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ep42 目覚め
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「.........ま」
ん...。
「......さま!」
ん?
「...ヒロさま!」
あれ?
「フミヒロ様!」
「ね、ネーコ」
目が覚めると、俺は自分の部屋のベッドの上で横になっていた。
「フミヒロ様!良かったです!やっと目覚められましたね!」
ネーコが俺の顔を覗き込むようにして言った。
「あ、あの、ええっと......」
「ネーコは心配で心配で今にも生理が止まりそうでした!」
「それ...心臓じゃね?しかもアンドロイドに生理はないだろ」
「フミヒロ様!どうやら脳へのダメージも心配ないようですね!」
「ギャグで確かめるな」
「とまあ冗談はさておき......」
ネーコは一度スッと頭を起こしてから、おもむろにベッドへそっと腰をおろした。
「フミヒロ様」
ネーコは優しい声で俺を呼びかけながら、布団にある俺の手をぎゅっと握ってくる。
「ね、ネーコ?」
「フミヒロ様は、あれから気を失っていたのです。トラエの攻撃から私を守ろうとして」
「あっ、いや、その、よくは覚えていないけど......」
「フミヒロ様」
「な、なに?」
「ありがとうございます。ネーコを大切に想ってくださって」
「い、いや、べべ別に...」
「とても嬉しいです。でも、同時に少し叱りたくもあります」
「えっ?」
「だって私はアンドロイドですよ?多少の損傷は自己修復もできると言いましたよね?それなのになぜネーコを庇ったのですか?」
「わ、わからないよ。体が勝手に動いちゃっただけで」
「万が一フミヒロ様の身に何かあったらどうすればいいのです」
「ご、ごめん......ただ、その......」
「?」
「ネーコが傷つくところを......み、見たくないっていうか、その......」
俺がボソボソとそう言うと、なぜかネーコはサッと顔を逸らした。
俺は「?」となるが、すぐに目を丸くした。
髪の間から覗くネーコの耳が赤く染まっているように見えたから。
「ね、ネーコ?どうしたの?ま、まさか...損傷!?」
「へっ??ちがいますよ??」
ネーコは再び顔を向けると、今までに見たことのない不思議なぎこちなさそうな顔を見せる。
「な、ならいいんだけど......?」
「それよりも...です!」
ネーコはなにかを振り払うようにバッと立ち上がった。
「?」
「事の顛末と今に至るまでの経緯です!」
「ああそれ!教えてくれ!」
俺はむくりと上体を起こした。
「あの時、フミヒロ様は私を庇ってトラエの攻撃を受け止める恰好となります。
それを見てトラエは咄嗟の判断で蹴りを引っ込めます。
それでも停車は間に合わずトラエはフミヒロ様に激突する形となりました。
その衝撃でフミヒロ様は吹っ飛ばされて失神してしまいます。
しかし、そこからトラエはさらに前へ跳び、宙でフミヒロ様の身体をキャッチして抱きかかえたまま体を入れ替えて自らをクッションにして地面に落下しました。
おかげで無事フミヒロ様は怪我をせずに済みます。
念の為、私とトラエとで検査もしましたが異常は見つかりませんでした。
ちなみに、ここまでフミヒロ様を運んできたのもトラエですよ。
頭部を揺らさぬよう最大限の注意を払いながらも手早い搬送でした」
ネーコの説明を受けて、俺は改めて公園でのことを思い起こしてみた。
......自分でも不思議だ。
なんであんな大胆な行動が取れたんだろう。
(ましてや不登校のダメダメな俺に......)
不意にここではたとする。
「あっ!ネーコ!」
「何ですか?」
「脚はもう大丈夫なのか??」
ネーコは俺の言葉に一瞬びっくりした表情を見せる。
が、すぐに顔をほころばせた。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「そ、そうか!なら良かった!」
俺は心底安心した。
「.........ま」
ん...。
「......さま!」
ん?
「...ヒロさま!」
あれ?
「フミヒロ様!」
「ね、ネーコ」
目が覚めると、俺は自分の部屋のベッドの上で横になっていた。
「フミヒロ様!良かったです!やっと目覚められましたね!」
ネーコが俺の顔を覗き込むようにして言った。
「あ、あの、ええっと......」
「ネーコは心配で心配で今にも生理が止まりそうでした!」
「それ...心臓じゃね?しかもアンドロイドに生理はないだろ」
「フミヒロ様!どうやら脳へのダメージも心配ないようですね!」
「ギャグで確かめるな」
「とまあ冗談はさておき......」
ネーコは一度スッと頭を起こしてから、おもむろにベッドへそっと腰をおろした。
「フミヒロ様」
ネーコは優しい声で俺を呼びかけながら、布団にある俺の手をぎゅっと握ってくる。
「ね、ネーコ?」
「フミヒロ様は、あれから気を失っていたのです。トラエの攻撃から私を守ろうとして」
「あっ、いや、その、よくは覚えていないけど......」
「フミヒロ様」
「な、なに?」
「ありがとうございます。ネーコを大切に想ってくださって」
「い、いや、べべ別に...」
「とても嬉しいです。でも、同時に少し叱りたくもあります」
「えっ?」
「だって私はアンドロイドですよ?多少の損傷は自己修復もできると言いましたよね?それなのになぜネーコを庇ったのですか?」
「わ、わからないよ。体が勝手に動いちゃっただけで」
「万が一フミヒロ様の身に何かあったらどうすればいいのです」
「ご、ごめん......ただ、その......」
「?」
「ネーコが傷つくところを......み、見たくないっていうか、その......」
俺がボソボソとそう言うと、なぜかネーコはサッと顔を逸らした。
俺は「?」となるが、すぐに目を丸くした。
髪の間から覗くネーコの耳が赤く染まっているように見えたから。
「ね、ネーコ?どうしたの?ま、まさか...損傷!?」
「へっ??ちがいますよ??」
ネーコは再び顔を向けると、今までに見たことのない不思議なぎこちなさそうな顔を見せる。
「な、ならいいんだけど......?」
「それよりも...です!」
ネーコはなにかを振り払うようにバッと立ち上がった。
「?」
「事の顛末と今に至るまでの経緯です!」
「ああそれ!教えてくれ!」
俺はむくりと上体を起こした。
「あの時、フミヒロ様は私を庇ってトラエの攻撃を受け止める恰好となります。
それを見てトラエは咄嗟の判断で蹴りを引っ込めます。
それでも停車は間に合わずトラエはフミヒロ様に激突する形となりました。
その衝撃でフミヒロ様は吹っ飛ばされて失神してしまいます。
しかし、そこからトラエはさらに前へ跳び、宙でフミヒロ様の身体をキャッチして抱きかかえたまま体を入れ替えて自らをクッションにして地面に落下しました。
おかげで無事フミヒロ様は怪我をせずに済みます。
念の為、私とトラエとで検査もしましたが異常は見つかりませんでした。
ちなみに、ここまでフミヒロ様を運んできたのもトラエですよ。
頭部を揺らさぬよう最大限の注意を払いながらも手早い搬送でした」
ネーコの説明を受けて、俺は改めて公園でのことを思い起こしてみた。
......自分でも不思議だ。
なんであんな大胆な行動が取れたんだろう。
(ましてや不登校のダメダメな俺に......)
不意にここではたとする。
「あっ!ネーコ!」
「何ですか?」
「脚はもう大丈夫なのか??」
ネーコは俺の言葉に一瞬びっくりした表情を見せる。
が、すぐに顔をほころばせた。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「そ、そうか!なら良かった!」
俺は心底安心した。
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