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1章 なんだかんだで城へ
番外編・職場の先輩
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「エルさん遅いねー」
ロンが言った通り、いつもの時間にエルが来ないのだ。朝ごはんはもうとっくに出来てしまった。エルがスムーズに部屋に入れるように、ドアも少し開けて、「入っていいよ」の合図も出した。何かあったのかと心配していると、外が騒がしくなってきた。不思議に思っていると、ドアが開いた。
「あ、エルさん?遅かったです…ね?」
いち早く気付いたレンが、声を掛け…止まった。
なぜなら、そこに居たのは…
「わぁー、いい香り!」
「エルってば、いつもコソコソしてると思ったら…」
「ここに来てたのねー」
エルだけでなかったからだ。
三つ子の不思議そうな顔を見たエルは、慌てて近寄った。
「ごめんね、遅れて。先輩達に見つかっちゃって…」
「先輩…?」
「あ、そっか!みんなは会うの初めてだったよね」
そう言ってエルは、先輩達を呼んだ。
先輩達が揃ったところで、
「みんな、自己紹介を」
エルに促され、
「ラン・アルテントです」
「レン・アルテントです。お願いします」
「ロン・アルテントですー」
と、自己紹介をした。
三つ子の自己紹介が終わると、先輩達も自己紹介をした。
「サレット・ユーシュリファーです。よろしくね」
「アイオネット・シューフェイだ。よろしく!」
「マリアン・リューイットでーす!マリーって呼んでちょうだい!」
長い黒髪を一つにまとめた、優しそうな女性がサレット。
身長が高くスラッとしており、紺色の髪を短く切った爽やかで、ボーイッシュな女性がアイオネット。
身長は少し低めで、栗色のふわふわとした髪とおっとりとした雰囲気をもつ女性がマリアン。
今までエル以外の先輩にちゃんと会っていなかった3人は、どう接すればいいのか分からず、オロオロとしていた。すると、
「可愛いっ!」
「これは王子が気に入るわけだ」
「可愛くて家事もできる。サイコーだねー!」
先輩達に抱きしめられた3人は、拒否するわけにもいかず、更にオロオロした。それに気付いたサレットが、「ごめんねー」と言い、説明をした。
「いやー、王子が気に入った子が城に来たって聞いてたんだけど、なかなか会えなくて…そしたら、エルが朝早く廊下にいるのをちょくちょく見てねー。まさかと思って追っかけてきたら、君たちの部屋だったってわけ。ごめんね?うるさくして」
「いえ!僕達もご挨拶しないとと思っていたのですが、なかなかいいタイミングが無くて…」
「いいの!元々は、私達に近寄らせなかったエルが悪いんだから。ねー、エルゥー?」
責めるような口調で話しかけられたエルは、ビクッと肩を震わせた。普段の優しそうな雰囲気とのギャップも相まって、とても怖い。
「え!?あ、いや、その、べ、べつに近寄らせなかったわけじゃ…」
「ん?」
「なんでもありません。すみませんでした…」
やりとりを聞いていた3人は悟った。
エルさんが言ってた人って、この人達か…!
最初にエルに会った時、女性は強いと言っていたことを思い出し、また、別のことも思い出したランが「あぁー!」と大声を出した。
「どうした!?ラン」
「仕事…完全遅刻…」
『あ…』
「私達はもう朝食べたからねー」
「ほら、早く食べないと!」
「ファイトー!」
慌てる4人に女性陣はエールを送り、部屋を後にする。
お、お前らのせいだろうがぁーー!
と、心の中で叫んだエルの顔は、朝だというのにどこか疲れているように見えた。
ロンが言った通り、いつもの時間にエルが来ないのだ。朝ごはんはもうとっくに出来てしまった。エルがスムーズに部屋に入れるように、ドアも少し開けて、「入っていいよ」の合図も出した。何かあったのかと心配していると、外が騒がしくなってきた。不思議に思っていると、ドアが開いた。
「あ、エルさん?遅かったです…ね?」
いち早く気付いたレンが、声を掛け…止まった。
なぜなら、そこに居たのは…
「わぁー、いい香り!」
「エルってば、いつもコソコソしてると思ったら…」
「ここに来てたのねー」
エルだけでなかったからだ。
三つ子の不思議そうな顔を見たエルは、慌てて近寄った。
「ごめんね、遅れて。先輩達に見つかっちゃって…」
「先輩…?」
「あ、そっか!みんなは会うの初めてだったよね」
そう言ってエルは、先輩達を呼んだ。
先輩達が揃ったところで、
「みんな、自己紹介を」
エルに促され、
「ラン・アルテントです」
「レン・アルテントです。お願いします」
「ロン・アルテントですー」
と、自己紹介をした。
三つ子の自己紹介が終わると、先輩達も自己紹介をした。
「サレット・ユーシュリファーです。よろしくね」
「アイオネット・シューフェイだ。よろしく!」
「マリアン・リューイットでーす!マリーって呼んでちょうだい!」
長い黒髪を一つにまとめた、優しそうな女性がサレット。
身長が高くスラッとしており、紺色の髪を短く切った爽やかで、ボーイッシュな女性がアイオネット。
身長は少し低めで、栗色のふわふわとした髪とおっとりとした雰囲気をもつ女性がマリアン。
今までエル以外の先輩にちゃんと会っていなかった3人は、どう接すればいいのか分からず、オロオロとしていた。すると、
「可愛いっ!」
「これは王子が気に入るわけだ」
「可愛くて家事もできる。サイコーだねー!」
先輩達に抱きしめられた3人は、拒否するわけにもいかず、更にオロオロした。それに気付いたサレットが、「ごめんねー」と言い、説明をした。
「いやー、王子が気に入った子が城に来たって聞いてたんだけど、なかなか会えなくて…そしたら、エルが朝早く廊下にいるのをちょくちょく見てねー。まさかと思って追っかけてきたら、君たちの部屋だったってわけ。ごめんね?うるさくして」
「いえ!僕達もご挨拶しないとと思っていたのですが、なかなかいいタイミングが無くて…」
「いいの!元々は、私達に近寄らせなかったエルが悪いんだから。ねー、エルゥー?」
責めるような口調で話しかけられたエルは、ビクッと肩を震わせた。普段の優しそうな雰囲気とのギャップも相まって、とても怖い。
「え!?あ、いや、その、べ、べつに近寄らせなかったわけじゃ…」
「ん?」
「なんでもありません。すみませんでした…」
やりとりを聞いていた3人は悟った。
エルさんが言ってた人って、この人達か…!
最初にエルに会った時、女性は強いと言っていたことを思い出し、また、別のことも思い出したランが「あぁー!」と大声を出した。
「どうした!?ラン」
「仕事…完全遅刻…」
『あ…』
「私達はもう朝食べたからねー」
「ほら、早く食べないと!」
「ファイトー!」
慌てる4人に女性陣はエールを送り、部屋を後にする。
お、お前らのせいだろうがぁーー!
と、心の中で叫んだエルの顔は、朝だというのにどこか疲れているように見えた。
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