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3章 騒動
救世主登場
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レインは、ドアの向こうの人物を見るなり目を見開いた。
「あ、あなたが…何故、ここに…?」
レインがなかなか戻ってこないことに痺れを切らした大臣の1人が、声を荒げた。
「おいっ!早く戻ってこい!」
大臣の声にハッと我に返ったレインは、訪ねてきた人物達を部屋に招き入れた。
「レイン!何勝手なことして………っ!」
その人物達の姿を見た途端、大臣たちは口を開けたまま固まった。
そして、震える声でその人物達の名を口にする。
「こ、国王様!?王子様方まで……!」
「なぜ、ここに………?今日は、外交のはずでは………」
大臣の質問に、国王であるエリオリック・エルオリントが、緩い口調で答えた。
「いやーね、言い争う声が廊下まで聞こえていたからね。ほら、ここって防音じゃないでしょ?声を荒らげることもないし。そんなところから大声が聞こえてきたら、気になっちゃうよねー。それで、みんなで覗いてみたってわけだよ。それで………」
一度言葉を切ると、エリオリックは目をすっと細め、声を固くして言った。
「君たちは、いったい何を話していたのかね?」
その声には圧があり、逆らうことを許さないとでも言うような雰囲気を帯びていた。
エリオリックはさらに言葉を続けた。
「大体は把握しているけれど……もう一度、君たちの口から聞きたいと思うのだよ。ねぇ、大臣殿?」
国王と王子達に睨まれた大臣たちは、身体を震わせた。
しばらくすると、大臣の1人が、いきなり笑いだした。
そして、吹っ切れたかのように早口に話し始めた。
「やっていたことですか?そりゃあもちろん、過去と同じことですよ。レインとその子供をこき使って、奴隷にするんです!自分の都合のいい時に発情させて、また働かせる…我ながらいい案だと思うんですがねぇ!国王様!」
大臣の言葉に、王子達は顔を顰め、レイン、ラン、レン、ロンの4人は身体を震わせた。
それにもかまわず、大臣はさらに続けた。
「我々を罰するおつもりですか?しかし!我々がそれを言った証拠がない!罰しようとしても証拠不十分!我々は罰せられることがない!残念でしたねぇ?国王様。我々は自由で………」
「それは、どうでしょうか?」
大臣の言葉を遮ったのは、ルオネットだった。
彼は後ろを振り返ると、「リン、あれを出してくれ」と言った。
リンはその言葉の意味を素早く察し、服のポケットに入れていたあるものをルオネットに手渡した。
ルオネットはそれを持ってエリオリックの前まで行き、差し出した。
エリオリックが受け取ったそれは、録音機だった。
エリオリックは驚いてルオネットに聞いた。
「ルオネット……これ、いつから……?」
「最初からです。なんとなく、我々のことを嗅ぎつけて来るのではと思っていましたから。娘なら怪しまれないかと思い、ポケットに入れてもらっておりました。上手く撮れていれば、裁判の時の良い証拠となるでしょう。盗聴してしまった無礼、どうかお許し下さい」
エリオリックは頭を下げるルオネットに、慌てて首を振った。
「いやいや!大いに助かった!ありがとう、ルオネット。元々この者達は裁きたいと思っていたのだ。相談も多くてね。しかし、コソコソとやるものだから、証拠が集まらなくて……でも、これで多くの者の恐怖が取り除かれるかもしれない。本当に、ありがとう」
そう言って感謝を述べるエリオリックに迫る影が二つ。
大臣たちの影だった。
恐らく、盗聴器を奪おうとしたのだろう。
突然のことに、ルオネットは反応しきれなかった。
しかし、既に動く者がいた。
彼の息子達だった。
3人は素早く回り込み、相手の足を払って転ばせると、ランとレンが大臣たちをそれぞれ押さえ込み、ロンが部屋にあったロープで、大臣たちの腕をきつく縛った。
こうして、一連の騒動は幕を閉じた。
「あ、あなたが…何故、ここに…?」
レインがなかなか戻ってこないことに痺れを切らした大臣の1人が、声を荒げた。
「おいっ!早く戻ってこい!」
大臣の声にハッと我に返ったレインは、訪ねてきた人物達を部屋に招き入れた。
「レイン!何勝手なことして………っ!」
その人物達の姿を見た途端、大臣たちは口を開けたまま固まった。
そして、震える声でその人物達の名を口にする。
「こ、国王様!?王子様方まで……!」
「なぜ、ここに………?今日は、外交のはずでは………」
大臣の質問に、国王であるエリオリック・エルオリントが、緩い口調で答えた。
「いやーね、言い争う声が廊下まで聞こえていたからね。ほら、ここって防音じゃないでしょ?声を荒らげることもないし。そんなところから大声が聞こえてきたら、気になっちゃうよねー。それで、みんなで覗いてみたってわけだよ。それで………」
一度言葉を切ると、エリオリックは目をすっと細め、声を固くして言った。
「君たちは、いったい何を話していたのかね?」
その声には圧があり、逆らうことを許さないとでも言うような雰囲気を帯びていた。
エリオリックはさらに言葉を続けた。
「大体は把握しているけれど……もう一度、君たちの口から聞きたいと思うのだよ。ねぇ、大臣殿?」
国王と王子達に睨まれた大臣たちは、身体を震わせた。
しばらくすると、大臣の1人が、いきなり笑いだした。
そして、吹っ切れたかのように早口に話し始めた。
「やっていたことですか?そりゃあもちろん、過去と同じことですよ。レインとその子供をこき使って、奴隷にするんです!自分の都合のいい時に発情させて、また働かせる…我ながらいい案だと思うんですがねぇ!国王様!」
大臣の言葉に、王子達は顔を顰め、レイン、ラン、レン、ロンの4人は身体を震わせた。
それにもかまわず、大臣はさらに続けた。
「我々を罰するおつもりですか?しかし!我々がそれを言った証拠がない!罰しようとしても証拠不十分!我々は罰せられることがない!残念でしたねぇ?国王様。我々は自由で………」
「それは、どうでしょうか?」
大臣の言葉を遮ったのは、ルオネットだった。
彼は後ろを振り返ると、「リン、あれを出してくれ」と言った。
リンはその言葉の意味を素早く察し、服のポケットに入れていたあるものをルオネットに手渡した。
ルオネットはそれを持ってエリオリックの前まで行き、差し出した。
エリオリックが受け取ったそれは、録音機だった。
エリオリックは驚いてルオネットに聞いた。
「ルオネット……これ、いつから……?」
「最初からです。なんとなく、我々のことを嗅ぎつけて来るのではと思っていましたから。娘なら怪しまれないかと思い、ポケットに入れてもらっておりました。上手く撮れていれば、裁判の時の良い証拠となるでしょう。盗聴してしまった無礼、どうかお許し下さい」
エリオリックは頭を下げるルオネットに、慌てて首を振った。
「いやいや!大いに助かった!ありがとう、ルオネット。元々この者達は裁きたいと思っていたのだ。相談も多くてね。しかし、コソコソとやるものだから、証拠が集まらなくて……でも、これで多くの者の恐怖が取り除かれるかもしれない。本当に、ありがとう」
そう言って感謝を述べるエリオリックに迫る影が二つ。
大臣たちの影だった。
恐らく、盗聴器を奪おうとしたのだろう。
突然のことに、ルオネットは反応しきれなかった。
しかし、既に動く者がいた。
彼の息子達だった。
3人は素早く回り込み、相手の足を払って転ばせると、ランとレンが大臣たちをそれぞれ押さえ込み、ロンが部屋にあったロープで、大臣たちの腕をきつく縛った。
こうして、一連の騒動は幕を閉じた。
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