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日ノ本未だ一統ならず-北条と東北。明とスペイン、欧州情勢。-
第630話 『蒸気機関の課題はわかった。次は雷管だ』(1577/6/7)
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天正六年五月二十一日(1577/6/7) 諫早城 <純正>
「では蒸気機関は、高炉ともうひとつの炉の動力源として使うように」
俺は忠右衛門と政秀にそう命じた。
「松庵、鉄には硬い鉄と柔らかい鉄、硬いが脆い鉄など、様々な種類があるのではないか?」
「はい、刀などは非常に硬いですが加工がしづらく、折れやすい特徴があります」
「鉄に何がどれだけ含まれるかで、その特徴が変わる事はわかっているんだろう?」
宇田川松庵は様々な物質の性質や化合、分離を研究している。気体や固体、液体などの状態は問わない。
「高炉においては、その……色々と砂鉄や鉱石以外にも入れておるのだろうから、投入の量を変えてみる事だ。それによって、それぞれ生成される鉄の性質を観察すればよい」
俺はあくまでアイデアだ、と念を押して伝えた。正直なところ、何をどうすれば、どうなるのかは分からない。ただし、今までの単なる意見交換会でなくなる事を祈る。
さらにお互いが深く連携しあい、お互いの知識や技術を出し惜しみすることなく、共有するように命じたのだ。
現在稼働中の反射炉の図面も見せてもらった。
熱を反射するための角度や広さなど、様々な項目を再度検証して、どうすればさらに高温で鉄を再溶解して軟鉄を作れるか? 再度確認し、複数の違う形状を試すように命じた。
加工がしやすければ工作機械の素材としても使えるし、蒸気機関の素材としても強度はあがるはずだ。
「次に雷か……発火剤だが……」
俺は一貫斎を見た。
「火薬以外に爆発……衝撃で爆発するような物は見つかったか?」
「……申し訳ありませぬ。未だ糸口すらつかめておりません」
うーん、物質なら松庵なんだろうけどね……。
「松庵、これは銃の研究とは違う、お主の化学の分野での研究だが、摩擦や衝撃で発火したり爆発するような物は発見できていないのか?」
一貫斎から松庵へ、俺は目線を移して聞いてみる。
「申し訳ありませぬ。未だそのような物質は見つかっておりませぬ」
そりゃそうだよな……。発火性の物質というか、爆発性の物質なんてそう簡単に見つかるはずないよね。
「そうか……それは、すまなかったな。別にお主の苦労を否定するつもりはまったくないのだ。これは他の皆も同じだ」
実際そうだ。
ミニエー弾やフリントロックは俺のアイデアがあったかもしれないが、ドリルだって電気だって蒸気機関だって、200年300年先を行っている。
もちろん、人と物と金も十分に投下している。だからこその成果なのだろう。
……もうちょっと頑張って、いや、頑張っているとは思うよ。十分。でもスペイン戦の前に蒸気船と雷管は欲しい。それがあれば、相当有利に進められる。
「松庵よ、いろいろな研究があるとは思うが、今はその発火剤の研究に集中してくれ。人員も予算も、今まで以上に投入させる」
しらみつぶしに探させる。
エドワード・ハワードの雷酸塩の発見は1800年、アレクサンダー・ジョー・フォーサイスが1806年に発火方式を生み出している。250年先の技術なんだ。
ブルートフォースアタックでしらみつぶしにやってもらうしかない。化学関連の知識のある者を総動員して、見つけて貰う。元素記号だけで確か100以上あったな。
物質(化学物質)なんて地球上にどれだけある? 1万? 10万? 組み合わせて、熱して、混ぜて、真空にして……。
……頑張れ、としか言えないのがもどかしい。
前世は化学者でも科学者でもなく、ただの歴史と軍事オタクなんだ。魔法もなけりゃチートもない。頼む、みんな。
■呂宋警備隊
「高雄湊との連携はどうだ?」
「は。海図のおかげで現在地がわかりますし、難破の恐れもなくなりました」
台湾とフィリピンでは測量を行い、海図を作成して安全な航海ができるようにしている。
当初、台湾の拠点は北部の天然の良港であった基隆港であった。
しかし整備も進み、南のフィリピンとの連携が必要となるにつれ、南部の湊の開発が必要となって高雄の開発を進めていたのだ。
9年前の11月にフィリピンのマニラに要塞の造営を開始、8年前の2月に台湾の基隆で基地と街の建設を開始した。今では入植者も増え、琉球や薩摩など九州の商人の姿もある。
「南部はいかがじゃ?」
「は。それが……特にセブから澳門(マカオ)の間で、イスパニアと明の荷船の動きが活発になっております」
「ふむ。予測はしておったが、やはり明はイスパニアとの交易に望みをかけたか」
「は。そのようでございます」
「わが小佐々の産品が諸国に大いに売れますゆえ、明との朝貢は仕方ないとしても、民の行う交易では、明の相手はイスパニアしかないのでしょう」
陸軍の深作宗右衛門兼光少将は、第一艦隊司令長官である姉川惟安中将に声をかけた。
明に対する純正の経済政策は効果てきめんで、東南アジアの諸国は琉球と同様に、民間貿易においてはもはや明を相手にしていなかったのだ。
「まあこれは致し方あるまい。明とは国交がないのだ。戦はしておらぬが、台湾問題で揉めている以上、良くはなるまい」
「然に候」
部下からの一連の報告を聞きながら、惟安は、兼光に返事をした。
「申し上げます! ただいま澳門のポルトガル東インド艦隊からの知らせが入り、イスパニアの使者らしき者が、ちょうど視察に来ていた明の張居正と会談していたようにございます」
「「なにい! ?」」
「それは誠か?」
惟安は再度確かめる様に聞いた。
「は。情報省の担当官に確認したところ、ほぼ同じ時期に同様の情報をつかんでおり、知らせにあがるところであった、と」
「こうしてはおれん! すぐに御屋形様にお知らせせねば!」
発 第一艦隊司令長官 宛 御屋形様(官職が変わるので統一)
秘メ 明国 張居正 ト イスパニア 使者 会談 セリ
ヲリシモ セブ ト 澳門 ノ 間ニテ 盛ンニ 両国ノ 荷船 往来アリテ
澳門ノ ポルトガル艦隊 ナラビニ 情報省カラノ 知ラセ 同ジニシテ
確タル 証ト 存ジ候 秘メ
次回 第631話 『開戦か交渉か』
「では蒸気機関は、高炉ともうひとつの炉の動力源として使うように」
俺は忠右衛門と政秀にそう命じた。
「松庵、鉄には硬い鉄と柔らかい鉄、硬いが脆い鉄など、様々な種類があるのではないか?」
「はい、刀などは非常に硬いですが加工がしづらく、折れやすい特徴があります」
「鉄に何がどれだけ含まれるかで、その特徴が変わる事はわかっているんだろう?」
宇田川松庵は様々な物質の性質や化合、分離を研究している。気体や固体、液体などの状態は問わない。
「高炉においては、その……色々と砂鉄や鉱石以外にも入れておるのだろうから、投入の量を変えてみる事だ。それによって、それぞれ生成される鉄の性質を観察すればよい」
俺はあくまでアイデアだ、と念を押して伝えた。正直なところ、何をどうすれば、どうなるのかは分からない。ただし、今までの単なる意見交換会でなくなる事を祈る。
さらにお互いが深く連携しあい、お互いの知識や技術を出し惜しみすることなく、共有するように命じたのだ。
現在稼働中の反射炉の図面も見せてもらった。
熱を反射するための角度や広さなど、様々な項目を再度検証して、どうすればさらに高温で鉄を再溶解して軟鉄を作れるか? 再度確認し、複数の違う形状を試すように命じた。
加工がしやすければ工作機械の素材としても使えるし、蒸気機関の素材としても強度はあがるはずだ。
「次に雷か……発火剤だが……」
俺は一貫斎を見た。
「火薬以外に爆発……衝撃で爆発するような物は見つかったか?」
「……申し訳ありませぬ。未だ糸口すらつかめておりません」
うーん、物質なら松庵なんだろうけどね……。
「松庵、これは銃の研究とは違う、お主の化学の分野での研究だが、摩擦や衝撃で発火したり爆発するような物は発見できていないのか?」
一貫斎から松庵へ、俺は目線を移して聞いてみる。
「申し訳ありませぬ。未だそのような物質は見つかっておりませぬ」
そりゃそうだよな……。発火性の物質というか、爆発性の物質なんてそう簡単に見つかるはずないよね。
「そうか……それは、すまなかったな。別にお主の苦労を否定するつもりはまったくないのだ。これは他の皆も同じだ」
実際そうだ。
ミニエー弾やフリントロックは俺のアイデアがあったかもしれないが、ドリルだって電気だって蒸気機関だって、200年300年先を行っている。
もちろん、人と物と金も十分に投下している。だからこその成果なのだろう。
……もうちょっと頑張って、いや、頑張っているとは思うよ。十分。でもスペイン戦の前に蒸気船と雷管は欲しい。それがあれば、相当有利に進められる。
「松庵よ、いろいろな研究があるとは思うが、今はその発火剤の研究に集中してくれ。人員も予算も、今まで以上に投入させる」
しらみつぶしに探させる。
エドワード・ハワードの雷酸塩の発見は1800年、アレクサンダー・ジョー・フォーサイスが1806年に発火方式を生み出している。250年先の技術なんだ。
ブルートフォースアタックでしらみつぶしにやってもらうしかない。化学関連の知識のある者を総動員して、見つけて貰う。元素記号だけで確か100以上あったな。
物質(化学物質)なんて地球上にどれだけある? 1万? 10万? 組み合わせて、熱して、混ぜて、真空にして……。
……頑張れ、としか言えないのがもどかしい。
前世は化学者でも科学者でもなく、ただの歴史と軍事オタクなんだ。魔法もなけりゃチートもない。頼む、みんな。
■呂宋警備隊
「高雄湊との連携はどうだ?」
「は。海図のおかげで現在地がわかりますし、難破の恐れもなくなりました」
台湾とフィリピンでは測量を行い、海図を作成して安全な航海ができるようにしている。
当初、台湾の拠点は北部の天然の良港であった基隆港であった。
しかし整備も進み、南のフィリピンとの連携が必要となるにつれ、南部の湊の開発が必要となって高雄の開発を進めていたのだ。
9年前の11月にフィリピンのマニラに要塞の造営を開始、8年前の2月に台湾の基隆で基地と街の建設を開始した。今では入植者も増え、琉球や薩摩など九州の商人の姿もある。
「南部はいかがじゃ?」
「は。それが……特にセブから澳門(マカオ)の間で、イスパニアと明の荷船の動きが活発になっております」
「ふむ。予測はしておったが、やはり明はイスパニアとの交易に望みをかけたか」
「は。そのようでございます」
「わが小佐々の産品が諸国に大いに売れますゆえ、明との朝貢は仕方ないとしても、民の行う交易では、明の相手はイスパニアしかないのでしょう」
陸軍の深作宗右衛門兼光少将は、第一艦隊司令長官である姉川惟安中将に声をかけた。
明に対する純正の経済政策は効果てきめんで、東南アジアの諸国は琉球と同様に、民間貿易においてはもはや明を相手にしていなかったのだ。
「まあこれは致し方あるまい。明とは国交がないのだ。戦はしておらぬが、台湾問題で揉めている以上、良くはなるまい」
「然に候」
部下からの一連の報告を聞きながら、惟安は、兼光に返事をした。
「申し上げます! ただいま澳門のポルトガル東インド艦隊からの知らせが入り、イスパニアの使者らしき者が、ちょうど視察に来ていた明の張居正と会談していたようにございます」
「「なにい! ?」」
「それは誠か?」
惟安は再度確かめる様に聞いた。
「は。情報省の担当官に確認したところ、ほぼ同じ時期に同様の情報をつかんでおり、知らせにあがるところであった、と」
「こうしてはおれん! すぐに御屋形様にお知らせせねば!」
発 第一艦隊司令長官 宛 御屋形様(官職が変わるので統一)
秘メ 明国 張居正 ト イスパニア 使者 会談 セリ
ヲリシモ セブ ト 澳門 ノ 間ニテ 盛ンニ 両国ノ 荷船 往来アリテ
澳門ノ ポルトガル艦隊 ナラビニ 情報省カラノ 知ラセ 同ジニシテ
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