義兄が部屋から出てこない

夏野目

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17 首輪と性別

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「……それってさ、間違い無いの?」
「うん、間違いないよ。本当にいるんだって感じだよな?義理兄達はそれのせいで孤児院で酷い扱いを受けたんじゃないかって。多分足とか、いろんな不具合があるのもその時に」

 魔法陣を持たないということは、宗教的に考えれば神の寵愛を受けられなかったということに等しい。
 無神論者であれば珍しいな、で済むのだろうが、神を信じる人々からは差別対象にされることが多い。
 割合はゼロに等しいと言われているみたいだ。
 歴史上から消されてしまったのか、本当にいなかったのか、文献にも残っていない。もしいるのなら神に見捨てられた、人間ではない存在とかなんとか好き勝手な書かれ方をしていて、落ち込まされたのも一度や二度ではない。
 魔法陣を研究すればするほど、自分の異質さが身に染みて分かった。


「今はもう、家族と一部の人間しか知らないんだけど。この国は割と自由で神殿も権力が弱いし、言わなきゃバレることもない」
「……でも、すみの入ってた孤児院の職員達は知ってるんだよね?そいつらがどうなったのか知ってるの?」
「全員逮捕されたって聞いたけど……今はどうなったのかは知らないな。罰の一環として、制約の首輪をつけられたみたいだ」
「制約の首輪?俺の国には無いなあ、聞いた事ない」
「決められた内容の事を口外出来なくなったり、決められた場所に入れなくなったり。再犯を防ぐ為のものらしいけど、反すると心臓を止められてしまうから、よっぽど重い罪じゃ無いと着けられない」
「うわ……スプリング家の愛の重さを感じる……いや、それくらいされて当然なんだけど。俺的には死刑でもいいくらいだし」

 そう言いながらも、碧は自分の首の周りを両手で確認するように触りながら顔を青くしている。

「……何かさ、今言うことじゃないかもしれないけど。すみすみから本っ当に信頼されてるんだな~って、今日すごく身に染みて感じてる。嬉しい」
「ああ、俺も同じこと思ってた。契約神がいるのって人に言い辛いんじゃないか?ありがとう、信じてくれて。だから俺も信じたくなった」

 感謝の気持ちを出来るだけ伝えたくてにこりと笑うと、青かった碧の顔がゆでダコのようにどんどん赤くなっていった。

「あー!もうすみすみ!好き!!!」
「うわっ!?」

 アテと全く同じ流れで飛びついてくる碧に、またソファに倒されてる。

「ア、アテより重い」
「やだ!他の男と比べないで!」

 変な高い声を出す碧。
 他の男って……いや、それよりも。

「アテって男なんだ……」
「性別はないらしいよ~?よく分かんないけど。あーあ!すみすみ堪能できて癒されちゃった!」

 最後にぎゅっと強く抱きついて、碧は俺から離れていった。
 おお……家族とローレンス殿下以外に抱きつかれたのは初めてだ。友達ってこんな感じでハグしてもいいんだな。

「ていうかごめん、足大丈夫!?痛めてたらアテのこと許さないから」
『お前も飛びついたくせに』

 アテがまたいつの間にか隣に現れている。

「アテ、すみの怪我治せないの?」
『そういう根深い傷は専門じゃない』
「役立たずだ」
『お前よりはマシだ』
 アテはフサフサの尻尾でバシッと碧のことを叩いて、また砂のように消えて行った。

「なんか……仲良いな?」
「良くない良くない。でもお互いがいないと生きていけないからさ~、妥協しあって暮らしてるわけよ」
「アテには治癒の力もあるのか?」
「うん、軽い骨折くらいは治したことあるけどね。まぁ……制約とか制限とか色々あるっぽいね。よし!パイ食べよ~!冷めちゃう!花瓶もついでに探すからゆっくりして待ってて!」

 制約の部分についてもかなり気になるが、碧は慌ただしくキッチンの方へ走って行ってしまった。


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