風花雪月

木苺

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真実

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俺は屋上へと走る。
そこには、月を背景に、こちらを見る怪盗の「風花雪月」がいた。
「案の定だな、「風花雪月」」
そいつはいつものようにへらへらと笑った。
「あれ?見つかっちゃった。ねぇねぇどうして見つけられたの?」
しらばっくれてるな…。
「そんなのわかってるんだろ?謎解きの、始まりだ。」
指をパチンと鳴らす。風花雪月な少女は、どんな反応を見せてくれるのだろうか。
「まずお前は「風花雪月」と言った。これの意味は自然の中の美しい景色だ。だけどもう一つ意味がある…。それは美しい言葉を並べただけで中身がないという蔑みの意味だ。」
「風花雪月」はへらへらと笑っている。
「つまりお前には心がない。人形だ。」
「花鳥風月」の笑みが消えた。
「…」
笑顔が消えたな。
俺は謎解きを続ける。
「で、お前は嘘が好きといったな。そう。それこそ嘘だ。本当は嘘など好きではない。そして…最初の嘘は、その姿は変装ということだろ?どうだ。」
「あってる。」
やっぱりか…
「その姿は本当の姿だ。心がないから、演じなければならなかった。だから、その姿を偽りといい、演技した。」
「ウン」
「風花雪月」は頷いた。
AIみたいだな。
「ヨクワカリマシタネ」
俺は続きを言う。
「そしてお前には四つの能力がある。お前はこの世界が嫌いなんだろ?だから死のうとした。で、能力は、お前が危ないことになったら、自動で発動するんだろ?だから月の能力で消そうとした。三つ消すなら満月じゃないといけない。そして――満月の日に死のうとした。」
「風花雪月」は無表情で俺をじっとみつめる。
「ソウデス…デモナンデオクジョウト?」
「いそうな場所を片っ端から探した。だけど、なんで屋上にしたんだ?」
「風花雪月」はニコッと笑い、片言な言葉を元に戻して言う。
「感情が、芽生えたんだ。君のおかげで。君のなぞ解きを見ていくとき、芽生えた確かな感情だよ。だから」
トッ
「風花雪月」は泣きながら落ちてゆく。笑ったまま。
「せめて君と会っていた、この屋上で、死のうと思ってね。」
学校の、屋上から。
「させるか!四番マット!!」
「はい!この時のために花華ちゃんが開発した超柔らかいマットですよ~!」
下で青江兄さんたちが飛び出してきて、「風花雪月」の落ちる下の地面にマットを引く。
ボフッ
「風花雪月」はそのマットに落ちていった。ついでに俺も飛び降りる。
ボフッ
「やわらか…」
「なんで…」
「風花雪月」が兄さんたちを呆然と見つめる。
「青江兄さん、鈴さんなんでここに!?」
俺は立ち上がり青江兄さんに詰め寄る。
「こいつ、五番が作ったアンドロイドでさぁ…」
青江兄さんは「風花雪月」を指さす。
「毎回花華ちゃんは…」
兄さんと鈴さんはそろってため息をつく。
「ん…まあ逮捕だ、「風花雪月」」
「風花雪月」は焦りだす。
「えッちょ、ちょっと待って、はい、その紙後で読んでね!」
俺に何かの紙を渡し、「風花雪月」は呼んでいた警察に連れ去られていった。
紙見てみるか…

人=風花雪月
青江君=花鳥風月
人のよさにきづいたんだな…。

警察に連行されている「風花雪月」は呟く。
「きれいな言葉や服で着飾って、人をだましたり導いたり。本当は、そんな人間を、風花雪月っていうのかな…」
警察は振り向く。
「何か言ったか?」
「いや、なーんにも♪」




風花雪月… 自然の中の美しい風景。または、きれいな言葉を並べただけで中身がないということ。
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