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むしろ好都合です①
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結婚初夜に白い結婚と別居を言い渡された。
妻同伴の行事以外は自由に暮らしていいという言質も取った。
やった! やったわ!
旦那様、ありがとうございますっ!
目の前に立つ旦那様に浮かれる胸の内を気取られないように咄嗟にうつむいたけれど、それでも笑いが込み上げてきてどうにも肩が揺れてしまう。
それを泣いていると勘違いされたらしい。
旦那様の手が肩に置かれ、泣かないでくれと謝罪されてしまった。
まずい、このままでは涙をこぼすどころか笑っているのがバレてしまう。
わたしは咄嗟に旦那様の手を払うと、頭まですっぽりベッドに潜り込んだ。
よかったわぁ、どう切り出そうかと思っていたのよね。
結婚した以上夫婦の営みは避けて通れないし、この人とならそうなってもいいと思っていた。
でも、せめてあと3カ月、妊娠だけはどうしても避けたかったのだ。
もしも毎晩求められたらどうしようか、すぐに妊娠してしまうんじゃないだろうか……そんな心配はまったくの杞憂だった。
抱く気がないとハッキリ言われたんですもの!
いや、正直ね、ちょっとショックだったわよ?
魅力がない、妻とも女とも思っていないってことだもの。
でも許してあげる。
わたしの思惑通りに事が運んで、笑いが止まらないほどだもの。
今のわたしには、旦那様よりも侯爵夫人という地位よりも大詰めを迎えているダンジョン攻略の方が大事なんだから!
******
攻略中のダンジョンは、マーシェス侯爵領内にある大樹が入り口になっている。
大樹を中心に広がる街は、そのダンジョンの攻略を目的に集まる冒険者によって発展していったようなものだ。
冒険者たちが寝泊まりする宿屋、飲食店、武器防具屋、鍛冶屋、道具屋、治療院……それらを侯爵家が設立した冒険者協会が束ねて統制を保っている。
世界各地に存在するダンジョンの中には、ならず者たちばかりが集まる無法地帯のようになっているところもあると聞いているけれど、マーシェス領のダンジョンは内部の手入れも行き届いているし、街もとてもきれいに整備されている優良ダンジョンだ。
入ってすぐ、1階のフロアの奥に出没するスライムはなんとも可愛らしくて、魔物というよりペット感覚で「スライムと遊ぼう!」というふれあいコーナーまである。
それはもはや魔物の巣窟ではなく、ただのレジャー施設のようで、世界のダンジョンを紹介している『ダンジョンガイドブック』には、初心者にオススメのダンジョンとしてこのように紹介されている。
『マーシェスダンジョン:魔物を見てみたい、触ってみたい、剣をふるって魔物を倒し冒険者気分を味わってみたいというエンジョイ勢にはここがオススメ ☆5』
わたしがこのダンジョンに足を踏み入れるきっかけとなったのも、このガイドブックを読んで興味がわいたからだ。
実家の領地に近いこともあり、興味本位で足を踏み入れたあの日のわたしは、まさか自分がこんなにもどっぷりダンジョン攻略という沼にはまってしまうとは想像もしていなかった。
家族はそのことを知っていて、だからこそこんな娘に嫁の貰い手はないだろうと諦めていたところに降ってわいたマーシェス侯爵からの縁談に飛びつき、早く結婚をとせかされるがままに了承したのだ。
わたしがそれに渋々了承したのも、お相手がマーシェス侯爵の御曹司だったからにほかならない。
代々当主が冒険者協会長を務めているのだから、何か裏情報が手に入るかもしれない!
領地に住むことができれば近くて便利!
そう思ったからだった。
妻同伴の行事以外は自由に暮らしていいという言質も取った。
やった! やったわ!
旦那様、ありがとうございますっ!
目の前に立つ旦那様に浮かれる胸の内を気取られないように咄嗟にうつむいたけれど、それでも笑いが込み上げてきてどうにも肩が揺れてしまう。
それを泣いていると勘違いされたらしい。
旦那様の手が肩に置かれ、泣かないでくれと謝罪されてしまった。
まずい、このままでは涙をこぼすどころか笑っているのがバレてしまう。
わたしは咄嗟に旦那様の手を払うと、頭まですっぽりベッドに潜り込んだ。
よかったわぁ、どう切り出そうかと思っていたのよね。
結婚した以上夫婦の営みは避けて通れないし、この人とならそうなってもいいと思っていた。
でも、せめてあと3カ月、妊娠だけはどうしても避けたかったのだ。
もしも毎晩求められたらどうしようか、すぐに妊娠してしまうんじゃないだろうか……そんな心配はまったくの杞憂だった。
抱く気がないとハッキリ言われたんですもの!
いや、正直ね、ちょっとショックだったわよ?
魅力がない、妻とも女とも思っていないってことだもの。
でも許してあげる。
わたしの思惑通りに事が運んで、笑いが止まらないほどだもの。
今のわたしには、旦那様よりも侯爵夫人という地位よりも大詰めを迎えているダンジョン攻略の方が大事なんだから!
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攻略中のダンジョンは、マーシェス侯爵領内にある大樹が入り口になっている。
大樹を中心に広がる街は、そのダンジョンの攻略を目的に集まる冒険者によって発展していったようなものだ。
冒険者たちが寝泊まりする宿屋、飲食店、武器防具屋、鍛冶屋、道具屋、治療院……それらを侯爵家が設立した冒険者協会が束ねて統制を保っている。
世界各地に存在するダンジョンの中には、ならず者たちばかりが集まる無法地帯のようになっているところもあると聞いているけれど、マーシェス領のダンジョンは内部の手入れも行き届いているし、街もとてもきれいに整備されている優良ダンジョンだ。
入ってすぐ、1階のフロアの奥に出没するスライムはなんとも可愛らしくて、魔物というよりペット感覚で「スライムと遊ぼう!」というふれあいコーナーまである。
それはもはや魔物の巣窟ではなく、ただのレジャー施設のようで、世界のダンジョンを紹介している『ダンジョンガイドブック』には、初心者にオススメのダンジョンとしてこのように紹介されている。
『マーシェスダンジョン:魔物を見てみたい、触ってみたい、剣をふるって魔物を倒し冒険者気分を味わってみたいというエンジョイ勢にはここがオススメ ☆5』
わたしがこのダンジョンに足を踏み入れるきっかけとなったのも、このガイドブックを読んで興味がわいたからだ。
実家の領地に近いこともあり、興味本位で足を踏み入れたあの日のわたしは、まさか自分がこんなにもどっぷりダンジョン攻略という沼にはまってしまうとは想像もしていなかった。
家族はそのことを知っていて、だからこそこんな娘に嫁の貰い手はないだろうと諦めていたところに降ってわいたマーシェス侯爵からの縁談に飛びつき、早く結婚をとせかされるがままに了承したのだ。
わたしがそれに渋々了承したのも、お相手がマーシェス侯爵の御曹司だったからにほかならない。
代々当主が冒険者協会長を務めているのだから、何か裏情報が手に入るかもしれない!
領地に住むことができれば近くて便利!
そう思ったからだった。
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