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第十八章
メフィストフェレス社長の謀略
しおりを挟む第一節 忍び寄る魔の手
天才AI青年、剛は二十五歳を迎えようとしていた。
高層高級マンション最上階での生活も大きく変わろうとしている。
やっと美久と二人で暮らせることになったのだ。
緑子と麗華の人体計測が、性器の細部に至るまで完了したから。
丸裸の二人と、美久が計測室で鉢合わせをする恐れが無くなったので、社長も快く
了承してくれたのだ。
美久は、お兄ちゃんのところへ引っ越しする準備で忙しい。
荷物の整理をしていると、コンドームは5袋と未開封の3ダースがあった。
もう、お兄ちゃんとはコンドームを使わなくてもいい。
もし、すぐにお腹が大きくなっても、赤ちゃんが産まれるころには、ヘアデザイン
専門学校の専科を終えているはずだし、養父母も孫の顔を早く見たいようだから。
コンドームはもう不用品。でも、美久は捨てる気にはなれなかった。
これまで使ったコンドームの数だけ、お兄ちゃんと愛を交わしたのだから。
十四歳でお兄ちゃんと結ばれてからの、いわば記念の品。
どうしようかと考えた美久に、グッドアイデアが閃いた。
コンドームは品質のいいゴムで、伸縮性にも富んでいる。
美久は髪飾りを創るため組紐の丸台セットも持っていた。
組紐の要領でコンドームを編み込んでいく。
乳首のような形の先端の精液溜と、円形になった根元部は、巧く編み込んでいくと
花弁の形にすることが出来て、可愛いシュシュになった。
美久はコンドーム製のシュシュで髪をまとめ、お兄ちゃんのところへ引っ越す。
「・・・・今日の髪飾りはちょっと変わっているけど、可愛いね」
「・・・・ふふ、何で出来ていると思う?お兄ちゃん」
「・・・・なんだろうねえ?見たこと無いから」
「ふふ、お兄ちゃんのお馴染みのものなの」
「・・・・・なんだろうねえ?」
「コ、ンド~オムよ!」
「ええ!!コンドームを頭に乗せて電車に乗り、ここまできたの?」
「だって、荷物の片づけやお掃除をするのに、これだと簡単に髪を束ねられるし、
お仕事もしやすいでしょ?」
「・・・・そうだねえ・・・」
その夜コンドームで髪を束ねた美久はコンドーム無しでお兄ちゃんと愛を交わす。
こうして、剛の二十五歳の誕生日がやってきた。
本当の誕生日を知っているのはポルノの女帝、産みの母である北条冴子だけだが。
実母の冴子が二歳の剛を、養護院の入り口の前にそっと置き、その数分後に養母の
聖良がそっと抱き上げた日を、タケシの誕生日ということにしているのだ。
幕末動乱の世、高杉晋作率いる過激派に襲撃され紅蓮の炎に包まれた英国公使館の
跡地に聳える高層高級マンション最上階は、賑やかな笑い声に包まれた。
二十五歳のバースディパーティに剛と美久が招待したのは、建太郎・聖良の養父母
夫妻、そして緑子と麗華。
「妻の美久でございます。主人がいつも大変お世話になっております」
緑子と麗華に初対面の御挨拶をする新妻は、聖良から譲り受けた華やかな辻が染め
の着物姿。髪飾りはもちろんコンドーム製ではない。佃煮屋の伯母さまにいただいた
赤い珊瑚飾りの銀のかんざし。
「奥様のかんざし、素敵ですわね。綺麗な髪にとってもお似合いですわ」
緑子が如才なく褒める。
「ええ、江戸時代のものらしいの。大切に磨くとこんなに綺麗になったの」
美久は褒められてニコニコ顔。
剛は美久と養父母に、全力を傾注している生成AIソフトを初めて御披露した。
もちろん、緑子と麗華の性器も計測し、完成に向け走り出したAIアンドロイドの
画像を見せる訳にはいかない。
モニター画面に映し出したのは、剛が原形を創って、後はAI特別プロジェクトの
スタッフに委ねた『AI秘書』と『AIアテンダント』だ。
「・・・生成AIって、本物の私より頭がずっといいでしょう?」
全てを承知の緑子が『AI秘書』を褒め讃える。
公認会計士は難しい経済用語を散りばめ意地悪な質問を『AI秘書』にしてみる。
「・・・・・・・いや、参った。これじゃあ、公認会計士は要らなくなるね」
「そうですわね。『AIアテンダント』さんも、こんなに受け答えがお上手だと、
セクハラだとか、カスハラと申すそうですけど意地悪なお客も裸足で逃げ出すわね」
みんなが、お兄ちゃんの作ったAIソフトを絶賛するので、美久は鼻高々。
笑い声の絶えない夕食が終わる。
部屋の灯りを消し、25本の蠟燭は、お兄ちゃんといもうとが一緒に息をかけた。
弓張り月とも呼ばれる上弦の月が東京湾の上に浮かんでいた。
「まあ、きれいなお月さまね」
美久はお兄ちゃんの手を取り、ベランダに駆け出す。
「みなさんも、おいでなさいよ」
でも養父母も緑子と麗華も、肩を寄せ合い、手をつないだ剛と美久に近寄らない。
赤い珊瑚の飾りがついた銀のかんざしを刺した黒髪が、海風にそよぐ。
黒い海に月明かりが銀の糸のように延びてキラキラ。
黒い空を羽田に向かう飛行機がゆっくり斜めに切っていく。
剛と美久に見送られエントランスを出た緑子と麗華は思わず一緒に振り向いた。
かつて紅蓮の炎が燃えがったところに聳え立つ、超高層マンションを見上げる。
「お互い『お兄ちゃん』を篭絡するのに失敗したけど、美久ちゃんが相手だと、
どうやら勝ち目は無かったということのようね?」
「そうね・・・」
「じゃあ、麗華、今夜もどう?」
「ええ」
緑子と麗華は手をつなぎ、タクシーの後部座席に座る。
そっと唇も合わせる。
緑子の手は麗華の太ももの奥に忍び込んでいた。
二人のレズビアンショーは、いつにも増して激しいものとなったことだろう。
人体計測室での役目が終わった緑子と麗華は、もう妖魔の魔の手から逃れ去ったと
いうことでもあるかもしれないが・・・・。
第二節 秘仏・双身歓喜天
翌日、美久が専門学校にいる昼下がり、社長が予告なしに最上階に姿を現した。
「進捗具合はどうだ?」
美久も開けられないよう指紋認証にした扉を開け、剛がディスクを取り出す。
金色に輝く冠、素肌が透け見えるチャイナ風薄物。
息を呑むような美しい妃がモニター画面に現れた。
「まだ完成途上ですが生成AIの『楊貴妃』です。『AI緑子』と『AI麗華』を
合成し、眉は緑子、眼は麗華、鼻は緑子、唇は麗華です。この十年のミス日本の顔も
参考にして、美容整形していますが・・・」
「・・・絵に描いたような美人とは、こんな女を言うんだろうな・・・」
「生成AIとしての機能はまだ不十分ですが、ある程度の対話能力は備えています
ので画面に向かって『脱げ!』と言ってみてください」
「よし。楊貴妃、脱げ!」
画面の楊貴妃が恥ずかしそうに薄物を脱いでいく。
「・・・・・楊貴妃、ちょっと乳を振ってごらん・・・・・・おお、おお・・・・
お尻も見せてくれるかな?・・・・おお、おお・・・・・・」
「プロポーションは緑子をベースにして、ヒップのカーブは麗華にしてみました。
乳輪と乳首も麗華となっています。お好みに合わせパーツを交換することも可能で、
陰毛は今は緑子ですが、麗華のものを生やしてみましょうか?」
「・・・そうは変わんだろうから、今いい」
「・・・かなりのものになったと思いますが、いかがでしょう?」
それまで満足そうにしていた社長の眼が冷たく光った。
「・・・・僕が構想している『AIアンドロイド』には程遠いな」
「はあ~・・・」
「目指すのは楊貴妃ではない、妖しい妃、妖貴妃だ」
「はあ~???」
「・・・『美は乱調にあり』という」
「はあ??」
「今のタケシでも『AIミスワールド』程度の只の美人AIアンドロイドの開発は
容易だろう。しかし、最高級のAIアンドロイドは発想を根本から変えないと、夢の
また夢である」
「どういうことでしょう?」
「例えて言う。化学合成の純粋塩と、岩塩や海水塩では、どちらが美味か?」
「・・・岩塩や海水塩の方が味わい深いでしょうね・・・」
「海藻成分などの、いわば不純物が混じっているからだ」
「そうですね」
「完全無欠な美人も、ただそれだけでは趣が無い。腐敗や発酵のみられる女の方が
よほど味わい深いぞ」
「おっしゃることは判らなくもないですが、難問ですね」
「男を惑わす妖気が漂う『AIアンドロイド』を目指せ。美と醜、そして善と悪、
この両者を併せ持つ、美女にして醜女、善女にして悪女、絶対矛盾の自己同一という
ことだ。これは難しいぞ。純粋にして不純、美女であり、悪女であり、醜女でもある
『AIアンドロイド妖貴妃』を完全な技術制御のもとに誕生させる訳だからな」
「今一つ判りませんが、現代科学の壁を突き破れというころでしょうか?」
「そういうことだ。それが出来てこその天才タケシだ」
怪社長の洗脳に、剛はいよいよ嵌っていく。
「・・・何だか、ゾクゾクしてきました」
「よし。これはまだ着手する余裕はないが、念のために言う。男のアンドロイドは
まだ無視していい」
「どうしてでしょうか?」
「うむ。男女同権というのはもっともだが、男女平等というのは戯言だ。男と女は
別人種と考える方がいい。どちらが上で、どちらが下ということでは無いが。しかし
我が日本国では天皇陛下は男子に限ると定めていて、憲法でそれが国民の総意とされ
ている。これでは反対の者は非国民ということになってしまう」
「はあ・・・・」
「日本は男尊女卑を国是とする全体主義国家と言えるだろう。総意では無いことを
総意だとする欺瞞国家と言ってもいいだろう」
「はあ・・・・」
「これは僕が目指す大革命の根本に関わるが、今日のところはここまでとするか。
ひとまず肝心なのは、僕の短期的な見通しでは女性向けのアンドロイドの需要はそう
多くはない。私は『AIロッキー』が好き、私は『AI道鏡』ので犯られてみたいと
思う女はいても、ロッキーは試したから明日は道鏡とやろうかしらという女はさほど
いない。男は違う。俺はミスワールドを総なめにしたい、マリリンはもう喰ったから
こんどはダイアナを試食したいというのが、大抵の男だ」
「・・・たぶん、そうでしょうね。僕は美久だけで充分ですけど・・・」
「しかし、婚外交渉はもう当たり前で、手あたり次第に男を喰う女さえいる。要は
SEXのレジャー化が急速に進み、女性向けアンドロイドの需要が拡大する可能性も
頭に置いておいた方がいいだろうがね」
「・・・そうかもしれませんね」
「SEX消費社会の神話と構造は大きく変わるぞ。生成AIは古代ギリシャに近い
奴隷制社会をもたらすとも言えるし、逆にホモ・サピエンスが生成AIの奴隷になる
可能性も大いにあるから、その是非は難題だが・・・」
「はあ~・・・」
「・・・少し話が難しくなり過ぎたか?」
「はい」
「しかし、タケシと僕の未来を開くためには、じっくり話した方が良さそうだな。
場所を替え、ひと息入れて続きをやるか」
「はい・・・・」
社長の愛車、ジャガーXJが神楽坂の坂道をゆっくり滑るように登っていく。
また黒塀の料亭で業務上過失をすると美久には秘密にしなくてはいけないことが、
また増えるので剛は緊張していた。絶対に断らなければと。
助手席に座ろうとしたのに、後部座席の荷物を運んでもらうから、そちらに座るよう
言われたことも不気味だった。ほんの30センチ余りの箱なのに、そっと持ち上げて
みると、やたらに重いのだ。
★ ★ ★ ★
「双身歓喜天だ」
「!!!」
お抹茶と上品な和菓子を運んできた料亭の女将が退出した後に、座卓の上に置いた
箱を社長が厳かに開けると現れ出た異形の物体に、剛は肝を潰した。
一体の神のようなものが、逆立ちになったもう一体の神のようなものを抱きしめて
いるのだ。互いの股に顔を埋め合い、神と神がシックスナインをしているように。
「・・・御神体の色艶もなんともいえないだろう?」
「・・・・ええ・・・」
「善男全女が、男の流すものと女の流すものを混ぜ合わせ、磨き立てたのだよ」
「・・・・・」
双身歓喜天はチベットのタントラ密教の秘仏。
タントラ密教とは男女和合によって浄土に行き、成仏できるという秘教。
今でもチベット山中の奥深くには秘密寺院があり、高僧が信者の女とタントラヨガ
で性器と性器を繋げ、女を歓喜に導く秘術を使うという。
怪社長はタントラヨガの秘術を用いて、緑子と麗華を意のままに操れる女と化して
いるのやもしれぬ・・・。
古代中国に伝わると練丹術となる。
女の流す赤いものと男の流す白いものを、女の壺で掻き混ぜると、女の壺が灼熱し
さながら溶鉱炉のようになり、不老不死の丹薬を生じるというものだ。
実際には赤いものとは水銀で、1974年に発掘された馬王堆遺跡の、お妃のミイラは
腐敗を防ぐ水銀成分を含み、さながら生きているような姿であったという。
練丹術は中世西洋に伝わると錬金術となる。
木からリンゴが落下するのを見て万有引力を発見した近代科学の祖、ニュートンも
実は高名な錬金術師でもあった。
日本には弘法大師・空海が伝える。源平争乱を影で操った怪僧・文覚上人によって
真言立川流となる。男女の淫らな行為を至高とする教えは邪教とされ大弾圧を被る。
しかし、隠れキリシタンと同様、隠れ信者はいた。
浅草の待乳山聖天にはその痕跡が残る。
祭礼の日には、二股大根の股と股が擦り付くように組み、それを崇めるのだ。
「双身歓喜天は、僕と君がニ人三脚で目指す『AIアンドロイド』の究極の姿とも
言っていいだろう。最後はタケシと抱合い心中ということになっても何としても実現
したいと、切に願っているんだ」
「はあ~・・・」
「歓喜天の姿は、男神と女神の交わりと見てもいいが男神同士あるいは女神同士の
交わりと見ることも可能だろう。しかし男神でもなく女神でも無いものの交わりだと
見る方がより真に近いと言える。さらに言えば男神でもあり女神でもある両性具有の
神々の交わりと見るのが、最も現代に相応しい解釈だ」
「はあ~・・・」
「生殖と性交の乖離が進む中、性同一性障害に苦しむ人も増え、LGBT、つまり
レズ、ゲイ、バイセク、さらには性転換者・トランスジェンダーも認めるべきという
考えも今や主流になりつつある。トランプのような馬鹿者は妨害にやっきだがな」
「そうですねえ・・・」
怪社長は、もっと剛を折伏するため、一巻の巻物を取り出した。
「これは『三昧耶戒秘事』というものだ」
「はい」
「さっきも言ったが、この秘教は弘法大師・空海が日本に伝えた。比叡山延暦寺の
開祖である伝教大師・最澄が教えを乞うと、余りにも危険な経典なので君には絶対に
教えることは出来ないと冷酷に告げた、いわくつきの経典だがな」
「どんなことが書かれているのですか?」
「十七清浄句というのを読んで、解説を付けてやるから、よく聞け」
「はい」
妙適清浄句是菩薩位
妙適とは性交の快楽を指し、それは清浄な仏の境地ということだ。
欲箭清浄句是菩薩位
欲箭とは、欲望が弓矢のよう早く激しく起こることで、それは清浄な仏の境地だ。
触清浄句是菩薩位
触れあい、抱き合うことで、それも清浄な仏の境地ということだ。
愛縛清浄句是菩薩位
離れがたい心が生じ、互いに縛り合うのも清浄な仏の境地ということだ。
一切自在主清浄句是菩薩位
体を結び、全て自由な主になり、天にも昇る境地になるのも清浄な仏の境地だ。
見清浄句是菩薩位
欲情して相手を見、それを美しいと感じるのも清浄な仏の境地ということだ。
適悦清浄句是菩薩位
適悦、すなわちSEXを実感し、悦ぶことも清浄な仏の境地ということだ。
愛清浄句是菩薩位
全ての愛は、清浄なる仏の境地ということだ。
慢清浄句是菩薩位
自慢する心も清浄なる仏の境地ということだ。
荘厳清浄句是菩薩位
飾り立て悦ぶのも清浄なる仏の境地ということだ。
意滋沢清浄句是菩薩位
SEXだけでなく、心も悦ぶことも清浄な仏の境地ということだ。
光明清浄句是菩薩位
愛を互いに求めることで真実の光を知るのも清浄な仏の境地ということだ。
身楽清浄句是菩薩位
肉欲の満足によって恐怖を忘れ充実感を得たいのも清浄な仏の境地ということだ。
色清浄句是菩薩位
目の当たりにする色も全て清浄なる仏の境地といことだ。
声清浄句是菩薩位
耳にする物音も清浄なる仏の境地ということだ。
香清浄句是菩薩位
此の世の香りも清浄な仏の境地ということだ。
味清浄句是菩薩位
これら全ての境地を体感し、五感で味合うことが清浄な仏の境地ということだ。
「・・・・何だか、尊い教えのような気がしてきました・・・・」
剛は改めて黒光りする双身歓喜天を見詰める。
「このような像を創れということでは無いが、じっくり考えてくれ。では」
第三節 『淫』『乱』誕生
その夜、剛は淫夢に落ちてしまった。
眉間に『淫』『乱』の刺青を刻み込まれた緑子と麗華が、魔物のような男と淫らな
行為に耽っているのである。
魔物が白い間欠泉を噴き上げた。
と同時に、剛も白い間欠泉を噴き上げる。
「・・・どうしたの?お兄ちゃん・・・・エッチな夢でも見たの?」
美久に揺り動かされ、淫夢から覚める。
「・・・あ、ああ・・・・二人の美久とね・・・・」
適当に誤魔化し、白い間欠泉でパンツを汚したまま、美久を抱きしめる。
★ ★ ★ ★
剛は深夜まで研究室に籠る。美久に秘密の画像を見られないよう、施錠して。
美久は、お兄ちゃんの仕事を邪魔しないよう気をつけたが、お兄ちゃんが根を詰め
過ぎるのも心配なので、三日に一度くらいは、手をつないで近くの旧東海道品川宿の
辺りをお散歩した。水戸浪士が井伊大老の首を桜田門外で切り飛ばした際にも、高杉
晋作が率いる長州過激派が英国公使館を焼き討ちした際にも、集結場所とした女郎屋
相模土蔵の辺りは、昔の風情も残っていて、お兄ちゃんも好きだったから。
★ ★ ★ ★
「重要な協議事項とは何だい?」
美久が不在の昼下がり、社長の姿は再び最高層階の研究室にあった。
「双性具有の双身歓喜天のようなものというのは、まだ今ひとつ判りませんけど、
社長のおっしゃる美と醜、善と悪を兼ね備えた『AIアンドロイド』については一つ
試みたいことがありまして・・・」
「ふむ」
「AI緑子とAI麗華の綺麗な顔を敢えて穢してみたらと」
「・・・・面白そうだな。具体的にはどうするつもりだ?」
「二人の眉間に『淫』と『乱』の刺青を刻んでみようかと」
「よし。やってみろ」
「画像で御覧いただく方が早いと思って、すでにやっております。御覧くだい」
モニター画面に『AI淫』と化した緑子、『AI乱』と化した麗華が現れる。
「・・・ほんの1センチほどの刺青で、こうまで変わるとは!」
社長に異存はない。
「そうだな、乳房に毒蛇が咬みついた『AIクレオパトラ』とか、さまざな展開が
できるな・・・・マリーアントワネットはギロチンで首を切り飛ばされた訳だから、
全身を血のような赤薔薇で飾ってみるか。楊貴妃は玄宗帝と湯舟でエッチをしている
最中に反乱軍に襲撃されて、皇帝の面前で輪姦の末に殺された訳だから、背中一面に
憤怒の形相も凄まじい大威徳明王でも彫り込んでやるか・・・」
「判りました。いろいろやってみます」
「うむ。究極のAIアンドロイドが、両性具有の、男でもあり、女でもある、存在
ということを忘れるなよ。緑子には海外の最新情報を集めさせているが、生成AIの
進捗は急速だからな。まだ映像ソフトに止まっているが、米・中それに韓国のポルノ
業界も、両性具有というか、いわゆるシーメイルものを続々と制作して、闇サイトの
アクセス数も急カーブで伸びているようだな。二、三、僕もチェックをしてみたが、
中々見事な出来映えだ。うっかりするとAIアンドロイドも、只の慰み者に過ぎない
セックスドールということになる恐れさえある。僕がタケシとやろうとしているのは
ポルノでぼろ儲けをしようなどということではなく、生成AIアンドロイドを先兵と
して、ホモ・サピエンス社会に大変革を起こすということを忘れるなよ」
「はい・・・・いろいろ考えてみます・・・・・」
こうして剛が美久に重い秘密を抱えながらもAIアンドロイドに邁進している中で
ポルノの女帝と天才AI青年、二十五年前に生まれ、二十三年間いちども顔を合せた
ことの無い、母と子の距離が一気に縮まろうとしていた。
怪社長と、壺中庵淫斎によって・・・・・。
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