異世界にて最強のチートを手に入れたがモンスターの方が強い件

鬼武蔵

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3章 生徒会編

生徒会へ

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あれから傷が完治するまでに半月が流れた。
この世界の治癒魔法とやらは凄まじく効力があるらしく、重体だったリーエンも今では完治している。

・・・・・

・・・

「それで、件の生徒"佐藤悠真"についてなにか分かった事があるか?」

「はい、名前はユーマ・サトウ。騎士の国アークソフィアからこちらへ来ました」
淡々と話す少女はシルフ・F・ブルーフィールドという。生徒会では書記を務めている。

「ほう、東の武人がこのエルキアへ?」

「はい、かの有名な武闘大会では決勝戦で学園長と互角に渡り合ったとのことです」

「・・・互角、か。・・・一体、奴はどれほどの力を出して渡り合えるよう調したんだろうな」

「そこまではデータがないので分かりかねます」

コンコン、生徒会の大きく堅牢な入り口からノックオンが聞こえて来た。

「来たか。入りたまえ」

「し、失礼します」

「君は、佐藤 悠真君だね。ようこそ、我が生徒会室へ。」

「は、はぁ」

「よし・・・早速、君の力量を測らせてもらうよ。我々はこの学園を守るギルドでもあるからね」

「・・・急なんですね」

「我々には時間がないのだ。来たるべき日に備えなければならない」

生徒会長はそう言うと、生徒会メンバーを引き連れて武闘場に向かった。

・・・・・

・・・

「この武闘場で、きみは模擬戦をしてもらう。対戦相手は生徒会書記長のイリヤだ」

「・・・よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

俺と書記長は互いに距離をとり、合図を待つ。

「このコインが落ちた時、それが開始の合図だ」

空気が重い。今まで闘ってきた相手とは段違いだ。
ヒヤリと冷たく、鉛のような空気の重さ。これがプレッシャーか。

コインが跳ね上げられ、宙を舞う。ゴクリと唾を飲み、それが落ちる瞬間をじっと見つめる。

キンッ!と鳴った金属音が静寂を打ち破る。

「原初たる炎よ わが問いに応えよ "プロミネンス"」

先に先制してきたのはイリヤだ。

「使わせてもらう・・・闇の衣!」

こちらも負けじと闇の衣で炎を防ぐ。

「あら、中々いいマントね。まるで悪役みたい」

「お褒めの言葉どうも。次はこちらから行きます!」

指を構え、狙いを定める。

「"魔弾"」

放たれたのは風属性と火属性の合成魔法。ユリウス学院長が使う魔法の応用。闇の衣と戦った時より威力と速さ、精度が確実に向上している。

「精霊よ 我を守りて 使命を全うせよ "マジックオーラ"」

放った魔弾は彼女の纏ったオーラに阻まれる。

「私のオーラを通してもこの威力・・・君、魔法のセンスあるね」

ヘラヘラと余裕を見せながら言うイリヤ。

「そりゃどうも」

「・・でも、この程度じゃ話にならない。精々スライムを倒すのがやっと」

「じゃ、魔法と違いますがこれはどうですか?」

あの時、俺が変身した後俺のスキルに追加がされてあるのに気がついた。【鏡花水月きょうかすいげつ】。相手の五感を支配し、存在を誤認させる幻惑のスキル。そして、【武装錬金ぶそうれんきん】。周囲の物質から武器を精製するスキル。この2つのスキルは変身していない俺でも使えることができるようになっていた。

「"鏡花水月"」

彼女にはきっと、俺が複数いるように見えるだろう。

「へぇ、幻惑系の魔法。どんな魔法か知らないけどこの部屋全部燃やせば関係ないよね」

「・・・・なっ!」

「原初たる炎よ 流星のごとく降り注ぎ 我の敵を天の業火で焼き尽くせ"メテオレイン"」

イリヤの頭上に複数の火球が舞い部屋全体に降り注ぐ。

「くっ!・・デタラメだ!」

闇の衣ですぐさま防御体制をとる。

「見えた・・・。母なる水よ 我を仇名す者を 深海の牢獄へ閉じ込めたまへ"アクアプリズン"」

そう唱えた瞬間、俺の周りに水が生成され、あっという間に俺を包む球体となった。

懸命にもがき、水の牢獄から出ようとするが抜け出す事はできなかった。次第に薄れゆく意識の中、脳裏に死が過ぎった。
バチンッ!

♢♦︎♢♦︎♢♦︎

次に目が覚めると、最近見慣れた保健室の天井があった。

「はぁ・・・。またこれか」

「また?」

声のする方に首を傾けるとそこには俺と戦った生徒会書記長のイリヤがいた。

「いえ、なんでもないです」

「ふ~ん」

「それより、あの後どうなったんですか?」

「今から君の総評をはじめるね」

見事に無視されたな。

「まず、君は戦闘において素人すぎ。あんな狭い密室で幻影系統の魔法なんて無意味。それに、私のプレッシャーに呑まれてスピードが疎かになった。これは戦闘経験が少ない証拠」

・・・ぐうの音も出ない。たしかに、俺はこの世界に来て戦闘はろくにやってない。

「でも、あの後は良かった。あのアクアプリズンを 解いたのはすごく、いい」

あれを解いた?分からない。意識がなかった俺は何も覚えていない。恐らくは1になったのか?

「君の容姿が一瞬だけ変わったかと思えば、いきなり私の魔法を解くなんて、正直ありえない」

やっぱり、無意識でもう1人の俺になっていたんだ。
待て、もう1人の俺が使ったってことは俺にも新しいスキルが発現しているんじゃないか?

「サーチ」

佐藤悠真 レベル1

 年齢 16歳
 性別 男
 種族 人間

 HP723/1080
 MP320/411

 攻撃力798
 防御力524
 素早さ421
 魔力303
 知力220
 運141

 固有スキル

・千里眼
・超再生
・闇の衣
・武装錬金
・鏡花水月
・マジックブレイク

 魔法

・ファイアボール
・アクアクロー
・ウイング
・火属性と風属性の合成魔法:魔弾(劣)

・・・やっぱり。新しいスキルが発現している。
詳しく見ておくか。

「マジックブレイク」・・・いかなる魔力攻撃であろうと、それを無効化する。反動として、自身のHPとMPと身体能力を著しく低下させる。

・・・・・あまり、有用とは思えないな。とっておきの大技ってやつなのか?

「というか、ステータスが凄いことになってるんだが」

「私の目には相手の力の大体を見るスキル"邪眼"ってものがあるんだけど、あなたのステータスなら本来はゴブリン集団相手でも引けを取らないはず。それなのに私に負けるのは戦闘に怯えている証拠」

そう言い残しイリヤはその場を去っていった。
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感想 4

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みんなの感想(4件)

アアアア
2017.08.24 アアアア

お久しぶりです
最新話まで読みました
やっぱりファンタジーは面白い!!
最近生存して戻って来ました~ 物語が先に進まなくなったのでやり直して来ました~
物語創るの難しいですね~ 取り敢えず新作を書いたので見てくれると嬉しいです
感想もお願いします
ではでは~(?_?)ノシ

2017.08.24 鬼武蔵

お久しぶりですね!最近はなかなか進めなくて・・・早速拝読させていただきます!

解除
アアアア
2017.06.30 アアアア

初めまして アアアアです
読ませて頂きました
やっぱりファンタジーは最高ですね!
面白かったです!
僕は最近ファンタジー系を書いてて
本当に書こうとしてる人の作品を見ると
自分との能力の違いを痛感します!

2017.06.30 鬼武蔵

感想ありがとうございます。
ファンタジー最高ですよね!凄い憧れます。
私自身、初心者投稿なんですが、分かりやすく書けているか不安で一杯です。
今後も、そう言ってくれるよう工夫して書き続けたいと思います。

解除
2017.06.19 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2017.06.19 鬼武蔵

感想ありがとうございます!
ファンタジーものを書くと見るでは全然違うんだと実感しながら書いています笑
あなたの作品も見て参考にさせていただきますね!

解除

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