召喚魔法使いの旅

第87話

　昼食後に今日の午後の授業は剣術や行ってみようと思っている召喚魔法の授業はないのでどうしようかと授業が載っている紙を見ながら悩んで今日は武闘術の授業に決めるとさっそく授業をやる武術第四訓練所に向かう

　まだ授業の開始する時間には早いからか生徒は少なかった。そんな中でアルは昨日の剣術の授業の様にすぐに身体を動かす様な授業だといけないので身体を動かして温めていると授業の時間が迫って生徒も増え始めた

　授業が始まると剣術の授業と同じで最初は訓練所の中を走ることから始まった。その後は格闘技術がある者は模擬戦をない者は武術を一から教える様だ

　アルはある程度は知識もあり形稽古を一人で行なっていたこともあり模擬戦の方に向かい模擬戦を行なった

　「一年二組のヤムンだ」

　「一年一組のアル」

　最初の模擬戦の相手は同じ一年生の二組の生徒だった。アルよりも背が高く体格が良いヤムンはアルが一組だと知ると敵意を剥き出しにしている

　「一組の奴だろうと負けない！」

　「始めてもいいか？」

　「大丈夫です」

　「早くしてください！！」

　「……始め！」

　審判役の二年生が始めてもいいかと聞くとヤムンはアルに敵意を剥き出しで大きな声でそう言うと審判役の二年生はむっとした顔をしたがすぐに元の顔に戻して合図を出した

　この授業でも闘気や魔力は使用禁止で体格がアルよりも大きなヤムンが有利だ。ヤムンの大振りのパンチを躱したアルはガラ空きの横腹に向かい蹴りを繰り出す

　「ぐっ……うぉおお！！」

　横腹に食らった蹴りに耐えたヤムンは叫び自身を鼓舞すると今度は先ほどと違い大振りにせずに連続で打撃攻撃をアルに行なう

　闘気や魔力での強化をしていない今のアルでは体格の良いヤムンの攻撃を何度も受けるのは得策ではないと回避を主体にして時々反撃の一撃をするがそれに耐えてヤムンは攻撃を続ける

　「はぁ、はぁ、お前の攻撃は俺には効かないぞぉ！！」

　最初の頃よりもアルからの攻撃を受けて鈍くなり始めているが殺気だっているヤムンは気が付いていなさそうだ

　訓練所を走った疲労もある中での攻防でアルも体力を消費しているがヤムンの方が消耗しているのか激しく息を荒げている

　「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

　「こちらから行くぞ！」

　疲れて会話も出来そうにないヤムンに向かい今度はアルの方から攻撃を与えていく。ヤムンはアルからの攻撃を捌こうとしているがそれは出来なくどんどん攻撃を受けてふらふらとしてヤムンは倒れる

　「そこまで！相手から離れてくれ！」

　「分かりました…………ふぅ、疲れた」

　そんな中で審判の制止がありアルはヤムンから離れると息を整えて体力の回復に努める

　他の模擬戦を見ていくと最初の模擬戦が同じ一年生でよかったと思うくらいどの生徒も先ほどのヤムンとは違い強そうだ

　その後、気絶していたヤムンを審判役をしていた上級生の生徒と共に壁際まで運ぶと他の模擬戦が終わるまで身体を休める

　この授業でも剣術の授業の時のモームの様な凄いと思える様な上級生が二人もいて休憩中にその動きや技術を観察して少しでも自身の物に変えようと観察していると模擬戦が終了した

　その後、アルはこの授業中の模擬戦で身体中が悲鳴を上げるくらいのダメージを受けながら相手にも同じくらいのダメージを与えて授業を終えた

　その際に相手をしていたのは二年生の上級生だったが一方的にやられないくらいの技量の相手で身体中が痛いが良い経験を貯めたと思う

　身体の傷自体は武術訓練所に備えられている治療室で治癒してもらえるがアルは自分で傷を回復すると武術訓練所から出て寮に帰った

　その帰り道で今日の模擬戦の時に観察した上級生の動きを思い出しながら今の自分でどうやって戦うのかを考えていると寮に着いた