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09
「気が付いたか?」
小さく問われて、翡翠は頷いた。頷いただけなのに、ずきりと頭が痛む。身体を起こそうとしても、ひどく身体が重くて起き上がれそうにない。ここまで辛いのは初めてかもしれなかった。
「まだ、身体を起こすのは早い。ちゃんと横になっていろ」
己の身体の状態よりもいち早く、片方の手に巻いていた布を確認する。それには、誰も触れていないようだ。
「そうなるから寝ていろと言ったんだ。本当は身体が弱いのを、いい加減自覚持て。ここに来たばかりの時はしょっちゅう風邪引いてたくせに」
翡翠が目覚めるや否や、紅玉の説教が待っていた。上掛けから這い出そうとするのを簡単に阻止されて、口調とは裏腹な優しい手つきで、上掛けを直されてしまう。
確かに紅玉と出会った後も何度か風邪をひいて寝込んだことがあったが、それは本当に子どもの頃の話だ。
「翡翠!」
小さく扉を叩く音に紅玉が返答するや否や、翡翠の主が部屋の中に飛び込んできた。翡翠が寝ている寝台に近寄ると、要が膝をつく。これから神殿に向かうのか、白と水色を基調にした服に身を包んでいる。こうしていると、彼が白の神子なのだと実感する。この姿を見れば、誰もが要こそ本物だと分かるだろう。しかし、自分が数日間寝込んでいたことにも気づいてしまった。
「……申し訳、ありません……準備、手伝えなくて……」
「小さな子どもじゃないんだから、大丈夫。翡翠は無理しないで、ちゃんと寝ていてね。帰ってきたら――」
要、と紅玉が低い声音で要の名前を呼んだ。
「あいつが待っている……急いだ方が良いぞ」
厳しい声音に驚いた要が顔を持ち上げて、それから悄然と一つ頷いてから、名残惜しそうな動作でゆっくりと立ち上がる。優しい、翡翠の主人。目を開けているのもまだ辛いが、その顔を焼き付けるように、翡翠は要を見送る。
「紅玉も、行くんだろう?」
「……俺はいいんだよ。要のお守りは、あの男だけで十分だろう」
要をさっさと部屋から追いやってしまった紅玉は、さも自分は無関係だと言わんばかりに、翡翠の傍へと座り込んだ。少し機嫌が悪そうだ。
「陛下がいれば大丈夫かもしれない、けど。……陛下と、要を守るのが、紅玉の仕事、だろう? 俺は行けないから……俺の代わりに、要を……お願い。要が困っていたら、助けて欲しいんだ」
紅玉は目を細めて翡翠を見てきた。それから、深く息を吐き出すと苦笑いする。ようやく、機嫌がなおったのかもしれない。
「ったく、カナメカナメって。翡翠のお願いだから、仕方がないから行ってやるが、無理しないで寝ていろよ。石英には話をつけてある。俺たちが戻ってくるまで、ゆっくりしているように。お前、要が来てから自分から休んだことなんてないだろう?」
「……早く行きなよ」
更に説教が始まりそうな予感がして、翡翠は慌てて上掛けを頭まで引き上げる。足音が遠ざかったかと思うと、途端に戻ってきて、翡翠が被っていた上掛けが引き剥がされた。
「………ひゃ!?」
それから噛み付くように乱暴な口づけをされて――翡翠が呆気に取られているのを見下ろしてから、紅玉は部屋から出て行った。
「……な、なに……?」
今のは、どういう意味だったのか。そう問いかけたかったのに、起き上がろうとするのと同時に襲った酷い頭痛に、翡翠は小さく呻いて、また横になった。
***
要たちが神殿へと出立してから数日後。翡翠の体調は回復したが、相変わらず翡翠のことを罰する気配はなかった。要の勉強に使えそうだと揃えていた資料を一通り確認し終えてから、手に広がる黒いままの痣を見やる。それが身体のどこかに移っていないか、毎日確認する作業に翡翠は疲弊していった。
そうして、ある朝。翡翠はとうとう決心した。もうじき、要たちが帰ってくる。いつにも増して綺麗に要の部屋を掃除し、整えると、要と王、それから上長である石英に宛てて手紙を書いた。紅玉にも書こうかと思ったが、要の代わりができなくなる翡翠に、興味を失うだろうと思うと、その確認をするのが、とても怖かった。要の部屋同様に綺麗に整えた自分の部屋。机の上に手紙を揃えて置いて、終わり。翡翠自身の私物はとても少ない。小さな布袋に着替えと路銀を詰め込み、城を出ることにした。
「翡翠。もう起き上がれるようになったのか?」
「侍従長。色々と、ご迷惑をおかけしました」
偶然通りかかった石英に頭を下げると、翡翠の上長は安堵の表情を見せる。それも裏切る自分に罪悪感を覚えていると、翡翠の手荷物のあたりをちらっと見やった石英は「そうだ」と声をかけてきた。
「外へ行くのなら、お遣いを頼みたい。城下にある装飾屋に、新しい神子殿の首飾りを作らせていてな。ちょうど出来上がったからと連絡が入った。ゆっくりと街を見て遊んだら、受け取って帰ってきてくれると嬉しい。頼んだよ」
翡翠がどう言葉を返せばいいのか困惑したまま立っていると、侍従長の石英は店の名前と、簡単な地図を記した紙を翡翠に有無も言わせずに持たせた。
「同じところにばかりいると、知らず思い詰めてしまうこともある。小さい頃から翡翠は本当に真面目に頑張ってきた。たまには息抜きもしなさい」
「侍従長……?」
もしかしたら、石英には、翡翠が城から出ようとしているのが分かっているのかもしれない。しかし、翡翠が持っている荷物のことを、石英は追及して来なかった。穏やかに笑う石英に見送られて、翡翠は外庭から城下へと続く大きな門を潜った。
***
「ここが、王都……」
翡翠の知る世界は故郷の小さな村と、内庭と呼ばれる王宮でも最奥の部分だけだ。時々外庭まで逃げ出したことはあったし、要が来てからも何度か彼を探しに外庭にまで足を延ばしたことはあったけれど、それから先というのはなかった。
他の小間使いたちには許されているのに、翡翠だけはずっと、外に出ることは許されなかった。とにかく、一人で行動することは禁じられていた。紅玉や石英が付いていればもう少し自由はあったが、こうやって一人だけで、というのがあまりにも久しぶりで、足が竦む。
城下の道は幅が広く綺麗に整えられており、想像もしていなかった数の人々が行き交っている。道の両端には、土産物やら野菜や生活のための雑貨やらを並べた店がどこまでも軒を連ねていて、子ども達がはしゃいでいた。
「……すごいな」
城では滅多に姿を見かけることの出来ない獣人たちも、普通に歩いている。両側にある店のあちらこちらから威勢の良い掛け声がして、人々のさざめきが次々と耳に入ってきて、とても賑やかだ。
「失礼」
後ろから軽く押されて、翡翠が振り返ると、体躯の良い猫の獣人が片手を上げて颯爽と立ち去っていく。それを見送ってから道の脇に寄ると、布でぐるぐる巻きにした片方の手へと視線を向けた。
(あそこから逃げて――俺は、どこへ逃げたかったのだろう)
城から出てしまえば、翡翠の苦しみは終わるのだと思っていた。しかし、身体は一歩ずつ城から離れていっても、心が動いてくれない。要や紅玉がいるあの場所から、『離れたくない』と必死にしがみついて動かない。
ようやく、翡翠は自身の居場所がそこだったのだと自覚した。要は翡翠が彼の居場所を作ってくれたと言っていたけれど、要や紅玉こそ、翡翠の居場所を作ってくれていたのだ。
「……痣のこと、紅玉や要に話してみよう……」
軽蔑されてしまうだろう、という恐怖はある。しかし、こうやって冷静になって考えると、彼らは翡翠が何の相談もしなかったことの方に怒りそうな気もしてきた。色々と最後まであがいて、だめなことが分かってから城を出ても良いのでは、という気持ちも出てきた。城から逃げ出すことは、案外簡単だ。
だが、このまま手紙だけで消えようとしている自分が不誠実に思えてきて、どこまでも自分のことしか考えていない己が恥ずかしくなる。せめて、石英のお遣いくらいはしてから帰ろう、と踵を返した時、翡翠は自分の前に影が差したことを不思議に思った。
「なるほど。確かに、綺麗な顔をしている――先ほどはちらっとしか見なかったが」
声が降ってきた。翡翠の前に、大きな男が立っている。それは、先ほどぶつかった猫の獣人だった。特徴的な大きな目で、翡翠を見下ろしている。
「良いでしょう。何たって、白の神子のなり損ないだからね。顔だけは綺麗さ」
「あいつら……?」
猫の頭をした獣人の背後には、自邸で謹慎中のはずの、元小間使いの男たちの姿が見えた。
「うん、大事に世話をされてきたようだな。髪の艶の良いこと。なんといっても、白銀の髪と翡翠色の瞳とは――良い買い物だ」
手が伸びてきて、獣人の手が翡翠の顔に触れてきた。値踏みするような、獣人の丸く大きな瞳にぞっとしながら、獣人の手を振り払うと、翡翠は後退った。
「狩りだ! 狩りが始まるぞ!」
獣人の後ろから、男たちが揶揄する声が聞こえてくる。その声を振り切るように、翡翠は駆けだした。
小さく問われて、翡翠は頷いた。頷いただけなのに、ずきりと頭が痛む。身体を起こそうとしても、ひどく身体が重くて起き上がれそうにない。ここまで辛いのは初めてかもしれなかった。
「まだ、身体を起こすのは早い。ちゃんと横になっていろ」
己の身体の状態よりもいち早く、片方の手に巻いていた布を確認する。それには、誰も触れていないようだ。
「そうなるから寝ていろと言ったんだ。本当は身体が弱いのを、いい加減自覚持て。ここに来たばかりの時はしょっちゅう風邪引いてたくせに」
翡翠が目覚めるや否や、紅玉の説教が待っていた。上掛けから這い出そうとするのを簡単に阻止されて、口調とは裏腹な優しい手つきで、上掛けを直されてしまう。
確かに紅玉と出会った後も何度か風邪をひいて寝込んだことがあったが、それは本当に子どもの頃の話だ。
「翡翠!」
小さく扉を叩く音に紅玉が返答するや否や、翡翠の主が部屋の中に飛び込んできた。翡翠が寝ている寝台に近寄ると、要が膝をつく。これから神殿に向かうのか、白と水色を基調にした服に身を包んでいる。こうしていると、彼が白の神子なのだと実感する。この姿を見れば、誰もが要こそ本物だと分かるだろう。しかし、自分が数日間寝込んでいたことにも気づいてしまった。
「……申し訳、ありません……準備、手伝えなくて……」
「小さな子どもじゃないんだから、大丈夫。翡翠は無理しないで、ちゃんと寝ていてね。帰ってきたら――」
要、と紅玉が低い声音で要の名前を呼んだ。
「あいつが待っている……急いだ方が良いぞ」
厳しい声音に驚いた要が顔を持ち上げて、それから悄然と一つ頷いてから、名残惜しそうな動作でゆっくりと立ち上がる。優しい、翡翠の主人。目を開けているのもまだ辛いが、その顔を焼き付けるように、翡翠は要を見送る。
「紅玉も、行くんだろう?」
「……俺はいいんだよ。要のお守りは、あの男だけで十分だろう」
要をさっさと部屋から追いやってしまった紅玉は、さも自分は無関係だと言わんばかりに、翡翠の傍へと座り込んだ。少し機嫌が悪そうだ。
「陛下がいれば大丈夫かもしれない、けど。……陛下と、要を守るのが、紅玉の仕事、だろう? 俺は行けないから……俺の代わりに、要を……お願い。要が困っていたら、助けて欲しいんだ」
紅玉は目を細めて翡翠を見てきた。それから、深く息を吐き出すと苦笑いする。ようやく、機嫌がなおったのかもしれない。
「ったく、カナメカナメって。翡翠のお願いだから、仕方がないから行ってやるが、無理しないで寝ていろよ。石英には話をつけてある。俺たちが戻ってくるまで、ゆっくりしているように。お前、要が来てから自分から休んだことなんてないだろう?」
「……早く行きなよ」
更に説教が始まりそうな予感がして、翡翠は慌てて上掛けを頭まで引き上げる。足音が遠ざかったかと思うと、途端に戻ってきて、翡翠が被っていた上掛けが引き剥がされた。
「………ひゃ!?」
それから噛み付くように乱暴な口づけをされて――翡翠が呆気に取られているのを見下ろしてから、紅玉は部屋から出て行った。
「……な、なに……?」
今のは、どういう意味だったのか。そう問いかけたかったのに、起き上がろうとするのと同時に襲った酷い頭痛に、翡翠は小さく呻いて、また横になった。
***
要たちが神殿へと出立してから数日後。翡翠の体調は回復したが、相変わらず翡翠のことを罰する気配はなかった。要の勉強に使えそうだと揃えていた資料を一通り確認し終えてから、手に広がる黒いままの痣を見やる。それが身体のどこかに移っていないか、毎日確認する作業に翡翠は疲弊していった。
そうして、ある朝。翡翠はとうとう決心した。もうじき、要たちが帰ってくる。いつにも増して綺麗に要の部屋を掃除し、整えると、要と王、それから上長である石英に宛てて手紙を書いた。紅玉にも書こうかと思ったが、要の代わりができなくなる翡翠に、興味を失うだろうと思うと、その確認をするのが、とても怖かった。要の部屋同様に綺麗に整えた自分の部屋。机の上に手紙を揃えて置いて、終わり。翡翠自身の私物はとても少ない。小さな布袋に着替えと路銀を詰め込み、城を出ることにした。
「翡翠。もう起き上がれるようになったのか?」
「侍従長。色々と、ご迷惑をおかけしました」
偶然通りかかった石英に頭を下げると、翡翠の上長は安堵の表情を見せる。それも裏切る自分に罪悪感を覚えていると、翡翠の手荷物のあたりをちらっと見やった石英は「そうだ」と声をかけてきた。
「外へ行くのなら、お遣いを頼みたい。城下にある装飾屋に、新しい神子殿の首飾りを作らせていてな。ちょうど出来上がったからと連絡が入った。ゆっくりと街を見て遊んだら、受け取って帰ってきてくれると嬉しい。頼んだよ」
翡翠がどう言葉を返せばいいのか困惑したまま立っていると、侍従長の石英は店の名前と、簡単な地図を記した紙を翡翠に有無も言わせずに持たせた。
「同じところにばかりいると、知らず思い詰めてしまうこともある。小さい頃から翡翠は本当に真面目に頑張ってきた。たまには息抜きもしなさい」
「侍従長……?」
もしかしたら、石英には、翡翠が城から出ようとしているのが分かっているのかもしれない。しかし、翡翠が持っている荷物のことを、石英は追及して来なかった。穏やかに笑う石英に見送られて、翡翠は外庭から城下へと続く大きな門を潜った。
***
「ここが、王都……」
翡翠の知る世界は故郷の小さな村と、内庭と呼ばれる王宮でも最奥の部分だけだ。時々外庭まで逃げ出したことはあったし、要が来てからも何度か彼を探しに外庭にまで足を延ばしたことはあったけれど、それから先というのはなかった。
他の小間使いたちには許されているのに、翡翠だけはずっと、外に出ることは許されなかった。とにかく、一人で行動することは禁じられていた。紅玉や石英が付いていればもう少し自由はあったが、こうやって一人だけで、というのがあまりにも久しぶりで、足が竦む。
城下の道は幅が広く綺麗に整えられており、想像もしていなかった数の人々が行き交っている。道の両端には、土産物やら野菜や生活のための雑貨やらを並べた店がどこまでも軒を連ねていて、子ども達がはしゃいでいた。
「……すごいな」
城では滅多に姿を見かけることの出来ない獣人たちも、普通に歩いている。両側にある店のあちらこちらから威勢の良い掛け声がして、人々のさざめきが次々と耳に入ってきて、とても賑やかだ。
「失礼」
後ろから軽く押されて、翡翠が振り返ると、体躯の良い猫の獣人が片手を上げて颯爽と立ち去っていく。それを見送ってから道の脇に寄ると、布でぐるぐる巻きにした片方の手へと視線を向けた。
(あそこから逃げて――俺は、どこへ逃げたかったのだろう)
城から出てしまえば、翡翠の苦しみは終わるのだと思っていた。しかし、身体は一歩ずつ城から離れていっても、心が動いてくれない。要や紅玉がいるあの場所から、『離れたくない』と必死にしがみついて動かない。
ようやく、翡翠は自身の居場所がそこだったのだと自覚した。要は翡翠が彼の居場所を作ってくれたと言っていたけれど、要や紅玉こそ、翡翠の居場所を作ってくれていたのだ。
「……痣のこと、紅玉や要に話してみよう……」
軽蔑されてしまうだろう、という恐怖はある。しかし、こうやって冷静になって考えると、彼らは翡翠が何の相談もしなかったことの方に怒りそうな気もしてきた。色々と最後まであがいて、だめなことが分かってから城を出ても良いのでは、という気持ちも出てきた。城から逃げ出すことは、案外簡単だ。
だが、このまま手紙だけで消えようとしている自分が不誠実に思えてきて、どこまでも自分のことしか考えていない己が恥ずかしくなる。せめて、石英のお遣いくらいはしてから帰ろう、と踵を返した時、翡翠は自分の前に影が差したことを不思議に思った。
「なるほど。確かに、綺麗な顔をしている――先ほどはちらっとしか見なかったが」
声が降ってきた。翡翠の前に、大きな男が立っている。それは、先ほどぶつかった猫の獣人だった。特徴的な大きな目で、翡翠を見下ろしている。
「良いでしょう。何たって、白の神子のなり損ないだからね。顔だけは綺麗さ」
「あいつら……?」
猫の頭をした獣人の背後には、自邸で謹慎中のはずの、元小間使いの男たちの姿が見えた。
「うん、大事に世話をされてきたようだな。髪の艶の良いこと。なんといっても、白銀の髪と翡翠色の瞳とは――良い買い物だ」
手が伸びてきて、獣人の手が翡翠の顔に触れてきた。値踏みするような、獣人の丸く大きな瞳にぞっとしながら、獣人の手を振り払うと、翡翠は後退った。
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獣人の後ろから、男たちが揶揄する声が聞こえてくる。その声を振り切るように、翡翠は駆けだした。
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