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異世界生活の始まり
22 アレの出番です
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女神様に時間経過や温度を変えられるようにしてもらった空間収納…!
なんと、まさかこんなところで役に立つ時が来ようとは!
…その時の思いつきでこんな機能をつけてもらったということはもう忘れてしまおう
収納スペースの一角を30℃に設定する。時間経過は…最大で1日が2時間に短縮できるようなので、瓶に仕込んだ酵母を2時間後に確認することにした。
◇◇◇
待ち時間は、ヘルプ機能でこの世界について勉強したり、自分のスキルについて確認して過ごした。
私のスキル、『精製分離』は、混合物を分けるスキルで、何と何を分けたいか、が明確でないと分けられないようだ。とはいえ、それは成分ではなく、色や粒の大きさなどでも分離できるようだが。
例えば、先日の小麦粉だったら、元の全粒粉から白い粉だけ分ける、というイメージにすれば白い小麦粉が取れる。
白い粉であっても、重曹の時のように、炭酸水素ナトリウムが欲しくて、不純物の炭酸ナトリウムを取り除く、という形で『精製分離』すると、炭酸水素ナトリウムの純度を上げられる、ということだ。
前回は何となく使ったらそうなったけれど、何と何の混合物なのか、どう分けたいのか、さえ明確であればいけるらしい。
逆に、分子を分解する、ということは『精製分離』では出来ない。
例えば、水を水素と酸素に分解する、とかはできない。
『合成』スキルを使えば出来るかもしれないが、それはまた後で確認することにしよう。
パン酵母がどうなったかを確認する時間がきたのだ。
蓋を開ける前に少し振ってみる。液体から少し泡が出てきているようだ。開けてみると、…うん、腐った匂いはしない。蓋を閉めて、少し振って、また蓋を開けて空気を入れてから閉めておく。
酵母菌が増えると、その分瓶の中の酸素が減るから、定期的に開けて足してあげないといけない。酸素が無くなると、今度はアルコール発酵しちゃうからね。
このまま酵母が順調に育てば、蓋を開けると炭酸のジュースの蓋を開けた時のように泡がこぼれ出すらしい。すごいなー、楽しみ!
◇◇◇
朝からやり出した作業、酵母を2時間ごとに確認し、夕方になる頃にはいい感じに開けるとプシュッと音が鳴って、少しずつ泡が出てくるようになってきた。現実の時間で言うと、4日分くらい経過した感じだろうか。
明日、パンにして上手くいけばいいな。もし失敗した時のために、何か一つ別のものを用意しておこうかなぁ…。
そんなことを考えていて、そう言えば今日は1歩も外へ出ていないことに気づく。
ちょっと早いけど、夕飯はどこかで食べようかな、ユキでも誘ってみようかな、居れば、だけれど。
…うーん、こういうとき、この世界にも友達欲しいなぁ。アリーナさんはまだお仕事中だろうか。んー、宿の食堂でも良いかなぁ。
ぼーっと考えながら降りていく。降りたところで、宿のお姉さんの、ユーリアさんに出会う。
「あ、アンナさん、食事ですか?今時間あれば、今後の滞在予定どうするか確認してもいいですか?」
そういえば、最初、5日の宿泊でお願いしていたんだっけ。今日が3日目だから、延長するかどうかを確認したかったらしい。
「そうですね…とりあえず、あと追加で3日は延ばしてもらってもいいですか?ちょっと、今後のことも決めていかないとなので…」
「うちとしては何時まででも滞在してもらっても良いんですけどね、そういうわけにもいかないですよね~。もし部屋やお家を借りて住むってことなら、ギルドに相談してもいいけど、私の友だちの親でアパートを経営して長期で部屋を貸している人が居るから紹介してあげましょうか?最近、女性用に鍵や防犯をしっかりした建物もできたって言っていたから。」
おお、この世界にもアパートってあるんだ!しかも女性向けなんて!
「紹介してもらいたいです。ただ、もう少しで冒険者ギルドタグ発行してもらえるぐらいなんですけど、その後の方がスムーズに進みますよね?」
「そうですねぇ、家賃前払い出来れば大丈夫とは言っていたけど。身元保証的な所は話を聞いてみないとですねぇ。」
「ユーリアさんの都合に合わせますので、紹介してもらいたいです。明後日はギルド依頼で出かける予定なので、それ以外がいいんですけど…」
「そうね、じゃあその依頼受けた次の日でも良いかしら?私の方でも、伝えておきますね。」
ユーリアさん、ホントにいい人。
この世界に来てから出会う人はみんないい人で、まだ変な人に会うことが無いのが本当にありがたい。
女神様の加護ってこういうところにも効いているのかな?そうだ、明日は教会に言ってみよう。
ユーリアさんにお礼を言って、外へ出た。
なんと、まさかこんなところで役に立つ時が来ようとは!
…その時の思いつきでこんな機能をつけてもらったということはもう忘れてしまおう
収納スペースの一角を30℃に設定する。時間経過は…最大で1日が2時間に短縮できるようなので、瓶に仕込んだ酵母を2時間後に確認することにした。
◇◇◇
待ち時間は、ヘルプ機能でこの世界について勉強したり、自分のスキルについて確認して過ごした。
私のスキル、『精製分離』は、混合物を分けるスキルで、何と何を分けたいか、が明確でないと分けられないようだ。とはいえ、それは成分ではなく、色や粒の大きさなどでも分離できるようだが。
例えば、先日の小麦粉だったら、元の全粒粉から白い粉だけ分ける、というイメージにすれば白い小麦粉が取れる。
白い粉であっても、重曹の時のように、炭酸水素ナトリウムが欲しくて、不純物の炭酸ナトリウムを取り除く、という形で『精製分離』すると、炭酸水素ナトリウムの純度を上げられる、ということだ。
前回は何となく使ったらそうなったけれど、何と何の混合物なのか、どう分けたいのか、さえ明確であればいけるらしい。
逆に、分子を分解する、ということは『精製分離』では出来ない。
例えば、水を水素と酸素に分解する、とかはできない。
『合成』スキルを使えば出来るかもしれないが、それはまた後で確認することにしよう。
パン酵母がどうなったかを確認する時間がきたのだ。
蓋を開ける前に少し振ってみる。液体から少し泡が出てきているようだ。開けてみると、…うん、腐った匂いはしない。蓋を閉めて、少し振って、また蓋を開けて空気を入れてから閉めておく。
酵母菌が増えると、その分瓶の中の酸素が減るから、定期的に開けて足してあげないといけない。酸素が無くなると、今度はアルコール発酵しちゃうからね。
このまま酵母が順調に育てば、蓋を開けると炭酸のジュースの蓋を開けた時のように泡がこぼれ出すらしい。すごいなー、楽しみ!
◇◇◇
朝からやり出した作業、酵母を2時間ごとに確認し、夕方になる頃にはいい感じに開けるとプシュッと音が鳴って、少しずつ泡が出てくるようになってきた。現実の時間で言うと、4日分くらい経過した感じだろうか。
明日、パンにして上手くいけばいいな。もし失敗した時のために、何か一つ別のものを用意しておこうかなぁ…。
そんなことを考えていて、そう言えば今日は1歩も外へ出ていないことに気づく。
ちょっと早いけど、夕飯はどこかで食べようかな、ユキでも誘ってみようかな、居れば、だけれど。
…うーん、こういうとき、この世界にも友達欲しいなぁ。アリーナさんはまだお仕事中だろうか。んー、宿の食堂でも良いかなぁ。
ぼーっと考えながら降りていく。降りたところで、宿のお姉さんの、ユーリアさんに出会う。
「あ、アンナさん、食事ですか?今時間あれば、今後の滞在予定どうするか確認してもいいですか?」
そういえば、最初、5日の宿泊でお願いしていたんだっけ。今日が3日目だから、延長するかどうかを確認したかったらしい。
「そうですね…とりあえず、あと追加で3日は延ばしてもらってもいいですか?ちょっと、今後のことも決めていかないとなので…」
「うちとしては何時まででも滞在してもらっても良いんですけどね、そういうわけにもいかないですよね~。もし部屋やお家を借りて住むってことなら、ギルドに相談してもいいけど、私の友だちの親でアパートを経営して長期で部屋を貸している人が居るから紹介してあげましょうか?最近、女性用に鍵や防犯をしっかりした建物もできたって言っていたから。」
おお、この世界にもアパートってあるんだ!しかも女性向けなんて!
「紹介してもらいたいです。ただ、もう少しで冒険者ギルドタグ発行してもらえるぐらいなんですけど、その後の方がスムーズに進みますよね?」
「そうですねぇ、家賃前払い出来れば大丈夫とは言っていたけど。身元保証的な所は話を聞いてみないとですねぇ。」
「ユーリアさんの都合に合わせますので、紹介してもらいたいです。明後日はギルド依頼で出かける予定なので、それ以外がいいんですけど…」
「そうね、じゃあその依頼受けた次の日でも良いかしら?私の方でも、伝えておきますね。」
ユーリアさん、ホントにいい人。
この世界に来てから出会う人はみんないい人で、まだ変な人に会うことが無いのが本当にありがたい。
女神様の加護ってこういうところにも効いているのかな?そうだ、明日は教会に言ってみよう。
ユーリアさんにお礼を言って、外へ出た。
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