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第七章 百日草
不快
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三人は、宗主黄羊の自室に入り腰掛けた。
「よう来た黄怜っ、良い顔をしておるのうワハハハハッ(少々女子のような顔をしておるのう)」
その顔の表情や笑い声からは、力強さが感じられた。
黄一が言う。
「黄怜、曾祖父上にお礼を申し上げなさい」
「曾祖父上、この度は自殿を頂きありがとうございます」
黄怜は頭を下げる。
「よいよい、お前の神力が高いと聞いてわしは嬉しくてのう。気が急ってしまっただけじゃ、好きに使うが良いっ(黄怜がおれば、わしが傍系だからとは誰にも言わせぬわっ)」
黄怜は少し眉間に皺を寄せた。
「祖父上、私からもお礼を申し上げます」
「黄一、玄華、良い男子を生んだではないかっ、早速黄怜の神獣を見せてくれっ、さあ!(力を見せろっ!)」
「そっ祖父上っ、黄怜の神獣は気性が荒く、まだ黄怜でも抑えられません…」
「構わぬではないかっ、さあ見せぬかっ(うるさいっ!)」
黄一と玄華は焦り、机の下で手に汗を握る。二人は目配せしながら、急ぎ何か他に言い訳がないかと考える。黄羊の詰め寄る圧力に、玄華の戸惑う足がわずかに黄怜に当たった。
「曾祖父上、私は先程お菓子を食べたので、辰瑞は私の中で眠っております。私がお腹が空くと暴れるので、今は出せません」
「……」
「……」
「……」
黄怜は淡々と話し何食わぬ顔で、袖から飴を出して口に入れて微笑む。
「ワハハハハッそうかそうかっ、黄怜の神獣は腹が減っただけで暴れるのかっ そりゃあ大変じゃワハハハハ よいよい機会はまだあるっ、お前が手懐けられるようになったら、わしに必ず見せるのじゃぞ、よいな黄怜っ(ふんっ、生意気なっ…)」
「ふはい、すようちゅすますら」
黄怜はわざとらしく飴を転がした。
黄怜の振舞いに黄一と玄華は驚愕する。
「これ黄怜っ、失礼ではないかっ 祖父上っ申し訳ありませんっ」
「申し訳ありませんっ」
黄一と玄華は頭を下げ、黄怜も頭を下げながら飴を口から出して紙に包む。
「構わぬっ、男子はこのぐらい度胸がある方が良いっ! 黄虎はわしを見ると泣くからのうワハハハハッ」
黄羊は片眉を上げて黄怜に尋ねる。
「黄怜の神獣は辰瑞と申すのか、お前が名付けたのか?(何故瑞の字を使ったのじゃ)」
「はい。若々しく、生き生きとし、瑞々しいと思い名付けました」
黄羊は目を丸くして驚く。
「……黄怜は賢いのうワハハハハッ!(ワハハハハッ)」
黄一と玄華も驚いたが、取り敢えず安堵した。
玄華が頭を下げて言う。
「義祖父上講習会の件、御配慮いただき感謝申し上げます」
「黄一もじゃが黄怜も身体が弱い、このぐらい構わぬ。他神家の子供達も黄怜の話は聞いておるが、会うのは初めてじゃ、神力も高い上に頭まで賢いとなれば、皆何も申せぬわっワハハハハッ(早死にされては困るからのう)」
黄怜は幼子ながら、黄羊の話し方や笑い声は好きにはなれなかった。
三人は無事に話を終え、金龍殿を後に歩きだす。
「玄華いつ神獣の名を決めたのだ?」
「私ではありません」
「では先程母上とか?」
「恐らく…」
玄華は頷く。
「黄怜、祖母上と何を話したのだ?」
「言ってはならないのです」
その言葉に二人は立ち止まる。意味がわからず黄一は玄華を見るが、玄華も首を傾げた。
玄華が歩く黄怜を止めて尋ねる。
「黄怜どういうこと? 母にも言えないの?(教えて黄怜)」
「母上…」
黄怜は二人を交互に見た。
「……(黄怜どうしたのだ?)」
「……(黄怜どうしたの?)」
二人の心配そうな顔に黄怜は考える。玄枝から庭園で、黄羊から圧力を掛けられた際、両親で事が収まるなら何も言うな、無理そうなら黄羊は怯えるよりも、気の強さを見せる方が効果がある。飴を口に入れて堂々と振舞え、その事でもし両親に何か聞かれたら、神力の名称だけは伏せなさい。基本自らは何も言ってはならない、聞かれた事だけ言葉を選んで言いなさい、全ては黄怜を守る為だと教わっていた。
「祖母上が私が悲しまないように、死なないように、先程御守りにお願いをしてくれました」
黄一と玄華はその言葉に驚き見合わせる。
「私には母上の子である証の力があるそうです、でもそれは祖母上に『言ってはなりません』と言われました」
そう言って、黄怜は微笑む。
「そっそう…偉いわね、これからも祖母上の言うことを守るのよ(義母上がそう言うのなら…大丈夫よ)」
「はい母上!」
黄怜は飛び跳ねがなら一人歩きだす。
黄一が尋ねる。
「玄華どういうことだ?」
「私にも分かりませんが、黄怜は玄武家の神力が目覚めたのかもしれません。私もそうでしたが、力の始まりは丁度今の黄怜ぐらいからです。最初は不安定で、徐々に自分で抑えられるようになりますが…」
「どうしたのだ?」
「後から…義母上に聞いて参ります」
「わかった…」
「父上っ、母上っ、早く来て下さい!アハハ」
黄怜は無邪気に振り返り微笑む。
そんな我が子の変化に戸惑いながら、二人は黄怜殿へと歩きだした。
「よう来た黄怜っ、良い顔をしておるのうワハハハハッ(少々女子のような顔をしておるのう)」
その顔の表情や笑い声からは、力強さが感じられた。
黄一が言う。
「黄怜、曾祖父上にお礼を申し上げなさい」
「曾祖父上、この度は自殿を頂きありがとうございます」
黄怜は頭を下げる。
「よいよい、お前の神力が高いと聞いてわしは嬉しくてのう。気が急ってしまっただけじゃ、好きに使うが良いっ(黄怜がおれば、わしが傍系だからとは誰にも言わせぬわっ)」
黄怜は少し眉間に皺を寄せた。
「祖父上、私からもお礼を申し上げます」
「黄一、玄華、良い男子を生んだではないかっ、早速黄怜の神獣を見せてくれっ、さあ!(力を見せろっ!)」
「そっ祖父上っ、黄怜の神獣は気性が荒く、まだ黄怜でも抑えられません…」
「構わぬではないかっ、さあ見せぬかっ(うるさいっ!)」
黄一と玄華は焦り、机の下で手に汗を握る。二人は目配せしながら、急ぎ何か他に言い訳がないかと考える。黄羊の詰め寄る圧力に、玄華の戸惑う足がわずかに黄怜に当たった。
「曾祖父上、私は先程お菓子を食べたので、辰瑞は私の中で眠っております。私がお腹が空くと暴れるので、今は出せません」
「……」
「……」
「……」
黄怜は淡々と話し何食わぬ顔で、袖から飴を出して口に入れて微笑む。
「ワハハハハッそうかそうかっ、黄怜の神獣は腹が減っただけで暴れるのかっ そりゃあ大変じゃワハハハハ よいよい機会はまだあるっ、お前が手懐けられるようになったら、わしに必ず見せるのじゃぞ、よいな黄怜っ(ふんっ、生意気なっ…)」
「ふはい、すようちゅすますら」
黄怜はわざとらしく飴を転がした。
黄怜の振舞いに黄一と玄華は驚愕する。
「これ黄怜っ、失礼ではないかっ 祖父上っ申し訳ありませんっ」
「申し訳ありませんっ」
黄一と玄華は頭を下げ、黄怜も頭を下げながら飴を口から出して紙に包む。
「構わぬっ、男子はこのぐらい度胸がある方が良いっ! 黄虎はわしを見ると泣くからのうワハハハハッ」
黄羊は片眉を上げて黄怜に尋ねる。
「黄怜の神獣は辰瑞と申すのか、お前が名付けたのか?(何故瑞の字を使ったのじゃ)」
「はい。若々しく、生き生きとし、瑞々しいと思い名付けました」
黄羊は目を丸くして驚く。
「……黄怜は賢いのうワハハハハッ!(ワハハハハッ)」
黄一と玄華も驚いたが、取り敢えず安堵した。
玄華が頭を下げて言う。
「義祖父上講習会の件、御配慮いただき感謝申し上げます」
「黄一もじゃが黄怜も身体が弱い、このぐらい構わぬ。他神家の子供達も黄怜の話は聞いておるが、会うのは初めてじゃ、神力も高い上に頭まで賢いとなれば、皆何も申せぬわっワハハハハッ(早死にされては困るからのう)」
黄怜は幼子ながら、黄羊の話し方や笑い声は好きにはなれなかった。
三人は無事に話を終え、金龍殿を後に歩きだす。
「玄華いつ神獣の名を決めたのだ?」
「私ではありません」
「では先程母上とか?」
「恐らく…」
玄華は頷く。
「黄怜、祖母上と何を話したのだ?」
「言ってはならないのです」
その言葉に二人は立ち止まる。意味がわからず黄一は玄華を見るが、玄華も首を傾げた。
玄華が歩く黄怜を止めて尋ねる。
「黄怜どういうこと? 母にも言えないの?(教えて黄怜)」
「母上…」
黄怜は二人を交互に見た。
「……(黄怜どうしたのだ?)」
「……(黄怜どうしたの?)」
二人の心配そうな顔に黄怜は考える。玄枝から庭園で、黄羊から圧力を掛けられた際、両親で事が収まるなら何も言うな、無理そうなら黄羊は怯えるよりも、気の強さを見せる方が効果がある。飴を口に入れて堂々と振舞え、その事でもし両親に何か聞かれたら、神力の名称だけは伏せなさい。基本自らは何も言ってはならない、聞かれた事だけ言葉を選んで言いなさい、全ては黄怜を守る為だと教わっていた。
「祖母上が私が悲しまないように、死なないように、先程御守りにお願いをしてくれました」
黄一と玄華はその言葉に驚き見合わせる。
「私には母上の子である証の力があるそうです、でもそれは祖母上に『言ってはなりません』と言われました」
そう言って、黄怜は微笑む。
「そっそう…偉いわね、これからも祖母上の言うことを守るのよ(義母上がそう言うのなら…大丈夫よ)」
「はい母上!」
黄怜は飛び跳ねがなら一人歩きだす。
黄一が尋ねる。
「玄華どういうことだ?」
「私にも分かりませんが、黄怜は玄武家の神力が目覚めたのかもしれません。私もそうでしたが、力の始まりは丁度今の黄怜ぐらいからです。最初は不安定で、徐々に自分で抑えられるようになりますが…」
「どうしたのだ?」
「後から…義母上に聞いて参ります」
「わかった…」
「父上っ、母上っ、早く来て下さい!アハハ」
黄怜は無邪気に振り返り微笑む。
そんな我が子の変化に戸惑いながら、二人は黄怜殿へと歩きだした。
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