悪役令嬢が男だった場合のハッピーエンドルート

菜っぱ

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美しいには理由がある1

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 突然の同居の提案に、ノーチェは苦笑いをするしかなかった。

「あの……いくら何でもご冗談ですよね?」
「いいえ。本気だけども?」

 ジーナの生真面目な表情にノーチェは口をパクパクとさせるしかできない。

「あの……。さすがにジーナ様でもひとつ屋根の下、と言うのはいただけないですよね?」
「昔から、うちには行儀見習いでよそのお嬢さんがいたことが多かったし、今回も同じようなものでしょう?」

 そんな特殊な環境でジーナは育っていたのか……。とノーチェは頭を抱える。
 そういえば、ジーナには美しい姉がいた。社交界でも有名な女性で、公爵家の次期当主に嫁いでいたはずだ。美しい立ち振る舞いと、美への探究心が凄まじく、そのアイドル的魅力に憧れる女性たちは数多くいたとノーチェは記憶している。

 その女性たちを集めて、美容関連の私塾のようなものを開いていると言う噂を聞いたことがあったような……。

 ただでさえ貧しいノーチェの男爵家は食べるものに困るほどであったので、美容などにお金を使うことができず、そんな話題聞き流してしまっていた。

 ジーナの美しさにはどうやらしっかりとした土壌があるようだ。

 __そんなことはさておき。

「私は、ジーナ様と言えど、男性と共に暮らすのはちょっと……。あんまりにも外聞がよろしくないかと」

 オブラートに包んでも無駄だ、と理解したノーチェは率直にジーナに意見した。しかし、ジーナは相変わらず探るような視線でノーチェを見ていた。

「あなた、そういえば特待生でこの学園に入学してるよね? 授業料が免除になる……。ここに通う行き帰りの時間があったら勉強したいんじゃない? 卒業前の最後のテストでいい成績を取らないと、学費を返さないといけなくなるし……」
「うっ!」

 それを言われると痛い。

「それに……うん。ありがとう」

 ジーナは後ろに控えていた使用人から資料らしきものを受け取る。

「あなた最近、婚約破棄で落ち込んでいたのかもしれないけれど、成績が大分落ちているみたいね。……このままで大丈夫なの?」

 いつの間に調べていたの⁉︎  とノーチェは目をひん剥く。ジーナにお茶をぶちまけて今を迎えるまで、三時間弱しかなかったはずだ。

(とんでもない情報網も持っているのですね……)

 ノーチェは心の中でため息をついた。

「ここから通えば、使用人も充実しているし、生活は大分楽になるよ? どうする?」

 その提案は甘い蜜のように聞こえる。今のノーチェにとって時間は喉から手が出るほど欲しいものだ。

「わかりました! ここから学園に通います!」

 ノーチェは腹を決めて、大きく宣言をした。
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