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第五章 彼岸花
また会う日を楽しみに
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薄暗い森の中「ホーホッ…」梟の鳴く声が止まり、小動物や妖怪までもが身の危険を感じ森から離れた。奇妙に静まり返った森では、賑やかな集会が開かれていた。
「ぎゃっぎゃっ…血を下さいぃぃ…」
「ぐふっ…喰いたい…早く…喰いたい…ぐふっ…」
辺りには数え切れない程の妖魔が涎を垂らし、でへでへと薄汚い声で集まっていた。
「ヨイカオマエタチッ… チヲモツモノガモドッタゾッ…クックックッ…」
興奮した妖魔が荒い鼻息と口臭を吐き、陽気を吸い取り邪気を放つ。足の無い植物達に逃げる術などなく、助けてくれと森は悲鳴を上げ揺れだす。
「ソウカウレシイカッ…ヒッヒッヒッ… ニオイヲタドレェ… ソコニエサガイルゾッ… オマエタチニクワレルノヲォ…マッテルデアロウゥ…クックックッ…」
血に飢え腹を空かせた妖魔は、我先にと互いを押し退けて走りだす。騒がしく重い足音が遠ざかり、一瞬で集会は解散を迎えた。だが、そこの草木は朽ち果て悪臭が漂い、辺り一面生気の無い静けさとなった。
「クックックッ…キレンヲクッテチカラヲツケレバ… ヒッヒッヒッ…」
いきなり、自身の腕に咬み付き、肉を喰らい「グシャグシャ」咀嚼する。骨を歯で砕き「ボトッ」片手が地面に落ちた。千切れた手を拾い人差し指をしゃぶり、ニヤリと笑う。
「イタダキマスッ… ヒ サ コ」
バキッボリボリッ バキッ!
「いッ嫌あああああぁぁぁ──っ!」
九虎は深夜に魘され飛び起きた。
喚きながら手首を握り、擦ったり指を動かしたり、全て揃っているか血眼になって確認する。呼吸は荒く、汗で寝衣が肌にへばり付いていた。
「九虎様っ! いかがされましたかっ?」
尋常でない叫び声に、侍女が慌てて駆けつける。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「九虎様っ? 九虎様っ!」
はっと我に返る。
「騒ぎ立てるでないっ、案ずるな……下がりなさい」
「しょ承知いたしました…」
夢か現実か分からない程悍ましい悪夢に、九虎は胸騒ぎがして思い返す。過去に妖魔化させたのは、あの日が最後だ。夢で見た異常な数の妖魔に寝床から飛び起き、衣装棚の奥を掘り返し袋を引っ張り出す。手に伝わる感覚に、指先が冷たくなる。以前よりも重みがない。悪夢ではなく現実であれば、意図しない所で怨霊が動いている。だとすれば、南宮での妖魔も怨霊の仕業だ、袋を掴む九虎の手がぶるぶる震えだす。
怨霊が言っていた〝キレン〟とは、黄怜のこと、やはり生きていて玄枝が隠しているのか。玄枝の霊術なら死んだと見せかけ、怨霊から存在を隠すことができるかもしれない。だから、怨霊が黄怜を見つけようと動いているのか。今になって、黄怜のことで苦悶するとは思ってもみなかった。袋の端を握りしめ、九虎は床に「ゴッ、ゴッ、ゴッ」叩きつけた。鈍い音を立てながら、ごろつきがなくなるまで、強く、強く、強く、叩きつけた。
北宮へ出立の日、黄虎と朱翔は玄枝の指示の通り、黄虎殿を出て直ぐ黄怜殿へ向かう。既に、玄一は黄虎に変身して待っていた。玄七は朱翔に会ってから変身し、二度目だがやはり黄虎と朱翔は驚く。特に朱翔は、観察するように二人の姿を見ていた。黄虎は玄一に「頼んだ」と言うのに対し、朱翔は「私はもう少し鼻が高いし、もう少し男前だ」色々難癖を付けている内に玄七に睨まれ、苦笑いして軽く頭を下げた。玄一に「連絡をしたい時は燃やしてくれ」そう言って、雲雀の羽根を一枚渡した。
玄一は頷き羽根を懐に入れる。
「二人共気をつけて行きなさい」
「はい、承知しました」
二人は玄枝に頭を下げて黄怜殿を出て行った。
朱翔が真剣な眼差しで玄枝を見て尋ねる。
「玄枝様、私達はこれから何をすれば宜しいのですか?」
今からきっと、玄枝は自分達に重要な指示をするのだろうと、覚悟の眼差しで構えた。
玄枝は二人と交互に見合い頷いて言う。
「では手始めに」
「はい!」
「ここの掃除と草むしりをお願いします」
…は?
予想外の言葉に二人は呆けた顔になってしまう。
「あら、聞こえませんでした? 時間はたっぷりあります。玄華達が女宿に着くのは早くてもニ、三日はかかります。あなた達は明るい間はここからは出られませんから、食事は私が運びます。殿には結界を張っていますので、こちらから門を開けない限り中には誰も入れません。それに中の様子も一切外に漏れる心配はありませんので、好きなだけここで掃除してお喋りして下さい」
玄枝は澄まし顔でそう言って、黄怜の自室に入って行く。
……。
「黄虎…私達は、玄枝様に騙されたのか?」
「いいや、玄枝様には何かお考えがあるのだ」
「…今回だけは、私はお前みたいになりたいよ」
黄虎は眉を寄せる。
「どういう意味だ?」
「私は玄葉に会いたい…」
ぼそっと呟く朱翔を無視して、黄虎は動きだす。
「ほらっ朱翔っ、無駄口叩いてないで始めるぞっ」
「えええぇぇーっ!」
黄怜の自室の中で、玄枝は「クスクス」と笑って自殿へ戻って行った。
玄華達と玄一達は合流し、黄理達に気付かれず無事に中央宮から出立した。
玄華が玄一に話しかける。
「二人共黄虎と朱翔にそっくりね、いつまでそのお姿なの?」
「本日宿泊予定の北宮領域、危宿手前で術を解きます」
「あなたと話すのは久し振りね」
「はい、玄華様はお変わりありませんか?」
「えぇ志瑞也のこと、色々聞かせてもらえるかしら?」
「はい」
玄華は楽しそうに黄虎姿の玄一と前方を歩き、千玄と朱翔姿の玄七は二人の後に付きながら歩いていた。四人は宮を下り村に向かって歩き、群がる村人達とすれ違った。
「昨夜、軽い土砂崩れがあったそうだが、逃げた動物達が隣の森に移って、うるさくて眠れなかったらしいぞ、まぁ被害は無いらしいから、気にする事でもないがな」一人の男子が森を差し、隣の森へ辿るのを他の者達が目で追った。別の男子が他の森を差し「向こうでも大量の烏が飛んでいたらしいぞ、鳴き声が騒がしくて気味が悪かったそうだっ」洗濯桶を持った女子に向かっておどけた顔をする。女子はその顔に嫌がり、濡れた手拭いで男子の顔を叩いた。それを他の者達が「ケラケラ」と笑い、女子は「森の動物が騒いでいるってことは、何か起こるのかしら?」不安そうな顔をした。「そうなっても、神族様が駆けつけてくれるから大丈夫さ!」別の男子が腕を組んで中央宮を見る。「そうよね!」「そうだそうだハハハハ…」
〝妖魔!〟
四人は同じ言葉を脳裏に浮かべた。北宮へ進むにつれ、村人達の話は妖魔に繋がる内容が増え、志瑞也に何かあったのではないかと、緊張した足取りで向かうことになった。
─ 第五章 終 ─
「ぎゃっぎゃっ…血を下さいぃぃ…」
「ぐふっ…喰いたい…早く…喰いたい…ぐふっ…」
辺りには数え切れない程の妖魔が涎を垂らし、でへでへと薄汚い声で集まっていた。
「ヨイカオマエタチッ… チヲモツモノガモドッタゾッ…クックックッ…」
興奮した妖魔が荒い鼻息と口臭を吐き、陽気を吸い取り邪気を放つ。足の無い植物達に逃げる術などなく、助けてくれと森は悲鳴を上げ揺れだす。
「ソウカウレシイカッ…ヒッヒッヒッ… ニオイヲタドレェ… ソコニエサガイルゾッ… オマエタチニクワレルノヲォ…マッテルデアロウゥ…クックックッ…」
血に飢え腹を空かせた妖魔は、我先にと互いを押し退けて走りだす。騒がしく重い足音が遠ざかり、一瞬で集会は解散を迎えた。だが、そこの草木は朽ち果て悪臭が漂い、辺り一面生気の無い静けさとなった。
「クックックッ…キレンヲクッテチカラヲツケレバ… ヒッヒッヒッ…」
いきなり、自身の腕に咬み付き、肉を喰らい「グシャグシャ」咀嚼する。骨を歯で砕き「ボトッ」片手が地面に落ちた。千切れた手を拾い人差し指をしゃぶり、ニヤリと笑う。
「イタダキマスッ… ヒ サ コ」
バキッボリボリッ バキッ!
「いッ嫌あああああぁぁぁ──っ!」
九虎は深夜に魘され飛び起きた。
喚きながら手首を握り、擦ったり指を動かしたり、全て揃っているか血眼になって確認する。呼吸は荒く、汗で寝衣が肌にへばり付いていた。
「九虎様っ! いかがされましたかっ?」
尋常でない叫び声に、侍女が慌てて駆けつける。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「九虎様っ? 九虎様っ!」
はっと我に返る。
「騒ぎ立てるでないっ、案ずるな……下がりなさい」
「しょ承知いたしました…」
夢か現実か分からない程悍ましい悪夢に、九虎は胸騒ぎがして思い返す。過去に妖魔化させたのは、あの日が最後だ。夢で見た異常な数の妖魔に寝床から飛び起き、衣装棚の奥を掘り返し袋を引っ張り出す。手に伝わる感覚に、指先が冷たくなる。以前よりも重みがない。悪夢ではなく現実であれば、意図しない所で怨霊が動いている。だとすれば、南宮での妖魔も怨霊の仕業だ、袋を掴む九虎の手がぶるぶる震えだす。
怨霊が言っていた〝キレン〟とは、黄怜のこと、やはり生きていて玄枝が隠しているのか。玄枝の霊術なら死んだと見せかけ、怨霊から存在を隠すことができるかもしれない。だから、怨霊が黄怜を見つけようと動いているのか。今になって、黄怜のことで苦悶するとは思ってもみなかった。袋の端を握りしめ、九虎は床に「ゴッ、ゴッ、ゴッ」叩きつけた。鈍い音を立てながら、ごろつきがなくなるまで、強く、強く、強く、叩きつけた。
北宮へ出立の日、黄虎と朱翔は玄枝の指示の通り、黄虎殿を出て直ぐ黄怜殿へ向かう。既に、玄一は黄虎に変身して待っていた。玄七は朱翔に会ってから変身し、二度目だがやはり黄虎と朱翔は驚く。特に朱翔は、観察するように二人の姿を見ていた。黄虎は玄一に「頼んだ」と言うのに対し、朱翔は「私はもう少し鼻が高いし、もう少し男前だ」色々難癖を付けている内に玄七に睨まれ、苦笑いして軽く頭を下げた。玄一に「連絡をしたい時は燃やしてくれ」そう言って、雲雀の羽根を一枚渡した。
玄一は頷き羽根を懐に入れる。
「二人共気をつけて行きなさい」
「はい、承知しました」
二人は玄枝に頭を下げて黄怜殿を出て行った。
朱翔が真剣な眼差しで玄枝を見て尋ねる。
「玄枝様、私達はこれから何をすれば宜しいのですか?」
今からきっと、玄枝は自分達に重要な指示をするのだろうと、覚悟の眼差しで構えた。
玄枝は二人と交互に見合い頷いて言う。
「では手始めに」
「はい!」
「ここの掃除と草むしりをお願いします」
…は?
予想外の言葉に二人は呆けた顔になってしまう。
「あら、聞こえませんでした? 時間はたっぷりあります。玄華達が女宿に着くのは早くてもニ、三日はかかります。あなた達は明るい間はここからは出られませんから、食事は私が運びます。殿には結界を張っていますので、こちらから門を開けない限り中には誰も入れません。それに中の様子も一切外に漏れる心配はありませんので、好きなだけここで掃除してお喋りして下さい」
玄枝は澄まし顔でそう言って、黄怜の自室に入って行く。
……。
「黄虎…私達は、玄枝様に騙されたのか?」
「いいや、玄枝様には何かお考えがあるのだ」
「…今回だけは、私はお前みたいになりたいよ」
黄虎は眉を寄せる。
「どういう意味だ?」
「私は玄葉に会いたい…」
ぼそっと呟く朱翔を無視して、黄虎は動きだす。
「ほらっ朱翔っ、無駄口叩いてないで始めるぞっ」
「えええぇぇーっ!」
黄怜の自室の中で、玄枝は「クスクス」と笑って自殿へ戻って行った。
玄華達と玄一達は合流し、黄理達に気付かれず無事に中央宮から出立した。
玄華が玄一に話しかける。
「二人共黄虎と朱翔にそっくりね、いつまでそのお姿なの?」
「本日宿泊予定の北宮領域、危宿手前で術を解きます」
「あなたと話すのは久し振りね」
「はい、玄華様はお変わりありませんか?」
「えぇ志瑞也のこと、色々聞かせてもらえるかしら?」
「はい」
玄華は楽しそうに黄虎姿の玄一と前方を歩き、千玄と朱翔姿の玄七は二人の後に付きながら歩いていた。四人は宮を下り村に向かって歩き、群がる村人達とすれ違った。
「昨夜、軽い土砂崩れがあったそうだが、逃げた動物達が隣の森に移って、うるさくて眠れなかったらしいぞ、まぁ被害は無いらしいから、気にする事でもないがな」一人の男子が森を差し、隣の森へ辿るのを他の者達が目で追った。別の男子が他の森を差し「向こうでも大量の烏が飛んでいたらしいぞ、鳴き声が騒がしくて気味が悪かったそうだっ」洗濯桶を持った女子に向かっておどけた顔をする。女子はその顔に嫌がり、濡れた手拭いで男子の顔を叩いた。それを他の者達が「ケラケラ」と笑い、女子は「森の動物が騒いでいるってことは、何か起こるのかしら?」不安そうな顔をした。「そうなっても、神族様が駆けつけてくれるから大丈夫さ!」別の男子が腕を組んで中央宮を見る。「そうよね!」「そうだそうだハハハハ…」
〝妖魔!〟
四人は同じ言葉を脳裏に浮かべた。北宮へ進むにつれ、村人達の話は妖魔に繋がる内容が増え、志瑞也に何かあったのではないかと、緊張した足取りで向かうことになった。
─ 第五章 終 ─
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