上海滞在日記

saechangman

文字の大きさ
上 下
1 / 1

初めての上海

しおりを挟む
「父の中国への赴任」それは私の人生を大きく変えた、まさにターニングポイントと言える出来事だ。

当時の私は小学6年生、なんの変哲もない大阪の南の方に住んでいる女の子だった。
朝ごはんを食べている時に、父の口から「パパ中国の上海にいくことになってん。」突如告げられた転勤宣言。
当時の私には、転勤の意味や単身赴任の意味も理解できず、ただ「一緒に行く。」と駄々をこねたのを覚えている。

しかしながら、当時「冷凍餃子の中に段ボール事件」など中国に対するイメージがネガティブであったことや、上海への赴任に家族を連れていくことを会社が承諾していなかったりと、家族で上海に住むことはなかなか難しい状況だった。
そのため、単身赴任で父だけが上海へいくことになった。

父が赴任して数ヶ月後、家族で父に会いに行く名目で上海へ旅行に行ったのだ。
初めての海外旅行、それはそれは今でも忘れない心躍るものだった。
しかし私は致命的なことを理解していなかったのだ。

それは…

海外は日本語が通じないと言うことだ。
当たり前のことではあるが、当時の私は言語の壁を理解していなかったのだ。
しかし、その壁に直面するのはそう遅くなかったのだ。

上海の空港へ到着して、胸を張って私は税関へ向かった。
当たり前だが、そこには中国人がいたのだ。

税関へ入ると税関の中国人が私に何か喋っている。
あの言葉が中国語だったのか英語だったのか、今考えてもわからないままである。
(おそらく、旅行の目的や滞在日数を聞かれていたのだとおおうが…)
そして結局理解できない私は、唖然としてしまい黙り込んでしまった。
税関の中国人は何かを話し続けているが、黙り続ける私に何かを吐き捨て、
パスポートにハンコを押してパスポートを投げたのだ。まさに、中川家のコントのような状況である。
私はその状況にさらに唖然としてしまい、国の入り口である税関で既にカルチャーショックを受けてしまったのだ。

「もう中国には来たくない」

それは私が関税を出てすぐに思ったことである。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...