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30 瓦礫の山で
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雨の降りしきるレイヴンズ本部、跡地。すっかり瓦礫の山となったこの場所の一角で、何やら蠢くものがあった。
それは次第に激しさを増し、ついに――
「うっ、ぐっ……だあぁぁぁぁっ!」
野獣の如き雄叫びとともに、人の手が生えてきた。
その正体は――
「死ぬかと思ったぜ……」
なんと、カイセ・スクトであった。彼は一言呟くと、辺りを見回す。すると、
「っ、おい!大丈夫か!」
自分の傍らにある瓦礫からはみ出す手を見つけた。彼は急いで駆け寄り、瓦礫を持ち上げる。
その下にいたのは――
「……親父」
無残な姿となった、彼の父親であった。
タダシによって連行されてすぐのこと。彼は即座に反旗を翻し、ひたすらに暴れた。
だが傍から見れば長官に手を出した重罪人――彼の弁明も通じず、牢屋に閉じ込められたという訳だ。
そして建物の倒壊と共に生き埋めとなったが、持ち前の気合と根性で脱出を果たしたのだ。
スクトは瓦礫を完全に払いのけてしゃがみ込み、その骸を見つめる。
「……ったく。勝手な真似ばかりしやがって……!」
彼は拳を握り込み、振り上げるも――
「……一言ぐらい、おふくろに謝ってから逝けってんだ……クソ親父」
その腕を力なく降ろして指を開き、その頬をそっと撫でた。
そして彼は、タダシの側で何か光る物体を見つけた。
「これは……」
それは、タダシがジャスティマギアの装着に要していたシャンパンゴールドのスマートフォン。
彼はそれを拾い上げ、血を袖で拭ってからしまう。
こんな物でも、数少ない遺品だ――そう思ったがためだ。
「さて、これからどうするか……?」
彼は呟く。今のスクトには、いまいち状況が呑み込めていない。一体この場所で、何が起こったのか――それをまずは知りたかった。
そう思っていると――
《着信中》
スマートフォンが突如、鳴り響いた。
「おっ、うぉ!?何だ何だ!?」
当然そんな機能など知る由もない彼は戸惑い、画面をじっと見つめる。
「……これか?」
しばらくしてから、《応答》と書かれたアイコンを見つけたスクト。彼は恐る恐る、それをタップする。
「こちらキュリオ、こちらキュリオ。聞こえているのであれば、応答してください」
そこから聞こえてきたのは、何とキュリオの声であった。彼は思わず叫ぶ。
「キュリオ!お前、無事なのか!?」
当然だ。彼の視点で言えば、彼女はタダシの秘書に命を握られていたはず――そんな彼女が無事という事は、父親の死と何か関連性があるという事だ。
「スクト、君、生きてたのかい……?」
通話先のキュリオもまた、同じように驚いていた。マリスによるレイヴンズ本部襲撃を中継で目の当たりにしていた彼女にとって、スクトの安否は絶望的なものであったためだ。
震える声の彼女に、スクトは応える。
「ああ、なんとかな」
「よかった……うぅ」
「んなことより、いったい何が起こった?爆発音がしたかと思えば、本部が崩れて無くなっちまった……まるで訳がわかんねぇぞ」
「うん、そうだよね。説明するから、落ち合おう。場所は――僕のラボで」
「おう、わかった。待ってろ、すぐ行く」
そう言いつつ、彼は再び画面を見つめる。そして《終了》ボタンを見つけタップ。
通話を切ると、ため息をついた。
「……だがまぁ、歩きか。結構かかるなこりゃ」
彼のぼやきももっともであった。このレイヴンズ本部は山頂に位置する――車で移動すれば苦にならないが、徒歩では相当な距離だ。
それに、今の彼は数日間拘束された後さらに負傷した身。空腹も相まって、たどり着けるかどうかはギリギリのラインであった。
彼が天を仰ぎ、苦笑いを浮かべていると――
「……ん?」
遠くから、クラクションの音がした。
その方向を向くと、そこには――
「スクト君、無事だったか!」
装甲車の窓からこちらを覗き込み、叫ぶ老人の姿――サクヤの姿があった。
見知った顔が現れ、一目散に駆け寄るスクト。
「爺さん、あんたも元気そうで何よりだ」
「あの子の所へ行くのだろう?なら乗りなさい」
どうやら、彼もまた目的地は同じなようだ。スクトは頷くと、助手席へ座る。
それを確認すると、サクヤは自移動運転機能を始動させる。行き先は当然――キュリオのラボだ。
(そういやアイツ、無事なのか……?)
揺れる車内で、彼は気づく。あの日サクヤと共に残されたケイトの姿が無いことに。
その安否もまた気がかりであったが、後でわかることだと目を閉じ、今は眠ることにした――
それは次第に激しさを増し、ついに――
「うっ、ぐっ……だあぁぁぁぁっ!」
野獣の如き雄叫びとともに、人の手が生えてきた。
その正体は――
「死ぬかと思ったぜ……」
なんと、カイセ・スクトであった。彼は一言呟くと、辺りを見回す。すると、
「っ、おい!大丈夫か!」
自分の傍らにある瓦礫からはみ出す手を見つけた。彼は急いで駆け寄り、瓦礫を持ち上げる。
その下にいたのは――
「……親父」
無残な姿となった、彼の父親であった。
タダシによって連行されてすぐのこと。彼は即座に反旗を翻し、ひたすらに暴れた。
だが傍から見れば長官に手を出した重罪人――彼の弁明も通じず、牢屋に閉じ込められたという訳だ。
そして建物の倒壊と共に生き埋めとなったが、持ち前の気合と根性で脱出を果たしたのだ。
スクトは瓦礫を完全に払いのけてしゃがみ込み、その骸を見つめる。
「……ったく。勝手な真似ばかりしやがって……!」
彼は拳を握り込み、振り上げるも――
「……一言ぐらい、おふくろに謝ってから逝けってんだ……クソ親父」
その腕を力なく降ろして指を開き、その頬をそっと撫でた。
そして彼は、タダシの側で何か光る物体を見つけた。
「これは……」
それは、タダシがジャスティマギアの装着に要していたシャンパンゴールドのスマートフォン。
彼はそれを拾い上げ、血を袖で拭ってからしまう。
こんな物でも、数少ない遺品だ――そう思ったがためだ。
「さて、これからどうするか……?」
彼は呟く。今のスクトには、いまいち状況が呑み込めていない。一体この場所で、何が起こったのか――それをまずは知りたかった。
そう思っていると――
《着信中》
スマートフォンが突如、鳴り響いた。
「おっ、うぉ!?何だ何だ!?」
当然そんな機能など知る由もない彼は戸惑い、画面をじっと見つめる。
「……これか?」
しばらくしてから、《応答》と書かれたアイコンを見つけたスクト。彼は恐る恐る、それをタップする。
「こちらキュリオ、こちらキュリオ。聞こえているのであれば、応答してください」
そこから聞こえてきたのは、何とキュリオの声であった。彼は思わず叫ぶ。
「キュリオ!お前、無事なのか!?」
当然だ。彼の視点で言えば、彼女はタダシの秘書に命を握られていたはず――そんな彼女が無事という事は、父親の死と何か関連性があるという事だ。
「スクト、君、生きてたのかい……?」
通話先のキュリオもまた、同じように驚いていた。マリスによるレイヴンズ本部襲撃を中継で目の当たりにしていた彼女にとって、スクトの安否は絶望的なものであったためだ。
震える声の彼女に、スクトは応える。
「ああ、なんとかな」
「よかった……うぅ」
「んなことより、いったい何が起こった?爆発音がしたかと思えば、本部が崩れて無くなっちまった……まるで訳がわかんねぇぞ」
「うん、そうだよね。説明するから、落ち合おう。場所は――僕のラボで」
「おう、わかった。待ってろ、すぐ行く」
そう言いつつ、彼は再び画面を見つめる。そして《終了》ボタンを見つけタップ。
通話を切ると、ため息をついた。
「……だがまぁ、歩きか。結構かかるなこりゃ」
彼のぼやきももっともであった。このレイヴンズ本部は山頂に位置する――車で移動すれば苦にならないが、徒歩では相当な距離だ。
それに、今の彼は数日間拘束された後さらに負傷した身。空腹も相まって、たどり着けるかどうかはギリギリのラインであった。
彼が天を仰ぎ、苦笑いを浮かべていると――
「……ん?」
遠くから、クラクションの音がした。
その方向を向くと、そこには――
「スクト君、無事だったか!」
装甲車の窓からこちらを覗き込み、叫ぶ老人の姿――サクヤの姿があった。
見知った顔が現れ、一目散に駆け寄るスクト。
「爺さん、あんたも元気そうで何よりだ」
「あの子の所へ行くのだろう?なら乗りなさい」
どうやら、彼もまた目的地は同じなようだ。スクトは頷くと、助手席へ座る。
それを確認すると、サクヤは自移動運転機能を始動させる。行き先は当然――キュリオのラボだ。
(そういやアイツ、無事なのか……?)
揺れる車内で、彼は気づく。あの日サクヤと共に残されたケイトの姿が無いことに。
その安否もまた気がかりであったが、後でわかることだと目を閉じ、今は眠ることにした――
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