魅了の対価

しがついつか

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リンリーはお金が欲しい

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リンリーは服屋を営む両親のもと、三姉弟の長子として生まれた。
服屋はそれなりに繁盛しており一家5人が生活するのに十分な収入があったのだが、彼女が13歳になる頃、町に安くて質の良い服屋が出来たことで客を取られてしまった。
両親は奮闘したのだが、結局2年後に廃業に追い込まれてしまった。

店をたたむと両親はすぐさま次の仕事を見つけて働き出した。だが、給料の大半を借金の返済に回さないといけないため、一家5人は食べていくことさえ厳しい状態になった。

弟妹が2人とも8歳を超えて留守番が出来るようになったため、15歳のリンリーは家計を助けるために働きに出ることにした。
町役場の掲示板で比較的給金の良い男爵家の使用人の求人を見つけると、親に相談すること無くすぐさま応募した。

両親が共働きであるため8歳から家事を引き受けていたリンリーは、掃除洗濯に料理を問題なくこなせるため、使用人としてのスキルに何ら問題は無かった。


リンリーは一生懸命に働いた。
彼女の給料のおかげで、余裕はあまりないものの、飢えることなく生活できるようになった。
3年も経つ頃には、借金は残り半分となった。



彼女の事情を知る男爵は、もっと高い給金を出せる伯爵家で使用人を募集している話を聞きつけ、紹介状を書いてくれた。
男爵家には自宅から通っていたが、伯爵家は少し遠いため住み込みでの仕事となる。それでもリンリーは迷わず転職を希望した。




「真面目に働く君なら伯爵家でもやっていけるだろう。伯爵家で結果を残せば、いずれもっと爵位の高い家で働くことができる上級使用人にもなれるからね。頑張りなさい」
「はい。ありがとうございます、旦那様」

「もし伯爵家で嫌な思いをしたら、いつでも帰ってきて良いのよ」
「ありがとうございます、奥様。お二人のお顔に泥を塗らぬよう、精進して参りますわ」




穏やかな男爵夫妻に見送られ、リンリーは伯爵家へと向かった。
家族との別れの挨拶は今朝方済ませている。


男爵家は良い職場だった。
だが給料の面では少々不安が残る。

リンリーとしては、弟妹達が15歳になって働きに出る前に借金を完済したい。
そうでなければ弟妹達は、仕事の向き不向きを考慮せずに『給料が良いだけの仕事』を選んでしまいそうだから。
できれば好きな仕事に就いて欲しいものだ。


具体的な金額は聞いていないが、伯爵家での給料は男爵家より多いとのことだ。
借金返済に回せる額が増えるし、食費に充てる額も増える。
特に育ち盛りで常に空腹を抱えて我慢している弟に、腹一杯食べさせてやりたかった。


貴族は爵位が高いほど人間性が酷いと聞いたことがある。
これから行く伯爵家の人間がどれほどだとしても、リンリーは給料を貰うために我慢するつもりだ。

――いや、必ず耐えてみせる。
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