平凡な三つ子は平凡に暮らす...はずだった

月兎

文字の大きさ
13 / 75
1章 なんだかんだで城へ

自覚~ラン・アルテント~

しおりを挟む
 なんか、今日だけで大切なものを沢山失った気がする。

「はぁー」

 思わず溜息が漏れる。すると、

「どうした?」

「幸せ逃げちゃうよー?」

 いつの間にか帰ってきたレンとロンに心配された。

「あぁ、大丈夫」

 あ、そうだ。

「あのさ、2人に聞きたいことあるんだけど」

 そう切り出して、僕は今日のことを話した。
 すると、

「あぁー...」

「うん...」

 何?この反応。

「俺もね、待っててって言われてたのに遅れちゃったんだよ。それで、お仕置きとか言われて、キスされた。しかも!ファーストキス!」

「僕もー!遅れちゃって、部屋入ったらなんかすごく怖い雰囲気でさー、抵抗も出来ずに言いなりだったよー。キスもされたー」

 流石三つ子。やることは同じなんだ。

「で?聞きたいことって?」

 あ、忘れた。

「その時、キスメッチャ上手かったから、経験の差かな?って考えたら、胸が締め付けられて...これって、何!?」

   ポカーン

 え?なんでポカーンってしてるの?
 もしかして、2人も分かんない?
 とか思ってたら、いきなり笑われた。

「あーっはっはっ!え?何?分かんないの?その気持ちの正体」

「クスクスッ...あ、いや、バカにしてるわけじゃないんだけどねー。フフッ」

 なんだよ!バカにしてんじゃん!完全に!

「知ってるなら教えろよー」

「それは恋だ。」

   えっ...?

「な、何言って...」

「無意識の内に惹かれてたんじゃない?」

「僕もねー、今日そうなったよー。僕はすぐ気づいたけどねー、恋だって。ランがそうなったのって、イレーク王子が自分じゃない、他の誰かとキスしてるの想像したからじゃない?」

「そう!よく分かったな!」

「それは恋からくる嫉妬だよー。ランも恋したんだねー」

「え?待って?僕は結構話してたけど、ランとロンは?そんな接点無くないか?」

「俺は...っ!」

 ん?どうしたんだ、レン。いきなり固まったぞ…?

「僕はねー、関わったのは今日が初めてだけどねー、なんか、惹かれちゃったんだよねー。キスから始まる恋愛、的な?」

 そうか、僕は恋、してたのか。無意識のうちに。
 ん?ちょっと待て。じゃあ、あの時の王子の反応は...

「ああぁぁぁぁーー!」

 そういう事か!だからあんな、あんな嬉しそうに口元に手当て...僕は自分から「あなたが好きです」って言ったようなものなのか!
 ロンが心配しているが、構っていられない。余裕が無い。

   明日からどんな顔して会えばいいんだよー!

 っていうかレン、ずっと固まってるんだけど…大丈夫かな?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り

結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。 そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。 冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。 愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。 禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...