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二章:アルベベ王都編(仲間よりレベル上げを……)
第43話『追跡』
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今のままでは、天使に勝てないしではどうやって始末をするのか。
闇精霊のルゥナはいう。もうすぐだよと。
何が? と俺は問う。
答えはすでにあるよという。
何が? と俺は再び問う。
闇精霊のルゥナは、闇の力という。
ああ、俺は誤解をしていたんだなとわかってしまった。
気がついたかい? と問い新たな事実を伝えられる。
そういうことなのかと俺は、自らの手のひらを開き見つめ理解する。
闇の力はそもそも、神ですら滅する力であると。
ならば戦おう……俺の力は天使など造作もないはずだと。
俺はアルベベ教会へ歩みを進める。
さほど遠くもなく近くもない派手な装飾の教会は、決して神を敬うような施設には見えない。
むしろ拝金主義の象徴としているようにしか見えない。
地上からまずは、跡形もなく消し去る理由としてはちょうどいい。
アルベベ教会を更地にして、教会騎士を倒し黒目の天使を殲滅して、最後に司祭たちも抹殺する。
教会殲滅……。
今俺にできる、リムルとアリッサへの手向の花だ。
黒い血の花を咲かせようじゃないか、人外の化け物どもを切り刻むには、天気すらもちょうどいい。
雲一つない青空が広がる。
空気の澄んだ空とは、正反対に鬱屈した気持ちが、俺の胸を充満させる。
どれだけ清涼な空気を大きく吸いこみ深呼吸しても、気持ちは晴れない。
なぜなら、俺が求める結末は、教会関係者のすべての死だからだ。
募る復讐の念を胸の中で煮えたぎらせていると、不意にルゥナは俺を呼ぶ。
「京也、思い詰めすぎないで」
「あ、ああ……」
「勝てる相手にすら勝てなくなる」
「そ、そんなに酷い顔していたか?」
「していないと言ったら、嘘になるぐらいにはね」
今どのような表情をしていたかわからない。
少しは冷静になれと言いたいのだろう。
「戦場ならやられていたというやつか……」
「わかっているじゃない。間違いなくね。今は、協力者のところに行く必要があるわ。向こうも合わなければならないことを言っていたからね」
「協力……者?」
訳もわからずルゥナに導かれて、人っ子一人いない昼間の町を歩いていくと外苑近くまでいき、古びた教会の建物が目につく。
なんで気になったかというと、俺のいた世界の教会に酷似していたからだ。
たしか……バシリカ型の教会のはずだ。
「アルベベ教会とはまるで違うな……」
「別物と言ってもいいわ。元々はこっちの方が本来の教会みたいだけどね」
「あの教会とは関係がないのか?」
「ええ。あいつらに食い荒らされたと言った方がわかりやすいかしら?」
「なるほど……」
「ここよ」
目の前には、古びてはいるものの掃除が行き届き、静謐《せいひつ》な雰囲気のする教会があった。
中に入ると、無人なのか女神像の近くに石棺がある。
「なんでこんなところに石棺が……」
「すぐにわかるわ」
何かを知っているのか、ルゥナは答えた。
京也の問いに答えようと背後から、司祭が近づいてくる。
「誰だ?」
京也は思わず、怒気を含めてしまった。
「ようこそおいでくださいました旧教会の司祭です。と申し上げても、わかりにくいかと存じますので、女神を祀る者です。以後、お見知り置きを」
「旧……教会?」
聞きなれない言葉に対して、訝しげに京也は言葉を返した。
「ええ。元はここにしか教会がなく、かつて多くの信者がおりました。残念ながら、今はご覧の通りでございます。アルベベ教会の方は、黒目天使になれるからといって、信仰と信者に加えてお布施を集めておりますね」
「関係者じゃない?」
疑いを持つ者の目が司祭に注がれる。
「ええそうですね。私は、古きより伝わる女神を祀る女神教の司祭でございます。命と魔法を司る女神でございます」
司祭があえて嘘をつく理由もないし、どちらかといえば京也と同じくアルベベ教会の被害者とも言える。
「そうだったのか……。すまない」
理解をしたのか、京也は素直に謝った。
「いえいえ滅相もございません。あなた様もさぞかし、大変だったことでしょう」
大変という言葉の重みが、深くそして重く心にのしかかる。
今は脱出できたものの、大事な者を失ったばかりだからだ。
「ああ……」
気落ちしていると、思わぬ発言が司祭の口から飛び出した。
「あなた様の望む、蘇生の条件をお伝えしにまいりました」
穏やかな顔つきで眉をハの字にして困り顔ながら答えていた。
蘇生という言葉に、京也は激しく心が揺さぶられた。
「蘇生っ! だと……。条件?」
京也の肉体は問題ないにせよ、精神的にはすでに砕け散る寸前でもあった。
どうにかなってしまいそうな直前、希望の光を司祭から京也に届けられた。
「ええ。神託が数日前に降りました。目の前にある旧教会の石棺を使い、二人とも生き返らせると約束をします」
「本当なのか? 見ず知らずの俺を? なぜ?」
「神託だからと申し上げます。ただし、いくつか気に留めていただきたいことがございます」
「言ってくれ、何をすればいい?」
もう京也は何がなんでも条件を達することしか頭になかった。
「天使たちを殲滅してから、おおむね24時間以内に蘇生を開始しなくてはなりません。さらに、倒した魔人の魔核と魔石を倒したことの証左として、私が代わりに拝見するよう女神様より、お申し付けがございます」
今の段階で魔人の話が出るのは、魔人との遭遇戦は確定なのだろう。
恐らく相手は、アリアナかまたは……。
「石棺を使った蘇生は、すぐに終わります。なぜなら、天使の魂の力を用いているからでございます」
「黒目天使は、元は人だと言われているぞ?」
「はい。おっしゃる通りでございます。そのため、天使を討伐して1時間以内ですと、より多くの天使の魂が浮遊しているので、より効果が高くかつ早くなることに期待ができます。ただし24時間ギリギリの場合、天使の魂自体がほとんど還ってしまうため、可能性は低くなります」
「つまり、魂を集めて道を作るのか?」
「左様でございます。聡明な方のようで助かりました」
意外なところで天使の死が貢献することを知った。
「なるほど。司祭が蘇生の魔法を使えるのではないのか?」
「いえいえ私は蘇生まで収めておりません。女神様が行われます。指定された条件さえそろえば、手順に従って順番にすることで、女神様が魔法を行使して下さります」
司祭は話ながら女神像を指し示す。
まるで女神がすぐそばにいるかのように……。
「わかった。どうせ仕留める予定だ。約束は守ってくれよ?」
「もちろんですとも。神託を反故にはできませんからね」
たしかにそうだ。
京也の今があるのも経緯はともかくとして、神託があったからだ。
そうして考えると、何度も神託には助けられている気がしてならない。
思わず女神像に対して会釈をしたくなり、してしまう。
「わかった。守られないなら、うっかり殺してしまかもしれないからな」
司祭は笑顔を崩さず、苦笑いを京也に向けていた。
「ところで、神託ではお二人眠りについていらっしゃるとのことをお聞きしました。今はどちらでございますか?」
「俺の保管箱にある。目の前の石棺に入れた方がいいのか?」
「お願いします。眠るお二人は、私の方でお預かりします。蘇生するまでは蓋をして閉じるよう、女神様からも申し付けられておりますので」
「わかった。女神がそういうのなら、預けても事故も起きず間違いなさそうだな」
「ご不安でしたら女神の聖水を使い、少しばかり使いお清めをしておきましょう」
「女神の聖水?」
「ええ。言い伝えでは、蘇生される者が浴びると、蘇生後により健やかになると言われております」
「願ってもないことだ。ぜひ頼みたい」
「ええ。おまかせください」
そこで京也はふと疑問が湧いてきた。
なんでしてくれるのかという純粋な疑問だ。
「神託とはいえ、どうしてそこまでしてくれんだ?」
「あまり周りに知られていないので、ご存じないかもしれませんね。敬虔なる信徒では、神託を授かる者の手助けをするだけで、本当にありがたいお導きなのですよ」
「そういう物なのか?」
この答えについては、正直なところ理解しがたい。
ただ今は、そういう物だとして把握はしておくにとどめる。
「ええ。そういう物なんです」
「わかった頼りにさせてもらう」
「女神様のことでしたらお任せください。蘇生された暁には、あなた様も含めて、新たな信仰者が増えるのは、私にとっても嬉しいことですから」
俺は保管箱から石棺へとリムルとアリッサを寝かせた。
司祭にあとのことは任せて、俺ができることをしようと進める。
希望は見えたものの心の奥底に巣食う、ドス黒い何かは今確実に近づいてきて目を覚まそうとしている。
俺とドス黒い何かの間で心が揺れ動いている。
今は必死に抵抗している状態だといっても不思議ではない。
生身で黒い閃光を放った時に、何か心の内側なのか頭の中なのか、完全に何か切り替わった感じがした。
それが何なのかは、まだわからない。
――アルベベ教会では。
俺が訪れるとまるで来たことが合図かのように、次々に教会騎士が現れて疑似天使化をしていく。
道幅いっぱいに騎士たち広がる。
詰め寄り、司祭たちが魔法を唱える。
すると目が真っ黒になったかと思うと、全身が銀色の粒子をまとい空に浮上する。
あたかも天使が、地上に舞い降りず反対の地上から舞い上がる様相を見せる。
数百という数の教会騎士全員が浮上し、白い羽を持ってして空を舞っている。
何をしたのか知らない。
司祭たちは強制的に、人を黒目天使化に至らせる方法を、生み出したのかもしれない。
本来は、幻想的で神秘的ものだと思っていた。
ところが違った。
目の前にいる奴らは、町へはじめて訪れた時に襲ってきた連中と”同じ黒目”をしている。
つまり、狂気に駆られた異常者たちだ。
たった一人の探索者相手には、些か過剰な戦力ではないかと他の人の目には映るだろう。
多勢に無勢。
四騎士の紅い騎士、戦争の力を解放して狂戦士化し挑む。
俺はまだ死ねない。
レベルアップこそが大事だと考えていた。
今は仲間こそが大事ですべてだ。
だからこそ、リムルたちを蘇生するために、足掻く。
「ルゥナ! 赤騎士の力を!」
「京也! 行くよ!」
俺の体が一瞬にして赤い霧に包まれ変化していく。
闇精霊のルゥナはいう。もうすぐだよと。
何が? と俺は問う。
答えはすでにあるよという。
何が? と俺は再び問う。
闇精霊のルゥナは、闇の力という。
ああ、俺は誤解をしていたんだなとわかってしまった。
気がついたかい? と問い新たな事実を伝えられる。
そういうことなのかと俺は、自らの手のひらを開き見つめ理解する。
闇の力はそもそも、神ですら滅する力であると。
ならば戦おう……俺の力は天使など造作もないはずだと。
俺はアルベベ教会へ歩みを進める。
さほど遠くもなく近くもない派手な装飾の教会は、決して神を敬うような施設には見えない。
むしろ拝金主義の象徴としているようにしか見えない。
地上からまずは、跡形もなく消し去る理由としてはちょうどいい。
アルベベ教会を更地にして、教会騎士を倒し黒目の天使を殲滅して、最後に司祭たちも抹殺する。
教会殲滅……。
今俺にできる、リムルとアリッサへの手向の花だ。
黒い血の花を咲かせようじゃないか、人外の化け物どもを切り刻むには、天気すらもちょうどいい。
雲一つない青空が広がる。
空気の澄んだ空とは、正反対に鬱屈した気持ちが、俺の胸を充満させる。
どれだけ清涼な空気を大きく吸いこみ深呼吸しても、気持ちは晴れない。
なぜなら、俺が求める結末は、教会関係者のすべての死だからだ。
募る復讐の念を胸の中で煮えたぎらせていると、不意にルゥナは俺を呼ぶ。
「京也、思い詰めすぎないで」
「あ、ああ……」
「勝てる相手にすら勝てなくなる」
「そ、そんなに酷い顔していたか?」
「していないと言ったら、嘘になるぐらいにはね」
今どのような表情をしていたかわからない。
少しは冷静になれと言いたいのだろう。
「戦場ならやられていたというやつか……」
「わかっているじゃない。間違いなくね。今は、協力者のところに行く必要があるわ。向こうも合わなければならないことを言っていたからね」
「協力……者?」
訳もわからずルゥナに導かれて、人っ子一人いない昼間の町を歩いていくと外苑近くまでいき、古びた教会の建物が目につく。
なんで気になったかというと、俺のいた世界の教会に酷似していたからだ。
たしか……バシリカ型の教会のはずだ。
「アルベベ教会とはまるで違うな……」
「別物と言ってもいいわ。元々はこっちの方が本来の教会みたいだけどね」
「あの教会とは関係がないのか?」
「ええ。あいつらに食い荒らされたと言った方がわかりやすいかしら?」
「なるほど……」
「ここよ」
目の前には、古びてはいるものの掃除が行き届き、静謐《せいひつ》な雰囲気のする教会があった。
中に入ると、無人なのか女神像の近くに石棺がある。
「なんでこんなところに石棺が……」
「すぐにわかるわ」
何かを知っているのか、ルゥナは答えた。
京也の問いに答えようと背後から、司祭が近づいてくる。
「誰だ?」
京也は思わず、怒気を含めてしまった。
「ようこそおいでくださいました旧教会の司祭です。と申し上げても、わかりにくいかと存じますので、女神を祀る者です。以後、お見知り置きを」
「旧……教会?」
聞きなれない言葉に対して、訝しげに京也は言葉を返した。
「ええ。元はここにしか教会がなく、かつて多くの信者がおりました。残念ながら、今はご覧の通りでございます。アルベベ教会の方は、黒目天使になれるからといって、信仰と信者に加えてお布施を集めておりますね」
「関係者じゃない?」
疑いを持つ者の目が司祭に注がれる。
「ええそうですね。私は、古きより伝わる女神を祀る女神教の司祭でございます。命と魔法を司る女神でございます」
司祭があえて嘘をつく理由もないし、どちらかといえば京也と同じくアルベベ教会の被害者とも言える。
「そうだったのか……。すまない」
理解をしたのか、京也は素直に謝った。
「いえいえ滅相もございません。あなた様もさぞかし、大変だったことでしょう」
大変という言葉の重みが、深くそして重く心にのしかかる。
今は脱出できたものの、大事な者を失ったばかりだからだ。
「ああ……」
気落ちしていると、思わぬ発言が司祭の口から飛び出した。
「あなた様の望む、蘇生の条件をお伝えしにまいりました」
穏やかな顔つきで眉をハの字にして困り顔ながら答えていた。
蘇生という言葉に、京也は激しく心が揺さぶられた。
「蘇生っ! だと……。条件?」
京也の肉体は問題ないにせよ、精神的にはすでに砕け散る寸前でもあった。
どうにかなってしまいそうな直前、希望の光を司祭から京也に届けられた。
「ええ。神託が数日前に降りました。目の前にある旧教会の石棺を使い、二人とも生き返らせると約束をします」
「本当なのか? 見ず知らずの俺を? なぜ?」
「神託だからと申し上げます。ただし、いくつか気に留めていただきたいことがございます」
「言ってくれ、何をすればいい?」
もう京也は何がなんでも条件を達することしか頭になかった。
「天使たちを殲滅してから、おおむね24時間以内に蘇生を開始しなくてはなりません。さらに、倒した魔人の魔核と魔石を倒したことの証左として、私が代わりに拝見するよう女神様より、お申し付けがございます」
今の段階で魔人の話が出るのは、魔人との遭遇戦は確定なのだろう。
恐らく相手は、アリアナかまたは……。
「石棺を使った蘇生は、すぐに終わります。なぜなら、天使の魂の力を用いているからでございます」
「黒目天使は、元は人だと言われているぞ?」
「はい。おっしゃる通りでございます。そのため、天使を討伐して1時間以内ですと、より多くの天使の魂が浮遊しているので、より効果が高くかつ早くなることに期待ができます。ただし24時間ギリギリの場合、天使の魂自体がほとんど還ってしまうため、可能性は低くなります」
「つまり、魂を集めて道を作るのか?」
「左様でございます。聡明な方のようで助かりました」
意外なところで天使の死が貢献することを知った。
「なるほど。司祭が蘇生の魔法を使えるのではないのか?」
「いえいえ私は蘇生まで収めておりません。女神様が行われます。指定された条件さえそろえば、手順に従って順番にすることで、女神様が魔法を行使して下さります」
司祭は話ながら女神像を指し示す。
まるで女神がすぐそばにいるかのように……。
「わかった。どうせ仕留める予定だ。約束は守ってくれよ?」
「もちろんですとも。神託を反故にはできませんからね」
たしかにそうだ。
京也の今があるのも経緯はともかくとして、神託があったからだ。
そうして考えると、何度も神託には助けられている気がしてならない。
思わず女神像に対して会釈をしたくなり、してしまう。
「わかった。守られないなら、うっかり殺してしまかもしれないからな」
司祭は笑顔を崩さず、苦笑いを京也に向けていた。
「ところで、神託ではお二人眠りについていらっしゃるとのことをお聞きしました。今はどちらでございますか?」
「俺の保管箱にある。目の前の石棺に入れた方がいいのか?」
「お願いします。眠るお二人は、私の方でお預かりします。蘇生するまでは蓋をして閉じるよう、女神様からも申し付けられておりますので」
「わかった。女神がそういうのなら、預けても事故も起きず間違いなさそうだな」
「ご不安でしたら女神の聖水を使い、少しばかり使いお清めをしておきましょう」
「女神の聖水?」
「ええ。言い伝えでは、蘇生される者が浴びると、蘇生後により健やかになると言われております」
「願ってもないことだ。ぜひ頼みたい」
「ええ。おまかせください」
そこで京也はふと疑問が湧いてきた。
なんでしてくれるのかという純粋な疑問だ。
「神託とはいえ、どうしてそこまでしてくれんだ?」
「あまり周りに知られていないので、ご存じないかもしれませんね。敬虔なる信徒では、神託を授かる者の手助けをするだけで、本当にありがたいお導きなのですよ」
「そういう物なのか?」
この答えについては、正直なところ理解しがたい。
ただ今は、そういう物だとして把握はしておくにとどめる。
「ええ。そういう物なんです」
「わかった頼りにさせてもらう」
「女神様のことでしたらお任せください。蘇生された暁には、あなた様も含めて、新たな信仰者が増えるのは、私にとっても嬉しいことですから」
俺は保管箱から石棺へとリムルとアリッサを寝かせた。
司祭にあとのことは任せて、俺ができることをしようと進める。
希望は見えたものの心の奥底に巣食う、ドス黒い何かは今確実に近づいてきて目を覚まそうとしている。
俺とドス黒い何かの間で心が揺れ動いている。
今は必死に抵抗している状態だといっても不思議ではない。
生身で黒い閃光を放った時に、何か心の内側なのか頭の中なのか、完全に何か切り替わった感じがした。
それが何なのかは、まだわからない。
――アルベベ教会では。
俺が訪れるとまるで来たことが合図かのように、次々に教会騎士が現れて疑似天使化をしていく。
道幅いっぱいに騎士たち広がる。
詰め寄り、司祭たちが魔法を唱える。
すると目が真っ黒になったかと思うと、全身が銀色の粒子をまとい空に浮上する。
あたかも天使が、地上に舞い降りず反対の地上から舞い上がる様相を見せる。
数百という数の教会騎士全員が浮上し、白い羽を持ってして空を舞っている。
何をしたのか知らない。
司祭たちは強制的に、人を黒目天使化に至らせる方法を、生み出したのかもしれない。
本来は、幻想的で神秘的ものだと思っていた。
ところが違った。
目の前にいる奴らは、町へはじめて訪れた時に襲ってきた連中と”同じ黒目”をしている。
つまり、狂気に駆られた異常者たちだ。
たった一人の探索者相手には、些か過剰な戦力ではないかと他の人の目には映るだろう。
多勢に無勢。
四騎士の紅い騎士、戦争の力を解放して狂戦士化し挑む。
俺はまだ死ねない。
レベルアップこそが大事だと考えていた。
今は仲間こそが大事ですべてだ。
だからこそ、リムルたちを蘇生するために、足掻く。
「ルゥナ! 赤騎士の力を!」
「京也! 行くよ!」
俺の体が一瞬にして赤い霧に包まれ変化していく。
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そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
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