コアラと私の恋人日記

chouchou

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私とコアラの朝

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私はコアラと暮らしている。
6時20分にアラームで飛び起きる。すると隣で寝ているコアラが身じろぎをする。
バタバタと準備をして、家を出る5分前にコアラを起こす。
「ちょあら」
コアラのかけている布団を剥がす。
我ながら最低な同居人だ。
コアラは布団を求めてもぞもぞ動く。
「ちょあら、起きて。連れてって」
「ングググ…」
コアラを揺さぶる。
「起きて起きて。ぎゅーして」
コアラはにまぁーっと笑って腕を広げる。
「起きてぎゅーして」
コアラはぐねぐね体を動かしてやっとのことでベッドに腰掛ける。
「ぎゅーーー♡」
私はコアラを抱きしめる。暖かい。胸の辺りにすりすり頭を擦り付けられる。頭の毛を揉むように撫でるのが好きだ。
「ちょあら、私のこと好き?」
「ングググ…」
お腹の辺りをぐりぐりするばかりで、求めていた返事は返ってこない。
ああ、仕事に行かないと。
「ちょあら、連れてって」
コアラのお気に入りのジャージを指差す。
あと2分で出なきゃ。
荷物を詰めていると、メガネをかけてジャージを着たコアラがぼんやり立っている。
「ちょあら、私のこと好き?」
もう一回聞く。
「ダイシューキ」
棒読みで求めていた言葉が返ってきた。不満だがもう家を出なくては。
コアラに運転してもらって駅まで向かう。
ああ、仕事に行きたくない。ロクな仕事してないくせに仕事に行きたくない。組織にいたくない。新しい仕事を任されるのが怖い。
「ちょあら、仕事行きたくないよ」
「ンー」
思わずコアラに弱音を吐いてしまう。大丈夫だよ、と言ってもらえることをどこか期待して。
でも求めていた返事は返ってこない。
コアラのために仕事を頑張れるような、優しくて強い人でありたかった。
ああ、駅が見える。
「ちょあら、ありがとう。いってきます」
諦めてドアを開けると、思いがけずコアラが頭を撫でてくれた。
「…ありがとう」
ああ、もう行かなくては。
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