と快璃かいりを、耶麻やまの国とあけの国の国境くにさかいの門に程近い屋敷で出迎えてくれた深剣みつるぎは、目を丸くした後で笑い転げた。

「似合ってる、似合ってる。」

 短い髪のことか、商人風の格好のことか。そういう本人も、門番の兵士と同じ格好だった。護衛も同じ姿である。耶麻やまの国の一兵卒、という設定なのだろう。
 私達は、四人の商人と二人の護衛という形で旅をすることになった。
 私と快璃かいりは、やはり何も知らないお坊ちゃんとお嬢さんだったのだ。二人で旅に出ていたら、今頃、身ぐるみ剥がれて路頭に迷っているか、身を守るために何人か殺してしまって、罪悪感に苛まれていたかもしれない。
 葉室はむろが、平民目線の旅の手配を一手に引き受けてくれた。彼女は、王城の側仕えができるのだから貴族の血筋なのだが、庶子で、もともとは平民として暮らしていたらしい。突然、貴族の社会に入れられて、礼儀作法などの勉強には難儀しました、と完璧な所作でそんなことを言うので驚いてしまった。十五年も共にいて、ちっとも知らなかったのだ。
 商人にでも雇って貰って、あかつきの国へ入るのはどうだろう、と計画を伝えると、あなたたちを雇う者はおりません、と辛辣な言葉をもらった。確かに、私達は商人に雇ってもらうための特別な技術を持ち合わせてはいなかった。
 品物を準備して商人になってしまえば良いのです、と葉室はむろは言う。商売許可書は、耶麻やまでもあけでも発行してもらって、見せろと言われた場所毎に交互に見せていれば、足取りを辿り難くなります、ということも考えてくれた。
 白露しらつゆも、あまり平民の旅の仕方は知らなかったが、旅の手配などを担うための側仕えの勉強はしていたし、護衛の二人は、野営の訓練をしたことがあるとのことで、てきぱきと動いてくれた。
 こんな危ないことに巻き込みたくは無かった。私達にはもう、身分が無いのに、いつまでもどこまでも付いてきてくれる。感謝してもしきれない。

        
   
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