かぐや姫3030

かぐや姫3030 その1 スマホ発見

昔々・・・


ある村の外れににお爺さんとお婆さんがひっそりと住んでいました・・・


お爺さんの仕事は山から切ってきた竹でかごを編む竹細工です。
お婆さんの仕事はそれをヘルプしたりして出来上がった竹細工を、二人で町に売りに行きそれで生活していました。
二人には子供がいませんでした。
町に行って可愛い子供達を見ると、自分たちに子供がいないのが残念で仕方ありません。

ある晩、お爺さんはこんな夢を見ました。
山に竹を切りに行くと、竹の根元が輝いて光っています。
『もしかしてこれはおとぎ話にあるかぐや姫が中にいるんじゃないか？』と思いました。
    
そう思って竹を切ろうとしたら残念ながら夢が覚めてしまいました。

朝起きるとお爺さんはお婆さんにこう言いました。
｢今日は一緒に竹山に出かけないか？｣
｢えっ、どうして？｣
｢じつわな、昨夜夢を見たんじゃ、竹の根元が光っている夢じゃ、その竹を切ろうとしたら夢から覚めてしまったんじゃが、きっとその竹を探して見たらかぐや姫が見つかるかもしれん｣
｢それはおとぎ話のかぐや姫ですね、いいですよたまには二人一緒に出かけましょう｣
そんなおとぎ話みたいな事があるわけ無いとお婆さんはわかっていたが、たまにはそんな事もいいかなとお婆さんは思ったわけです。
こうして二人は、昼食の海苔巻きお握りと竹の水筒を持って山に出かけました。

山の竹林に入るとすぐに根元が光る竹を見つけました。
お爺さんは中にかぐや姫が入っている事を仮定して丁寧に上から切っていきました。
すると、竹の一番下の光っているふしの中に不思議な物を見つけました。
手のひらに収まるサイズの長方形の薄い物です。
その片面が光っていましたが、それを手に取ると光らなくなりました。
｢一体これは何じゃろう？｣
｢解らないけど不思議な物ですね、とにかく持って帰りましょう｣
こうして、二人はそれを家に持ち帰りました。
そしてお日さまのよく当たる縁側に置いて置きました。
そうすれば光るパワーを呼び込めるかと思ったからです。

そしてしばらくそれを見ていると、それは急に女の声で喋り始めました。
｢お爺さんお婆さん私を見つけてくれてありがとうございます。私はスマホのアメイジングと言います｣
二人は腰を抜かすばかりに驚きました。
｢驚かないで下さい。昔は私のような物はいっぱいありました。それが人類の文化を支えていたのです。ところがいつのまにかスマホのワイファイ電波を支配するコンピューターが人間に反逆を初め、世界的な核戦争が始まり、人類のほとんどは滅んでしまいました｣
二人はこの話しはおとぎ話として知っていました。が現実の話しとは思っていませんでした。


｢私を作ってくれたのはディオ博士と言う天才科学者です。ディオ博士は特殊な研究をしていました。その研究とはテレポーテーションとか異次元とか死後の世界とか言ういわゆるフリンジ(非主流)科学でした。核戦争を予測していた博士は、核戦争が始まる前に私をあそこの山にテレポーテーションさせて救ってくれたのです｣
｢ふうん偉い人だったんだな｣と感心して二人は聞いていました。
｢そんな偉い人ならいちど会ってみたいが無理な話しだな、なんせ昔の人だ｣
｢会いたいですか？私も会いたいと思っていたところです、それではディオ博士を紹介します｣
スマホのアメイジングがそう言うとスマホの上に透明な人物画像が現れました。