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1章 最強の師篇
武闘大会 4
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俺は選手の休憩室にガイウスといる。顔は青ざめた表情だった。
「一体、何があったんですか?」
未だにガタガタと膝が震えている。
「あれは、バケモノだ」
ー1回戦直前ー
「先にステージに上がったのは・・・鉄砕と呼ばれる鉤爪で、全てのものをなぎ倒す。猪突の2つ名を持つ男!ガイウス!」
その名をアナウンサーが口にした瞬間、どっと観客は湧き上がった。立ち上がる人や旗を持って応援している人までちらほらといる。
「続いて登場したのは、おーっと!ガイウス選手とは対照的な体つきのデメル選手!その細い肉体に秘めた力に期待が高まります!」
一通り紹介が終わるとステージ上で、2人は睨み合う。
ガイウスは両手に鉄砕と呼ばれる鉤爪の武器を装着する。
一方のデメルは何も準備をしない。
「客席の方に軽くルールを説明しておきます。勝敗は戦闘不能にするか、負けを認める。更にはこのステージの場外に出ても負けとなります。原則として、1つまでなら武器を使用しても構いません」
説明が終わるとアナウンサーはステージの外に出る。
「悪いが、一瞬で終わらせてもらう。先に待たせている人がいるんでな」
「・・・・・」
「それでは、試合・・・始め!」
太鼓がドンとなると、試合開始の合図だ。
ガイウスはそれと同時にデメルに突進する。猪突の2つ名に相応しく、凄まじいスピードだ。
「くらうがいい。"獣王無尽"」
詰め寄るとガイウスは無数の斬撃を繰り出す。
しかし、デメルにあたる直前、鉤爪は地面に叩きつけられた。
観客はどよめくが、1番動揺しているのはガイウスだろう。なにせ、デメルは何1つ動いていないのだから。
ガイウスは鉤爪を取り外し、その場から離れる。
「くそ、何が起こった!?」
間髪入れずにデメルは襲いかかる。みぞおち蹴りをくらうと悶絶し、座り込む。
「ま、まいった」
デメルはガイウスの頭に足を乗せ、ただ一点を見ていた。
「・・・佐藤、悠真」
・・・・・
・・・
「あの時、確かにお前の名を呼んだ。気をつけるんだ。あいつは普通じゃねぇ」
「そんなことが・・・分かりました。ガイウスさんはしばらく休んでいてください」
そう言い残し、俺は休憩室を後にした。
休憩室を出ると、外で師匠が待っていた。
「今回の試合、棄権しても構わないぞ」
あれほど参加を勧めていた師匠が弱気な発言を言った。
「俺、戦います」
「相手はお前を殺す気だ。お前に、あいつを殺す覚悟はあるか?」
「殺しません。俺は戦います」
迷いなく、凛とした目で師匠を見る。
「あの時と同じ目だな。分かった、秘策を考えてるから耳貸しな」
「・・・・・」
「・・・分かりました。やってみます」
「それと、他の選手の試合もちゃんと見とけよ」
そう言い残し師匠はその場を後にした。
「一体、何があったんですか?」
未だにガタガタと膝が震えている。
「あれは、バケモノだ」
ー1回戦直前ー
「先にステージに上がったのは・・・鉄砕と呼ばれる鉤爪で、全てのものをなぎ倒す。猪突の2つ名を持つ男!ガイウス!」
その名をアナウンサーが口にした瞬間、どっと観客は湧き上がった。立ち上がる人や旗を持って応援している人までちらほらといる。
「続いて登場したのは、おーっと!ガイウス選手とは対照的な体つきのデメル選手!その細い肉体に秘めた力に期待が高まります!」
一通り紹介が終わるとステージ上で、2人は睨み合う。
ガイウスは両手に鉄砕と呼ばれる鉤爪の武器を装着する。
一方のデメルは何も準備をしない。
「客席の方に軽くルールを説明しておきます。勝敗は戦闘不能にするか、負けを認める。更にはこのステージの場外に出ても負けとなります。原則として、1つまでなら武器を使用しても構いません」
説明が終わるとアナウンサーはステージの外に出る。
「悪いが、一瞬で終わらせてもらう。先に待たせている人がいるんでな」
「・・・・・」
「それでは、試合・・・始め!」
太鼓がドンとなると、試合開始の合図だ。
ガイウスはそれと同時にデメルに突進する。猪突の2つ名に相応しく、凄まじいスピードだ。
「くらうがいい。"獣王無尽"」
詰め寄るとガイウスは無数の斬撃を繰り出す。
しかし、デメルにあたる直前、鉤爪は地面に叩きつけられた。
観客はどよめくが、1番動揺しているのはガイウスだろう。なにせ、デメルは何1つ動いていないのだから。
ガイウスは鉤爪を取り外し、その場から離れる。
「くそ、何が起こった!?」
間髪入れずにデメルは襲いかかる。みぞおち蹴りをくらうと悶絶し、座り込む。
「ま、まいった」
デメルはガイウスの頭に足を乗せ、ただ一点を見ていた。
「・・・佐藤、悠真」
・・・・・
・・・
「あの時、確かにお前の名を呼んだ。気をつけるんだ。あいつは普通じゃねぇ」
「そんなことが・・・分かりました。ガイウスさんはしばらく休んでいてください」
そう言い残し、俺は休憩室を後にした。
休憩室を出ると、外で師匠が待っていた。
「今回の試合、棄権しても構わないぞ」
あれほど参加を勧めていた師匠が弱気な発言を言った。
「俺、戦います」
「相手はお前を殺す気だ。お前に、あいつを殺す覚悟はあるか?」
「殺しません。俺は戦います」
迷いなく、凛とした目で師匠を見る。
「あの時と同じ目だな。分かった、秘策を考えてるから耳貸しな」
「・・・・・」
「・・・分かりました。やってみます」
「それと、他の選手の試合もちゃんと見とけよ」
そう言い残し師匠はその場を後にした。
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