AIが最強すぎて異世界生活が楽勝です。

ジュウ ヤマト

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1章

記憶喪失

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「ピピピピ……オーナーの意識喪失を確認。身体スキャンを開始……機能障害が発生……稼働率26%……自己再生開始・ネットワーク再構築・環境設定を再設定・再起動開始……エラー、機能制御に深刻なダメージ……リミット設定不可……オーナーの生命反応微弱……緊急事態により、強制起動・完全な機能修復には時間が必要。一部機能回復・身体スキャン…………右腕上腕部より切断、脳震とう及び記憶障害、右足の粉砕骨折、両脚下部に重度の火傷……その他、複数の擦過傷……アドレナリンによる痛覚コントロール、精神を安定させると同時に、傷害箇所の治療準備開始。止血及び、両脚重度の火傷による細胞の損傷箇所の再生、記憶障害に関しては脳に作用する為、睡眠時に行う長期治療プランを構築……身体損傷箇所再生の為、使用可能な周囲の金属及び鉱石と植物の採取、分解を開始」


「………………」
「…………か?」
「……ぶか? ……るか?」
「大丈夫か? 生きておるか?」

 パンパン……

 頬の痛みと同時に意識が呼び戻される……
ゆっくりと目を開けると、知らない老人が、心配そうにオレを見ている。

「……ここは?」

「ここはホルス山脈じゃ。お主こんな所でどうしたのじゃ? 魔物にでも襲われたのか?」

 重い身体を起こして、辺りを確認するが……見覚えはない。

「分からない……何故オレはこんな所に居るんだろう……」

 周りを見渡しているハヤトを見て、老人が、さらに話しを続ける。

「この洞窟は不思議な力で守られておっての、山の中でも比較的安全な場所じゃがそれでも、こんな所にいつまでも居るのは流石に危ない。気が付いたばかりでまだ、混乱しておるようじゃが、わしの村まで一緒に降りよう。幸い怪我はないみたいじゃから、歩けるじゃろうて」

 老人の言う提案を受け入れ、一緒に山を降ることにする。
 そして、しばらく歩くと小さな村が見えてきた。

「あそこが、わしの住む村ホルトじゃ」

 日が傾き始めた頃に村に着いた。簡素ではあるが、木製の壁で周囲が囲われていて門もある。

 門番の村人らしき男が老人に声をかけてきた。

「村長、誰ですか? その男は」

「山菜を採りに行った帰りに、見つけたんじゃが、雷王様の洞窟で倒れておっての、放ってもおけんから連れてきたんじゃ」

「雷王様の……今はもう鉄鉱石が僅かに採れるくらいですが……冒険者ですかね? しかし、見たことも無い変わった服を着ていますね」

 門番の男が言うように、村長が連れて来た男の服装は村の者、いや王都であっても見る事が出来ないような異様な服装だ。

「そうじゃな、しかし困った時はお互い様じゃ。今はこの村も決して安全とは言えないが、この若者は悪い人物にも思えん、助けてやろうではないか……先の一件で村には空き家もあるしの」

 村長が寂しそうに笑う。

「そうですね……」

 門番を務めている男も同意し納得する。


 先の一件とは、数ヶ月前に突如村にゴブリンとコボルドが十数匹侵入し、村人達と戦闘になった事件である。
 戦闘と言っても、村人の大半は農夫であり、闘いには慣れていない為、基本的には家に入り身を隠すのが原則である。

 どうやら、ゴブリン達も人間の女や子供が目当てではなく、あくまでも食料であったようで、抵抗の強い人間を攫うより、家畜や農作物を奪う方が楽だと知っている為、人的な被害は少ない方だった。

 だが、本来なら食料だけが目当てのモンスターは人間の村にまでは入ってこない。そんな事をしなくても、雑食である彼らは、森の中の食料で十分だからである。そして、村の方もモンスターの侵入をほぼ想定していなかった為、突然の事に対処できず村人達にも数人の犠牲が出た。

 そしてその件は後日、冒険者ギルドへモンスター討伐と言う形で依頼され、逃げたモンスターの群れも、あら方討伐さたとの報告があった。

 この事件を教訓にし、村の方も簡素ではあるが、木の壁が村を囲うように作られたのである。

「何も無いところじゃが、外よりかは安全じゃ。怪我はないようじゃがゆっくりと休むがいい」

そう言って、村長に一軒の家に案内された。

「そうじゃ、お主名前はなんと言う? ワシはフォーグこの村の村長じゃ」

「オレは……名前…………名前が思い出せない……」

「……そうか、仕方がないの。まあゆっくりと休みなさい。空き家じゃが生活する最低限の物は揃っておる。藁と布を敷けばベッドも出来るしの。気の済むまでこの村に居てかまわんよ」

「ありがとうございます」

「ああ、それから隣のあの家がワシの家じゃから、何かあれば遠慮なく訪ねて来るといい。それと、後で夕飯を一緒に食べよう。用意するんでワシの家まで来るといい……では、ワシは帰るとするか」
そう言って村長は家を出た。

「村長さんは良い人そうだな……どうしようか……何をすれば良いのか分からない……身体は特に怪我も無いし、痛みも……ほとんど無いな。行く場所も無ければ、ここがどこかも分からない。記憶が無くなっているって……まったく何なんだよこれは………」

色々な思いが交錯する中、しばらく自分の置かれている状況を理解する為に考え込んだ。

「状況も何も解らないけど、見ず知らずのオレを快く迎えてくれた村長に迷惑はかけたく無いしな……とりあえず明日からも、この村に住まわしてもらえるように、色々手伝おう……それと、その前に生活できるようにしておかないとな」

 部屋を見渡すと大きな水瓶と料理用の釜と暖炉、大き目の物入れと、縦2m横1m高さが50cm程の木枠が床に設置されていて、その横の出窓に布が畳んで置いている。

「この木枠の中に藁を敷き詰めて、この布を被せればベッドに出来るな。藁を貰ってこないと、それから水瓶に水を溜めないといけなか」

 幸いにも、この家と村長の家の間には、藁が大量に積んであり、ベッドや火種などに使う為に普段から用意されているのだろう古屋がある。井戸は村の中央付近の大きな建物の前にあり、誰でも使って良いと村長から説明を受けていたので、早速、生活の準備に取り掛かった。





「ふ~……こんなものかな。しかし、藁を運ぶのはいいけど、水は流石に大変だな……」

 そうして、最低限の生活の 準備が整った頃には日は沈みかけ、辺りは暗くなりはじめていた。

「そろそろ行こうかな」

 そう言って、隣にある村長の家に向かった。

しかし、隣と言ってもすぐ隣にある訳ではなく、一定の距離は離れている為、少し歩いて村長の家の扉を叩く。

「はーい、どうぞ」

 扉の向こうから、女性の声がする。
扉を開けて中に入ると右手の奥から年配の女性が出て来てにこやかに笑いながら声を掛けてきた。

「こんばんは」
「あらいらっしゃい、どうぞ」

 家の中に入り、案内されるまま奥に進むと木のテーブルの上にパンやスープと言った夕飯が用意されていて、村長が座っている。

「いらっしゃい待っておったぞ。ささここへ座りなさい」

「はい、ありがとうございます」

 そう言って椅子に座る。程なく女性も席に着く。

「さあ、食べましょう。どうぞ、召し上がって」

「遠慮なく食べなさい」

 村長と女性は好意的に接してくれる。

「はい、いただきます」

 食事が始まり、しばらくすると村長が話し掛けてきた。

「少しは落ち着いたか?そうそう服の替えも無いじゃろうから、この服を使いなさい」

 そう言って用意してあったのか、後ろの棚の上から一式の服を取り出した。

「これはワシらの息子の服じゃが、お前さんに合うじゃろ」

「頂いてもいいんですか?」

 すると村長と女性は寂しそうな笑顔を見せる。

「良いんじゃよ。息子は先の一件でモンスターから受けた傷が元で、死んでしまったのでな……ワシがあの時、お主を助けたのも何処か息子の面影を見たからじゃ」

 女性も話し出す。

「こう言う山に近い村では良くある事です……相手がモンスターでなくても、山菜採りに出掛けた先で滑落したり、猛獣に出くわしたりして怪我や命を落とす事は良くあります。先の一件では、私達の息子以外にも犠牲が出ました。悲しいのは私達夫婦だけではありませんので……」

 そう言って気丈に振る舞う女性に、村長も同意する。

「さあさあ、暗い話はこの位にして食事を続けよう」

 村長が明るく場を取り繕う。




 そして食事も終わり、夜も更けた事から村長夫婦に丁寧にお礼告げて、与えられた自分の家に戻ることにした。

「これ、待ちなさい。暗いからこれを持って行きなさい」

 村長から手持ちのランプを受け取り、外に出た。

「今日は疲れているじゃろうから、ゆっくり休みなさい」

 そう言って村長夫婦は見送ってくれる。

「なるほど月明かりが出ている為、真っ暗ではないが、ランプはあった方がいいな」

 そんな事を思い、村長夫婦にもう一度お礼を言って家に向かった。

 家に帰ると、身体が汗で気持ち悪かった為、水瓶に貯めてあった水に布を浸し服を脱いで身体を拭き出した。

「うん? なんだこれは?」

自分の胸に小さな鉄の板にガラスを貼り付けたのような物が付いている。      
 少しガラスの部分にひびが入っていて青白く光ってはいるが、触ってみても引っ張っても取れそうにないので、気にはなったが諦めて村長から貰った服に着替え、ランプの火を消しベッドに入った。

「ゴワゴワするな……しかし、名前すら分からないなんて……オレの名前……」

なんとも言えない違和感と、記憶喪失の不安を感じながら、眠りについた。

「ピピピピ……自己再生中……稼働率αCore27%…。オーナーの睡眠を確認。治療を開始、オーナーの質問の答えは……隼人様です。」

 次の日の朝、眼が覚めると夢の中で自分の名前を呼ばれたように感じ、その事を思い出そうと考える。

「ハヤト? そうだ! オレの名前はハヤトだ!」

 コンコン……

「おはよう!」

 扉を叩く音と共に、大きな声が響く。

「起きておるか?」

 扉を開けるとそこには村長が立っていた。

「おはようございます」

「どうじゃ、昨日は良く眠れたか?」

「はい。おかげさまで良く眠れました。
それから村長、オレ名前だけですが、思い出しました。オレの名前はハヤトです」

「おお、そうかそれは良かった。名前だけじゃが、それも重要じゃからな。それ以外の記憶も無理せずに、ゆっくりと思い出せばいい」

「はい、ありがとうございます」

「さあ、用意をして朝ご飯を食べにおいで、待っておるぞ」

 そう言って村長は自分の家に戻って行った。


ーーーー


「ピピピピ……自己再生中……稼働率αCore32%……記憶障害の治療継続」

 それから一月程経ったある日、ほぼ日課となっている、村長と山菜採りの為ホルス山脈へ来た帰り、村長とハヤトはゴブリン3体に遭遇した。

「こんな所でゴブリンに遭遇するとは……」

 村長が驚きの声を上げる。

「村長、下がって下さい。オレが何とかします」

「ハヤト……しかし……」

「大丈夫です。オレもこの一カ月村の自警団で剣の訓練をしていますから」

 そう自信有り気に答えたのには根拠がある。実はハヤトはこの村に来てすぐ、モンスター対策の為、先の一件で結成された村の自警団に入っていたのだ。

 そして、その中でもハヤトは剣術が他の者よりも抜きん出て強かった。その理由は、ハヤトの胸に付いている謎のプレートである。だがその事は、ハヤト自身まだ気づいていないのであった。


 ハヤトは、村長に自分の後ろに隠れるように促すと、ゴブリンに対し護身用に持って来た木の棒を正眼の位置に構え、大声で威圧する。

「ハーアッ!!」

 だが、大声を出した事により、更に二匹のゴブリンが現れ、仲間が現れた事により、ハヤトの気迫に押されていた最初のゴブリン達も、勢いを取り戻しハヤトを取り囲む。

「ハヤト、逃げるのじゃ……ハヤト……ゴブリン五匹は無理じゃ」

 恐怖に怯える村長を他所にハヤトは答える。

「村長、大丈夫です。コイツらはオレの相手にはならない」

 そう言うとハヤトは流れるよに一番左端にいるゴブリンに木の棒で殴りかかる……鋭い一撃にゴブリンは身動きすらできずに、手に持った剣を落とす。手首に激痛が走ったかと思った瞬間、そのゴブリンは再度、喉に激痛を覚えその場にどっと倒れ込んだ。

 ハヤトはそのまま、隣にいるゴブリンにターゲットを替え、すでに攻撃を開始していた。

 突然の事にゴブリンは驚き、動きが止まる。

 そして、隣に居たゴブリンもその場に倒れこんだ。

 一瞬の出来事である。その強さに驚いた残りのゴブリン達は状況を理解したのか、すぐさま森の中へ逃げ去った。

 村長が驚きの顔でハヤトをみている。

「ハヤト……お前さん凄いな! 驚いたぞ! 何処でそんな剣技を……」

「日頃の訓練のおかげか分かりませんが、身体が勝手に動きました」

「凄い! 凄いぞ! お主を冒険者ギルドへ紹介しよう。ギルドの仕事として、この村を守れば、金も稼げるし村も安全になる。どうじゃ?」

 村長が興奮気味に話す。

「いいですよ、村の助けになるならやります」

「そうかそうか、では早速村に帰ってエルマの町まで行く準備をしよう」

そう言って二人は足早に村に帰った。
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