死館

ステラー

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始動

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この10年間で全ての準備が整っていた。
まず、情報。少なくてもかき集めなければならない最も重要なものだ。
わかっていることを整理すると、
1、中では電子機器が使えない
まず、中ではケータイの電波が通じないのだろう。なんらかの妨害できる機器が設置されているようだ。国をあげて突入していったときにわかったことだが、もちろんネットもトランシーバーも使えない。つまり内部同士、外部との通信手段が絶たれたことになる。
2、中庭に生き物はいない。
人が入ったっきり戻ってこない様子を人は「消えていく」と表現している。つまりどういうことか。物音ひとつせず静かなのだ。恐らく行方不明者は人や動物に襲われたわけではない。悲鳴や足音を上げずに仕組まれた罠に捕まるのだろう。気絶させられて運ばれるか、殺されるかはわからないが…
「中庭に」と言ったのは、入り口から離れた屋敷の中に入れば音を出しても聞こえないと思ったからだ。

3、外と中の誰にも見つからずに潜入すること
これは実際に行動に移す上でかなり重要になってくることだ。
みな侵入しようとして消えた。侵入ではなく潜入するべきだ。中の何にも気づかれずに忍び込んで調査する。すると、静かに潜入するわけだからもちろん外の誰にも気づかれない方がいいというわけだ。今まで入ろうとした者の周りには必ず見守るものがいた。仲間、警察、マスコミなど。ここ数年屋敷に近づく者がいなかったから敷地内の゛何か゛は油断しているに違いない。そんなときに彼らに見つかって騒がれてはごめんだ。


情報以外にも準備はもちろん必要だ。
装備だ。どんなことが起こるかわからない。マフィアの拠点やジャングルの奥地に行く以上に用意周到でなければならない。
今回俺が準備したのは以下だ。

○軍服(黒)
特殊加工:防水、防火、移動時発生音軽減、防弾

○靴(黒)
特殊加工:移動時の発生音軽減、裏に滑り止め用刃装備(取り外し可)
 
○マスク(顔全体を覆い、保護する)
内蔵品:暗視ゴーグル

○グローブ:滑り止め

○その他:
ワイヤーロープ、磁石弾、手裏剣、ナイフ、小型ナイフ、電子パルス装置


あとは己の肉体だ。
何年もかけて鍛え上げた俺の体は自信がある。
筋肉をつけただけでなく、柔道、空手、合気道、ボクシング、システマ、総合格闘技を学んだのだ。どんな状況にも即座に対応できるよう訓練が済んでいる。

準備は満タンだ。
絶対に死館を超えてやる。
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