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第四章 七変化
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夕餉時、志瑞也は蒼万の顔をまともに見れず、何を食べても味がしなかった。この後柊虎と蒼万の三人で話をすることになり、柊虎が来るまで蒼万と二人っきりになるのではと、重い足取りで蒼万の自室に向かうも、途中でうろうろしていた。
「志瑞也!」
「柊虎…」
思わずほっとしてしまう。
「浮かない顔だな、どうした?」
「なっ何でもないよ…」
取り繕って微笑み顔を横に振る。
「…そうか」
二人は蒼万の自室へ向かった。
柊虎が戸の前で声をかける。
「蒼万私だ、志瑞也も一緒だ」
「入れ」
戸が「スーッ」と開く。
志瑞也は不思議に思いながら、柊虎と部屋の中に入る。糸か縄で仕掛けがあるかのように、再び戸は勝手に閉まった。
「部屋に術をかけたのか?」
「話が漏れないようにだ」
柊虎は納得したように頷く。
志瑞也はこんな術もあるのかと、椅子に座る蒼万を見ると、机に置かれた片手の人差し指がわずかに動いていた。恐らくあの指の動きが、戸の開閉と連動しているのだと理解はできたが、柊虎と蒼万の雰囲気に違和感を感じ、二人をきょろきょろと見る。
「椅子は二つしかない、志瑞也はここに座れ」
言いながら、蒼万が側の寝床を目で差す。
「…わかった」
志瑞也はぎこちない動きで寝床に座る。
「血の事とは?」
「蒼万、その前に確認したい事がある」
「何だ」
「お前は黄虎の前で、神獣を出した事があるのか?」
「一度だけある」
…え?
志瑞也は〝血の事〟で反応したが、柊虎の質問の内容の方にもっと驚いた。
「今日黄虎が志瑞也の腕を見て、妖魔に襲われた傷痕だと言ったのだ、それは以前に、見た覚えのある者しか分からない、お前達は今まで互いの事実を黙っていたのか?」
「そうだ」
「わかった、本題に入るぞ」
二人が何の話をしているのさっぱりだ。止めに入りたい気持ちを抑え、脳内を掻き回し整理する。蒼万の神獣のことを、柊虎と黄虎は知っている。だが、昨日まで柊虎は知らなかったはずだ。取り敢えず今は、話に集中することにした。
「黄虎はお前に黄怜を任せた後、急ぎ中央宮に戻ったそうだ、そこで黄怜の血の付いた衣を、九虎様が証拠を消す為と全部燃やしたらしいのだが、明らかにおかしいと思うのだ」
「何故九虎様が?」
「黄虎の話しだと……」
柊虎は黄虎から聞いた事を全て話した。
「それってっ、黄怜はっ義理のばぁちゃんに殺されたのか⁉︎」
志瑞也は寝床から立ち上がる。
「それはまだ証拠がないのだよ、黄虎は話の一部しか聞いていない」
「落ち着け、座るのだ」
「……」
蒼万に言われ志瑞也は黙って座る。
「お前は全部話したのか?」
「いいや、黄虎は黄怜が女だったとは知らない、自分が救えなかったと、かなり抱え込んでいた。しかも十七の時から心の病を患ってもいる。志瑞也のことは何も話してないが、あいつも十分苦しんでいるのだ、もしや力になってくれるかもしれない…」
「駄目だ、身内が関わっているなら尚更だ」
「蒼万、全ては話さない」
「利用するのか?」
「…そう聞こえるかもしれないが、私と同様、いや私以上に、あいつには黄怜への贖いが必要なのだよ。場合によっては志瑞也のことを話すつもりだった… だが話せなかったよ、知ったら今よりもっと、苦しむ気がしてな…」
さすがにこれ以上は疑問だらけになる。そもそも、話を三人でするのに、これでは三人ではなく二人だ、それをこの二人は分かっているのだろうか。いくら知らない事が多いとはいえ、自分の事を話されているのに謎だらけでは意味がない、軽く右手を上げて尋ねる。
「あのさ、ちょっと質問なんだけど、柊虎は何で蒼万の青ちゃんや、黄怜が女って知っているんだ?」
柊虎は食い付いてしまう。
「青…ちゃん?」
「私が昨夜話した」
「…そっか」
柊虎は志瑞也を見て頷く。
蒼万の言葉は、一を知って十を知らなければならない。だが、実に的確でもある。共に過ごす間に、多少は身に付けたのだ。これは「お前が寝ている間に聞かれた事を話し合った」そう言っているのだ。それならと、柊虎に色々聞きたいこともあるが、蒼万の前では聞きづらい、志瑞也は別のことを聞くことにした。
「柊虎、黄虎は黄怜の従弟だよな?」
「あぁ姉弟のように仲が良かった、いや姉弟同然だったよ。これから中央宮の内情を調べるとなれば、黄虎が適任だとっ」
「駄目だ」
「蒼万…」
「俺はいいと思う。だって、黄虎ずっと苦しんでいるんだろ?」
柊虎は頷く。
「自分のせいで従姉が死んだって、一生引きずってほしくないんだ、そりゃあ知らない方がいい事もあるよ、でも黄虎は今も知らなくて苦しんでいるんだろ? それならちゃんと知って苦しんだ方が、今よりも楽になれるんじゃないかな? 俺はそう思うし、黄怜もそう思うんじゃないかな?」
そう言って、志瑞也はにっこり微笑む。
「志瑞也…」
見つめる柊虎の視線に、蒼万は眉間に皺を寄せる。
「柊虎っ」
「あっ、あぁ…」
柊虎は視線を蒼万へ戻すも、何を言いたいのかは明白な目付きだった。
「黄虎のことはお前に任せる、だが志瑞也とは会わさない」
「何でだよっ」
「わかった」
「柊虎までっ…」
「志瑞也、黄虎は今事と身内との間に挟まれているのだ、更に君の存在を知ってしまったら、君を守るため今度は自分を犠牲にしかねない、黄虎にとって、今は『知らない方がいい事』だよ」
柊虎が志瑞也を見て頷き蒼万も頷く。
「わかった、二人って結構仲良しなんだなアハハ 二人で夜話合ったり、考えが言わなくても同じだったりさ。蒼万には友達がいないと思っていたけど、ちゃんといるじゃんアハハハ、あ…」
つい本音を言ってしまい、見ると蒼万は険しい顔をして柊虎は笑っていた。
柊虎が言う。
「話を戻すが、妖魔を操っているのが九虎様だとして、証拠を見つけるにはどうやって調べるのだ?」
二人が考え込んでるのを見て、やっと話し合いの意味を成す時だと、志瑞也は意見を述べる。
「あのさ、黄怜のばぁちゃんやお母さんと、一度会って話せないかな? 二人共なんか霊力とか凄いんだろ?」
「しかし今中央宮に行くのは…」
「向こうも下手には動け…」
柊虎が首を傾げ、蒼万が険しい顔をするも、同時にぱっと目を合わせる。
「黄虎だ!」
「黄虎だ」
志瑞也は目が点になり可笑しくなる。だが、この後から志瑞也はまた蚊帳の外となる。
蒼万が言う。
「北宮なら里帰りとして口実ができる」
「そうだな、できればお二人揃った方がよいが、玄華様だけでも来ていただければ」
二人は「よし」と目で頷き柊虎が言う。
「黄虎にはどう託けを頼むのだ?」
「お前の名で私が文を書く、玄華様なら私だと気付く」
「わかった」
柊虎が頷くと蒼万は椅子から立ち上がり、棚の引き出しから紙と筆と墨を取り出し、椅子に戻り文を書きだした。
柊虎が尋ねる。
「落ち合い場所は?」
「…女宿だ」
「わかった」
二人は阿吽の呼吸で計画を立てていく。
志瑞也は胡座を組んで、頬杖を突きながら二人を眺めていた。さすがに土地勘は頭に入ってなく、口を挟める内容ではない。だが、見ていて心地良かった。蒼万に意思疎通は無理だと思っていたが、意外な一面を見れて微笑まずにはいられない。柊虎のお陰で蒼万との気まずさが紛れ、これから三人なら、もやもやと悩まずに済むと安堵した。
蒼万は文を書き終え、折りたたみ柊虎に渡す。
柊虎は文を懐に入れながら尋ねる。
「いつ発つ?」
「明日」
「私は黄虎に文を渡してから、少し様子を見ようと思う…明後日には発つよ」
え?
「柊虎も一緒じゃないのかっ?」
思わず言ってしまった。
「…何故」
やはり、身体は反応を覚えるのが早い。蒼万に横目で見られ、反射的に右腕を掴んでしまい、ばっと離すも明らかに不自然な行動を取ってしまう。蒼万に見られているかと思うと、視線を合わせないよう避けた。
「ハハハ私も一緒が良いか?」
「にっ、人数が多い方が… 楽しいかなって思っただけだよアハハ 柊虎、黄虎のこと宜しくな」
「わかった」
「あっ明日出発するならっ、俺支度しないといけないから、先に部屋に戻るよっ、柊虎それじゃ」
志瑞也は立ち上がり戸に向かう。
「志瑞也」
蒼万が呼び止め「パチン」と指を弾いて言う。
「後から行く」
今ので術を解いたのだろう。志瑞也は蒼万と目を合わさず、黙って頷き戸を開け部屋から出て行った。
「志瑞也!」
「柊虎…」
思わずほっとしてしまう。
「浮かない顔だな、どうした?」
「なっ何でもないよ…」
取り繕って微笑み顔を横に振る。
「…そうか」
二人は蒼万の自室へ向かった。
柊虎が戸の前で声をかける。
「蒼万私だ、志瑞也も一緒だ」
「入れ」
戸が「スーッ」と開く。
志瑞也は不思議に思いながら、柊虎と部屋の中に入る。糸か縄で仕掛けがあるかのように、再び戸は勝手に閉まった。
「部屋に術をかけたのか?」
「話が漏れないようにだ」
柊虎は納得したように頷く。
志瑞也はこんな術もあるのかと、椅子に座る蒼万を見ると、机に置かれた片手の人差し指がわずかに動いていた。恐らくあの指の動きが、戸の開閉と連動しているのだと理解はできたが、柊虎と蒼万の雰囲気に違和感を感じ、二人をきょろきょろと見る。
「椅子は二つしかない、志瑞也はここに座れ」
言いながら、蒼万が側の寝床を目で差す。
「…わかった」
志瑞也はぎこちない動きで寝床に座る。
「血の事とは?」
「蒼万、その前に確認したい事がある」
「何だ」
「お前は黄虎の前で、神獣を出した事があるのか?」
「一度だけある」
…え?
志瑞也は〝血の事〟で反応したが、柊虎の質問の内容の方にもっと驚いた。
「今日黄虎が志瑞也の腕を見て、妖魔に襲われた傷痕だと言ったのだ、それは以前に、見た覚えのある者しか分からない、お前達は今まで互いの事実を黙っていたのか?」
「そうだ」
「わかった、本題に入るぞ」
二人が何の話をしているのさっぱりだ。止めに入りたい気持ちを抑え、脳内を掻き回し整理する。蒼万の神獣のことを、柊虎と黄虎は知っている。だが、昨日まで柊虎は知らなかったはずだ。取り敢えず今は、話に集中することにした。
「黄虎はお前に黄怜を任せた後、急ぎ中央宮に戻ったそうだ、そこで黄怜の血の付いた衣を、九虎様が証拠を消す為と全部燃やしたらしいのだが、明らかにおかしいと思うのだ」
「何故九虎様が?」
「黄虎の話しだと……」
柊虎は黄虎から聞いた事を全て話した。
「それってっ、黄怜はっ義理のばぁちゃんに殺されたのか⁉︎」
志瑞也は寝床から立ち上がる。
「それはまだ証拠がないのだよ、黄虎は話の一部しか聞いていない」
「落ち着け、座るのだ」
「……」
蒼万に言われ志瑞也は黙って座る。
「お前は全部話したのか?」
「いいや、黄虎は黄怜が女だったとは知らない、自分が救えなかったと、かなり抱え込んでいた。しかも十七の時から心の病を患ってもいる。志瑞也のことは何も話してないが、あいつも十分苦しんでいるのだ、もしや力になってくれるかもしれない…」
「駄目だ、身内が関わっているなら尚更だ」
「蒼万、全ては話さない」
「利用するのか?」
「…そう聞こえるかもしれないが、私と同様、いや私以上に、あいつには黄怜への贖いが必要なのだよ。場合によっては志瑞也のことを話すつもりだった… だが話せなかったよ、知ったら今よりもっと、苦しむ気がしてな…」
さすがにこれ以上は疑問だらけになる。そもそも、話を三人でするのに、これでは三人ではなく二人だ、それをこの二人は分かっているのだろうか。いくら知らない事が多いとはいえ、自分の事を話されているのに謎だらけでは意味がない、軽く右手を上げて尋ねる。
「あのさ、ちょっと質問なんだけど、柊虎は何で蒼万の青ちゃんや、黄怜が女って知っているんだ?」
柊虎は食い付いてしまう。
「青…ちゃん?」
「私が昨夜話した」
「…そっか」
柊虎は志瑞也を見て頷く。
蒼万の言葉は、一を知って十を知らなければならない。だが、実に的確でもある。共に過ごす間に、多少は身に付けたのだ。これは「お前が寝ている間に聞かれた事を話し合った」そう言っているのだ。それならと、柊虎に色々聞きたいこともあるが、蒼万の前では聞きづらい、志瑞也は別のことを聞くことにした。
「柊虎、黄虎は黄怜の従弟だよな?」
「あぁ姉弟のように仲が良かった、いや姉弟同然だったよ。これから中央宮の内情を調べるとなれば、黄虎が適任だとっ」
「駄目だ」
「蒼万…」
「俺はいいと思う。だって、黄虎ずっと苦しんでいるんだろ?」
柊虎は頷く。
「自分のせいで従姉が死んだって、一生引きずってほしくないんだ、そりゃあ知らない方がいい事もあるよ、でも黄虎は今も知らなくて苦しんでいるんだろ? それならちゃんと知って苦しんだ方が、今よりも楽になれるんじゃないかな? 俺はそう思うし、黄怜もそう思うんじゃないかな?」
そう言って、志瑞也はにっこり微笑む。
「志瑞也…」
見つめる柊虎の視線に、蒼万は眉間に皺を寄せる。
「柊虎っ」
「あっ、あぁ…」
柊虎は視線を蒼万へ戻すも、何を言いたいのかは明白な目付きだった。
「黄虎のことはお前に任せる、だが志瑞也とは会わさない」
「何でだよっ」
「わかった」
「柊虎までっ…」
「志瑞也、黄虎は今事と身内との間に挟まれているのだ、更に君の存在を知ってしまったら、君を守るため今度は自分を犠牲にしかねない、黄虎にとって、今は『知らない方がいい事』だよ」
柊虎が志瑞也を見て頷き蒼万も頷く。
「わかった、二人って結構仲良しなんだなアハハ 二人で夜話合ったり、考えが言わなくても同じだったりさ。蒼万には友達がいないと思っていたけど、ちゃんといるじゃんアハハハ、あ…」
つい本音を言ってしまい、見ると蒼万は険しい顔をして柊虎は笑っていた。
柊虎が言う。
「話を戻すが、妖魔を操っているのが九虎様だとして、証拠を見つけるにはどうやって調べるのだ?」
二人が考え込んでるのを見て、やっと話し合いの意味を成す時だと、志瑞也は意見を述べる。
「あのさ、黄怜のばぁちゃんやお母さんと、一度会って話せないかな? 二人共なんか霊力とか凄いんだろ?」
「しかし今中央宮に行くのは…」
「向こうも下手には動け…」
柊虎が首を傾げ、蒼万が険しい顔をするも、同時にぱっと目を合わせる。
「黄虎だ!」
「黄虎だ」
志瑞也は目が点になり可笑しくなる。だが、この後から志瑞也はまた蚊帳の外となる。
蒼万が言う。
「北宮なら里帰りとして口実ができる」
「そうだな、できればお二人揃った方がよいが、玄華様だけでも来ていただければ」
二人は「よし」と目で頷き柊虎が言う。
「黄虎にはどう託けを頼むのだ?」
「お前の名で私が文を書く、玄華様なら私だと気付く」
「わかった」
柊虎が頷くと蒼万は椅子から立ち上がり、棚の引き出しから紙と筆と墨を取り出し、椅子に戻り文を書きだした。
柊虎が尋ねる。
「落ち合い場所は?」
「…女宿だ」
「わかった」
二人は阿吽の呼吸で計画を立てていく。
志瑞也は胡座を組んで、頬杖を突きながら二人を眺めていた。さすがに土地勘は頭に入ってなく、口を挟める内容ではない。だが、見ていて心地良かった。蒼万に意思疎通は無理だと思っていたが、意外な一面を見れて微笑まずにはいられない。柊虎のお陰で蒼万との気まずさが紛れ、これから三人なら、もやもやと悩まずに済むと安堵した。
蒼万は文を書き終え、折りたたみ柊虎に渡す。
柊虎は文を懐に入れながら尋ねる。
「いつ発つ?」
「明日」
「私は黄虎に文を渡してから、少し様子を見ようと思う…明後日には発つよ」
え?
「柊虎も一緒じゃないのかっ?」
思わず言ってしまった。
「…何故」
やはり、身体は反応を覚えるのが早い。蒼万に横目で見られ、反射的に右腕を掴んでしまい、ばっと離すも明らかに不自然な行動を取ってしまう。蒼万に見られているかと思うと、視線を合わせないよう避けた。
「ハハハ私も一緒が良いか?」
「にっ、人数が多い方が… 楽しいかなって思っただけだよアハハ 柊虎、黄虎のこと宜しくな」
「わかった」
「あっ明日出発するならっ、俺支度しないといけないから、先に部屋に戻るよっ、柊虎それじゃ」
志瑞也は立ち上がり戸に向かう。
「志瑞也」
蒼万が呼び止め「パチン」と指を弾いて言う。
「後から行く」
今ので術を解いたのだろう。志瑞也は蒼万と目を合わさず、黙って頷き戸を開け部屋から出て行った。
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