38 / 45
閑話 狡兎死して走狗烹らる①
しおりを挟む
クロがとうとうやらかしやがった。
二、三日連絡が途絶え、とうとう野垂れ死んだかと思えばクロの携帯電話から着信があった。掛けてきたのはクロではなく知らねえオッサンで、これまた知らねえ場所に呼び出された。
オレが向かったのは、北京郊外にある高級住宅地だ。整備された道路の脇に西洋風の建築が軒を連ねる。
ハリウッド映画に出てきそうな高尺の鋳物フェンスの向こうには玄関に車をつけるためのロータリーがある。そこを無遠慮に縦断し、玄関の前に立つ用心棒に声を掛ければ重厚なマホガニーの扉が観音開きになった。黒服の用心棒たちの殺気をひしひしとかんじながら扉を潜る。
鏡の様に磨かれた廊下を安物の革靴で歩き応接室に通される。ただのチンピラに大層なお出迎えなこった。
「掛けたまえ」
オレの目の前で優雅に足を組むのは、壮年の男だった。黒いスーツを纏う体躯は華奢だが丸いサングラスの下から覗く眼光は鋭い。銀の髪を太目の弁髪に結い、剃った側頭部には龍の刺青が入っている。
名を銀龍と言う。
この辺で幅を利かせている武器商人だ。元香港マフィアの幹部で武器の輸送をしていて、年を取ってから武器の売買に特化した華龍会という組織を立ち上げた。この世界の古株なだけあって、あちこちのワルに貸しを作りまくっていて警察もおいそれと手を出せないとか。
なかなかの大物だ。
クロは運び屋から荷を奪う仕事を請け負った。しかし、その奪い取った武器はこの怪物のとこに行く予定の物で、クロはあっさりとっ捕まった。藪を突いたら蛇どころか龍が出てきやがったわけだ。野良犬が敵う相手じゃあない。
「お招きどうも。それで、うちのイヌは?」
背後でドサリと音がした。高そうな絨毯とオレの靴の先に血痕が散る。心臓が跳ね、空気に緊張感が漲る。
振り返れば、腕を拘束され血塗れになったクロが床に転がっていた。両腕を背中に回してベルトで固定され、ボサボサの髪には乾いた血糊が絡まっている。拷問を受けたのが一目で分かった。
あーあーなにやってんだか。依頼主の言いなりになっているだけだからこうなるんだ。というか、そもそも生きてんのかコイツ。
「さて、飼い主にも責任を取ってもらわないとね」
銀龍は青みがかった茶色い目を細め頬の傷跡を歪めた。目元も口元も弧を描くが、本心ではまったく笑っていないことが窺える。
「・・・っ・・・な・・・」
足元に掠れた声が這った。死人のように動かなかったクロは腫れた顔を上げ、銀龍を切れ長の目で射抜く。
「ベニヒコに、手ェ出すなっ・・・俺の獲物だっ・・・!」
クロは歯を剥いて威嚇する。
銀龍は吹き出した。喉を鳴らして笑いながら肩を震わせる。
「今はなかなか見ないタイプの子だね、私の若い頃に少し似ている。こんな狂犬をよく飼い慣らせたものだよ」
「それで、本題は?」
「"虫"退治かな。獅子身中の虫というやつだ」
内部に裏切り者がいるというわけか。でっかい龍の腹ワタを食い荒らす害虫が。
「私の知らないところでうちの商品が流れていっているんだよ」
「クロの依頼主も、その仲間だと?」
「君は賢いね。しかしハズレだった。依頼主も別の誰かに依頼されたようだね」
何人も仲介を挟んで、出どころを分からなくしているな。用心深いヤツだ。
「報酬は?」
「命があるだけでもありがたいと思いたまえ。だがまあ、これを持っているといい」
銀龍は小刀と拳銃を渡してきた。持ち手に龍の刻印が入っている。
「私の仲間が持っているものだよ。警察やその辺のゴロツキはよほど手を出せないはずだ。北京の××というモーテルや店でも融通を利かせてくれる」
「気前がいいこったな」
「仕事が終わったら返してもらうよ」
中を探るには仲間のフリして持っていた方が便利そうだな。
それにしてもタダ働きかよ。全部クロのせいだ。だがいつまでもここに転がして置くわけにもいかない。小刀でベルトを切り拘束を外す。クロは飛び起き、銀龍に掴みかかろうとする。
オイオイせっかく首の皮一枚繋がったってのにこの馬鹿!
しかし、クロの手は空を切った。銀龍は視界から消えたかと思えば、クロの襟を掴んで床に叩きつけた。ダメ押しに背中に乗り上げ膝で押さえつける。
どうなってんだよ、初動が速すぎて見えなかったぞ。若い頃はゴリゴリの武闘派だったってのは本当らしい。
「いい子だから大人しくしていなさい。本当に死んでしまうよ」
銀龍はすっくと立ち上がると、何事もなかったかの様に立ち去った。
銀龍が言っていたホテルは、いつも使っているところより少しいい部屋だった。そこまで移動する白タクにさえ竜の代紋は通用した。こうなったらあのオッサンの威光をとことん利用してやる。
部屋に入るとクロを真っ先に風呂場に突っ込んでやった。血糊や垢に塗れて酷い有様だったからな。クロは文句を言っていたが、五体満足とは本当に運の良いヤツだ。ふらふらでも自力で歩けるならなんとかなるだろ。
しかし、次の日からクロは使い物にならなかった。熱を出し、アバラが折れているのか咳をするたび痛みに呻いていた。眠れなかったらしくずっとうつらうつらしている。呼んでも淀んだ目をこちらに寄越すだけだ。
しばらく独りで動くことになりそうだ。
いつもの情報屋の元に訪れた。この辺じゃ珍しい人種で、性格も扱いづらいが情報は確かだ。探りを入れると、欧州のそこそこ性能の良い銃器が入って来ているらしい。
それらは現地にいる華龍会のヤツらによって部品にバラされ、中国に来た後組み立てられる。組み立てをするのはドイツやフランスの職人たちだ。金に困った現地の人間を調達しているとか。どこの世界にもカネに汚ねえ人間はいるものだ。
これ以上の情報を得るにも金がかかるっていうんだからな。
今日はこれくらいで切り上げ、明日からは足で探すことにした。
ホテルに帰るとクロは死んだように眠っていた。
翌日になってもピクリとも動かず、生きてんのか確かめたほどだ。
ホテルは空調が整っているし、水も滞りなく水道から出てくる。放っておいても死にはしないだろ。
この日は華龍会の武器を作っている工房を探ることにした。
北京の外資系企業に華龍会の末端構成員がいるという。華龍会は会社員に屋台の店主、タクシーの運転手とオモテの仕事をしているヤツらが少なくない。
オフィス街から離れた場末の食堂で、ソイツは身を隠す草食動物のように息を潜めて座っていた。一重瞼に隠れた目は、キョロキョロと忙しなく周りを警戒している。
「会社にはバラさないでくださいよ」
そいつは日本人だった。
金属製の部品を架空の会社を通して華龍会に売り捌いている。マカオでカジノ遊びを覚えて首が回らなくなり、それで華龍会に目をつけられた間抜けだ。
コイツのように半ば無理矢理仲間にされた人間も少なくないらしい。組織に反発するヤツらが結託し、ことを起こしているセンが考えられる。
だが、オレのようなチンピラが少し調べただけで炙り出されてしまうようならとっくに組織の中で片がついているはずだ。まだ何かありそうだな。
武器の工房の場所を聞いてみるも、その場所は組織のごく一部の人間にしか知らされていないらしい。下っ端じゃあこんなものか。
情報料は口止め料と相殺した。だがまあ、同じ日本人同士のよしみだ。コイツに酒を一杯くらい奢らせてもバチは当たらないだろう。
次の日、華龍会の武器を扱っている業者に会いに駅に向かう途中、携帯電話に着信が入った。
クロからだった。
『今どこですか』
ピンピンしてんじゃねえか。飼い主を働かせておいて一番に言うことがソレかよ。
「駅に向かっている。華龍会の業者んとこにな」
『無駄ですよ、今すぐ銀龍のアジトに向かってください』
「ああ゛?テメエ飼い主に向かって」
『アンタは馬鹿か』
は?なんだコイツ。目の前にいたらぶん殴ってたぞ。
『アイツは銀龍じゃない』
スッと怒りが引っ込んだ。どういうことだ?
『屋敷にいたヤツらは皆、ただの"害虫"ですよ』
ーーーーーーーーーー
そもそも、俺が受けた依頼は運び屋から荷物を奪う仕事じゃない。運び屋の護衛だ。
北京郊外の華龍会の工房に部品を運ぶ途中、襲撃に遭い荷物は全部奪われた。運び屋は始末されたのに、なんで俺を殺さなかったのかは後で分かった。俺を痛めつけてた野郎が調子良く喋っていた。
俺を、武器を奪った犯人に仕立てあげるためだ。次のターゲットはベニヒコだった。武器を横流しする裏切り者に仕立てるために。
工房には消えた武器がたんまり置いてあるはずだ。あのまま業者の元に向かっていたら工房に案内され、裏切り者として殺されていただろう。
まあ運び込んだだけならメンテの為に持ってきたとか言い訳が立つが、ベニヒコに渡された龍の刻印の入った武器は殺された運び屋のものだ。
仲間殺しとして消されていた。
そう、あの武器を渡してきた、銀龍でさえ偽物だったということだ。
「お前ナニモンだよ」
見張りの用心棒たちの死体と、血に染まった廊下を背にベニヒコは言った。
銀龍は不敵な笑みを浮かべたまま、シミひとつないスーツを纏って佇んでいる。
もちろんこの景色を作ったのは俺たちだ。黒服の1人を締め上げ、武器の隠し場所を吐かせ屋敷中に鉛玉をばら撒いてやった。
もちろんこのオッサンにもぶち込んでやろうと思ったが、スタントマンもかくやという動きで身を隠したり避けたりして弾切れまで逃げ切りやがった。
「やだなあ、君たちもよく知っているはずだよ?」
若い男の声が筋張った喉から出てきた。銀龍は顔を覆うように丸いサングラスを取り、俺たちに顔を向ける。
壮年の面差しは消えていた。
その顔の持ち主はーーーーーーーー
二、三日連絡が途絶え、とうとう野垂れ死んだかと思えばクロの携帯電話から着信があった。掛けてきたのはクロではなく知らねえオッサンで、これまた知らねえ場所に呼び出された。
オレが向かったのは、北京郊外にある高級住宅地だ。整備された道路の脇に西洋風の建築が軒を連ねる。
ハリウッド映画に出てきそうな高尺の鋳物フェンスの向こうには玄関に車をつけるためのロータリーがある。そこを無遠慮に縦断し、玄関の前に立つ用心棒に声を掛ければ重厚なマホガニーの扉が観音開きになった。黒服の用心棒たちの殺気をひしひしとかんじながら扉を潜る。
鏡の様に磨かれた廊下を安物の革靴で歩き応接室に通される。ただのチンピラに大層なお出迎えなこった。
「掛けたまえ」
オレの目の前で優雅に足を組むのは、壮年の男だった。黒いスーツを纏う体躯は華奢だが丸いサングラスの下から覗く眼光は鋭い。銀の髪を太目の弁髪に結い、剃った側頭部には龍の刺青が入っている。
名を銀龍と言う。
この辺で幅を利かせている武器商人だ。元香港マフィアの幹部で武器の輸送をしていて、年を取ってから武器の売買に特化した華龍会という組織を立ち上げた。この世界の古株なだけあって、あちこちのワルに貸しを作りまくっていて警察もおいそれと手を出せないとか。
なかなかの大物だ。
クロは運び屋から荷を奪う仕事を請け負った。しかし、その奪い取った武器はこの怪物のとこに行く予定の物で、クロはあっさりとっ捕まった。藪を突いたら蛇どころか龍が出てきやがったわけだ。野良犬が敵う相手じゃあない。
「お招きどうも。それで、うちのイヌは?」
背後でドサリと音がした。高そうな絨毯とオレの靴の先に血痕が散る。心臓が跳ね、空気に緊張感が漲る。
振り返れば、腕を拘束され血塗れになったクロが床に転がっていた。両腕を背中に回してベルトで固定され、ボサボサの髪には乾いた血糊が絡まっている。拷問を受けたのが一目で分かった。
あーあーなにやってんだか。依頼主の言いなりになっているだけだからこうなるんだ。というか、そもそも生きてんのかコイツ。
「さて、飼い主にも責任を取ってもらわないとね」
銀龍は青みがかった茶色い目を細め頬の傷跡を歪めた。目元も口元も弧を描くが、本心ではまったく笑っていないことが窺える。
「・・・っ・・・な・・・」
足元に掠れた声が這った。死人のように動かなかったクロは腫れた顔を上げ、銀龍を切れ長の目で射抜く。
「ベニヒコに、手ェ出すなっ・・・俺の獲物だっ・・・!」
クロは歯を剥いて威嚇する。
銀龍は吹き出した。喉を鳴らして笑いながら肩を震わせる。
「今はなかなか見ないタイプの子だね、私の若い頃に少し似ている。こんな狂犬をよく飼い慣らせたものだよ」
「それで、本題は?」
「"虫"退治かな。獅子身中の虫というやつだ」
内部に裏切り者がいるというわけか。でっかい龍の腹ワタを食い荒らす害虫が。
「私の知らないところでうちの商品が流れていっているんだよ」
「クロの依頼主も、その仲間だと?」
「君は賢いね。しかしハズレだった。依頼主も別の誰かに依頼されたようだね」
何人も仲介を挟んで、出どころを分からなくしているな。用心深いヤツだ。
「報酬は?」
「命があるだけでもありがたいと思いたまえ。だがまあ、これを持っているといい」
銀龍は小刀と拳銃を渡してきた。持ち手に龍の刻印が入っている。
「私の仲間が持っているものだよ。警察やその辺のゴロツキはよほど手を出せないはずだ。北京の××というモーテルや店でも融通を利かせてくれる」
「気前がいいこったな」
「仕事が終わったら返してもらうよ」
中を探るには仲間のフリして持っていた方が便利そうだな。
それにしてもタダ働きかよ。全部クロのせいだ。だがいつまでもここに転がして置くわけにもいかない。小刀でベルトを切り拘束を外す。クロは飛び起き、銀龍に掴みかかろうとする。
オイオイせっかく首の皮一枚繋がったってのにこの馬鹿!
しかし、クロの手は空を切った。銀龍は視界から消えたかと思えば、クロの襟を掴んで床に叩きつけた。ダメ押しに背中に乗り上げ膝で押さえつける。
どうなってんだよ、初動が速すぎて見えなかったぞ。若い頃はゴリゴリの武闘派だったってのは本当らしい。
「いい子だから大人しくしていなさい。本当に死んでしまうよ」
銀龍はすっくと立ち上がると、何事もなかったかの様に立ち去った。
銀龍が言っていたホテルは、いつも使っているところより少しいい部屋だった。そこまで移動する白タクにさえ竜の代紋は通用した。こうなったらあのオッサンの威光をとことん利用してやる。
部屋に入るとクロを真っ先に風呂場に突っ込んでやった。血糊や垢に塗れて酷い有様だったからな。クロは文句を言っていたが、五体満足とは本当に運の良いヤツだ。ふらふらでも自力で歩けるならなんとかなるだろ。
しかし、次の日からクロは使い物にならなかった。熱を出し、アバラが折れているのか咳をするたび痛みに呻いていた。眠れなかったらしくずっとうつらうつらしている。呼んでも淀んだ目をこちらに寄越すだけだ。
しばらく独りで動くことになりそうだ。
いつもの情報屋の元に訪れた。この辺じゃ珍しい人種で、性格も扱いづらいが情報は確かだ。探りを入れると、欧州のそこそこ性能の良い銃器が入って来ているらしい。
それらは現地にいる華龍会のヤツらによって部品にバラされ、中国に来た後組み立てられる。組み立てをするのはドイツやフランスの職人たちだ。金に困った現地の人間を調達しているとか。どこの世界にもカネに汚ねえ人間はいるものだ。
これ以上の情報を得るにも金がかかるっていうんだからな。
今日はこれくらいで切り上げ、明日からは足で探すことにした。
ホテルに帰るとクロは死んだように眠っていた。
翌日になってもピクリとも動かず、生きてんのか確かめたほどだ。
ホテルは空調が整っているし、水も滞りなく水道から出てくる。放っておいても死にはしないだろ。
この日は華龍会の武器を作っている工房を探ることにした。
北京の外資系企業に華龍会の末端構成員がいるという。華龍会は会社員に屋台の店主、タクシーの運転手とオモテの仕事をしているヤツらが少なくない。
オフィス街から離れた場末の食堂で、ソイツは身を隠す草食動物のように息を潜めて座っていた。一重瞼に隠れた目は、キョロキョロと忙しなく周りを警戒している。
「会社にはバラさないでくださいよ」
そいつは日本人だった。
金属製の部品を架空の会社を通して華龍会に売り捌いている。マカオでカジノ遊びを覚えて首が回らなくなり、それで華龍会に目をつけられた間抜けだ。
コイツのように半ば無理矢理仲間にされた人間も少なくないらしい。組織に反発するヤツらが結託し、ことを起こしているセンが考えられる。
だが、オレのようなチンピラが少し調べただけで炙り出されてしまうようならとっくに組織の中で片がついているはずだ。まだ何かありそうだな。
武器の工房の場所を聞いてみるも、その場所は組織のごく一部の人間にしか知らされていないらしい。下っ端じゃあこんなものか。
情報料は口止め料と相殺した。だがまあ、同じ日本人同士のよしみだ。コイツに酒を一杯くらい奢らせてもバチは当たらないだろう。
次の日、華龍会の武器を扱っている業者に会いに駅に向かう途中、携帯電話に着信が入った。
クロからだった。
『今どこですか』
ピンピンしてんじゃねえか。飼い主を働かせておいて一番に言うことがソレかよ。
「駅に向かっている。華龍会の業者んとこにな」
『無駄ですよ、今すぐ銀龍のアジトに向かってください』
「ああ゛?テメエ飼い主に向かって」
『アンタは馬鹿か』
は?なんだコイツ。目の前にいたらぶん殴ってたぞ。
『アイツは銀龍じゃない』
スッと怒りが引っ込んだ。どういうことだ?
『屋敷にいたヤツらは皆、ただの"害虫"ですよ』
ーーーーーーーーーー
そもそも、俺が受けた依頼は運び屋から荷物を奪う仕事じゃない。運び屋の護衛だ。
北京郊外の華龍会の工房に部品を運ぶ途中、襲撃に遭い荷物は全部奪われた。運び屋は始末されたのに、なんで俺を殺さなかったのかは後で分かった。俺を痛めつけてた野郎が調子良く喋っていた。
俺を、武器を奪った犯人に仕立てあげるためだ。次のターゲットはベニヒコだった。武器を横流しする裏切り者に仕立てるために。
工房には消えた武器がたんまり置いてあるはずだ。あのまま業者の元に向かっていたら工房に案内され、裏切り者として殺されていただろう。
まあ運び込んだだけならメンテの為に持ってきたとか言い訳が立つが、ベニヒコに渡された龍の刻印の入った武器は殺された運び屋のものだ。
仲間殺しとして消されていた。
そう、あの武器を渡してきた、銀龍でさえ偽物だったということだ。
「お前ナニモンだよ」
見張りの用心棒たちの死体と、血に染まった廊下を背にベニヒコは言った。
銀龍は不敵な笑みを浮かべたまま、シミひとつないスーツを纏って佇んでいる。
もちろんこの景色を作ったのは俺たちだ。黒服の1人を締め上げ、武器の隠し場所を吐かせ屋敷中に鉛玉をばら撒いてやった。
もちろんこのオッサンにもぶち込んでやろうと思ったが、スタントマンもかくやという動きで身を隠したり避けたりして弾切れまで逃げ切りやがった。
「やだなあ、君たちもよく知っているはずだよ?」
若い男の声が筋張った喉から出てきた。銀龍は顔を覆うように丸いサングラスを取り、俺たちに顔を向ける。
壮年の面差しは消えていた。
その顔の持ち主はーーーーーーーー
0
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
【完結】兄さん、✕✕✕✕✕✕✕✕
亜依流.@.@
BL
「兄さん、会いたかった」
夏樹にとって、義弟の蓮は不気味だった。
6年間の空白を経て再開する2人。突如始まった同棲性活と共に、夏樹の「いつも通り」は狂い始め·····。
過去の回想と現在を行き来します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる