やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた

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第三章 調合編

25、誕生日と兄襲来(後編)

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せっかくの俺の誕生日なのに、俺の余計な一言で二人を困らせてしまった。
それなのに、デオル兄上は俺の頭に手を置くと優しく微笑んだ。

「本当はギル兄上も、シル兄上もお前の事を祝いたいのだよ」
「……そうなのですか?」

ギル兄上とは第一王子であるギルランド兄上のことであり、シル兄上とは第二王子であるシルリオン兄上の事だ。
二人とも余りにも俺と歳が離れているため、仲がよかったという記憶はほぼない。

「そうなんだけど、ただあの二人については言いづらいことに、この部屋というかこの宮に入る事を禁じられているんだよ」
「あれはあの二人が悪いですね。僕でも分かります」

バレン兄上にここまで言われるその二人は、一体何をやらかしたんだ!?
呪いにかかったばかりの頃は、確かここに何度か訪ねて来た事があったはずなのに……。

「でもあの二人がイルの事を大好きなのは変わらないから、そこだけは知っておいてあげてくれ」
「……わかりました」

少し気になったことを飲み込んで、俺は頷く。
どうやら俺は思っていたより 兄上達に大事に思われていたようだ。それだけで凄く嬉しく思ってしまう。
だからこれからは父上と母上の事は、もう期待する事をやめようと決めたのだった。

「さあ、ここからは誕生日のイルを僕が美しく絵に収めるからね!これが僕の誕生日プレゼントさ!!」
「えー、ありがとうございます」
「そんな!顕著にテンションが下がったんだけど!!?」

それはしょうがないことだろう。
だってバレン兄上にはもう何度も絵を描いて貰っているため、嬉しさよりも同じ体勢でずっといる事の方が、苦痛に思えるようになってしまったのだ。
そんな俺にデオル兄上がプレゼントを渡してくれる。

「絵は後にして、先に俺からのプレゼントを贈るよ」
「デオル兄上、ありがとうございます!」
「気に入ってもらえればいいのだけどね」
「……何故だ……!?こんなに態度が違うとお兄ちゃん悲しくなっちゃうよ!とにかく僕は絵を描く準備をしてるから、その間に他の兄上のも渡しちゃってよね!!」

そういうと、バレン兄上は先程までと別人のようにテキパキと準備をはじめた。
その間に俺は残りの兄二人によるプレゼントを受け取ることにした。

デオル兄上からは、魔法に関する本。ギル兄上からは何故か剣が……。そしてシル兄上からはこの国の守護竜が描かれたブローチだった。

そして準備が出来たバレン兄上は、起き上がった俺を支えるためにデオル兄上を俺の後ろに配置した。

「よし、弟を支える兄という美しき兄弟愛!!インスピレーションがバンバンだ!!!」
「え?バレン、俺はここでいいのかい?」
「ええ、絵の中でイルが一人だと寂しいでしょう?だからデオル兄上も一緒に描かせて頂きます」

そういうとバレン兄上は、絵を描くのに集中してしまった。
こうなってしまったら話しかけても全く聞こえないらしい。

正直、バレン兄上ナイス!!と思い、ヤル気が上がった事は内緒である。


「デオル兄上、重くないですか?」
「まだ全然大丈夫だよ。それに前よりは重くなったけど、イルはまだまだ軽すぎるからね」

鍛えているデオル兄上と比べたら、それはそうだろう。でももう少し体重を増やすために、ライムと相談したほうがいいのかもしれない。
そんな事を考えていると、デオル兄上が俺に話しかけてきた。

「それよりもずっと同じ体勢なのも暇だろう、この兄が話をしてあげよう」
「デオル兄上……ありがとうございます!」
「最近面白い噂があってね、なんとこの国に滞在している高ランク冒険者を集めて、パーティーを開こうという案があるんだよ」

え?今なんて?

「イルも驚くよな。なんといっても高ランク冒険者なんて、なかなか会うことは出来ないからね」
「そ、そうですね……」

俺は咄嗟に視線を逸らしてしまった。
高ランク冒険者を集めるだって!?そんなことされたら、俺も対象になってしまう可能性が高いじゃないか!

「それは全ての高ランク冒険者に、召集がかかるということなのですか?」
「うーん、どうだろう?俺は詳しく知らないし噂程度の話だからね……数人しか来れないのではないかな?」
「冒険者も忙しいですもんね、そうですよね」

頼むからそういう事にしてくれ!と、俺は祈った。
そのせいでこの後、デオル兄上との楽しい会話はあまり覚えていなかった。


そして俺の絵を描き終えたバレン兄上は「小説のインスピレーションもバンバンさ!!」と言い残し部屋をダッシュで出ていった。
それを追いかけるように、デオル兄上も帰ってしまったのは残念である。

でも本当に嵐の様な人であり、気持ち悪いところもあるが、あの小説のように好かれているという感じはしない。
だから今度は、あの小説をどういう気持ちで書いているのか、聞いてみてもいいかもしれない。

そしてこの誕生日が終われば、数日後にはルーディアへと魔術道具を渡すことになる。
そしてデオル兄上も言っていた、冒険者を集めるというパーティーについても、考えておかなくてはならない……。もういっそギルドに聞いてみるのもありかもしれない。

そんな事を考えていたら、戻ってきたライムに貰った仮面について確認するのを忘れてしまったのだった。
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